Lilacの妊娠・出産・育児ノート

キャリア志向の強い女性や、仕事で既に責任ある立場にあったりする女性向けの妊娠・出産・育児ブログ。 妊娠したときのTips集、キャリアと妊娠・育児を取り巻く論点、女性リーダーシップと子育ての両立、日本と海外の状況比較、今は仕事に没頭中だけどいずれは子供も欲しいと思う若い女性向けのメッセージなど、様々な話題をお届けします

育児とキャリア

女性リーダー増加と出生率増加を両立できる政策を

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先日の統一地方選挙、私の住んでいる区も区長・区議会委員選挙があり、投票に行きました。
これまでの私は、国政選挙のほうが興味があり、恥ずかしながら住民税を払ってるだけで、自治体行政はほとんど興味は無かったんですね。
子供が出来てからようやく恩恵を受ける側に立った気がします。
そんなわけで、今回は議員候補の公約などもちゃんと読み、子育てに関してはどんな政策を打つつもりかを見て投票しました。
女性が育児とキャリアやリーダーシップをを両立する、という意味でも、保育園を始めとし、地方自治体がどれだけ力を入れているか、どれだけ環境が整っているかは非常に大きな意味を持つと思っています。

ちなみに娘は生後50日を過ぎて、だんだん声のバリエーションが色々増えてきて、聞いている方も言葉のボキャブラリーが増えてるみたいで聞いてて面白いです。
機嫌が良いとひとりでコロコロとしゃべっております。

写真、加工してみたんですが、これじゃなんだかわからんですかね・・・まぁ雰囲気だけでも。
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では早速本題に。
ちょうど、私の出産一週間くらい前だったか、大学時代の某学部横断ゼミのメーリングリストで、ご自身が書かれたレポートを回してくれた先輩がいた。

「女性活躍推進」=「少子化推進」の失敗を繰り返さないために -ニッセイ基礎研究所

書かれたのは、ニッセイ基礎研究所で女性活躍推進などの研究をされている天野馨南子さん。
読んでみると、今までの日本は、女性活躍を推進する政策や子育て支援などを頑張ってやってきているが、出生率増加に全くつながっていない、これは何故なのか、というのを掘り下げている内容。
なるほど~と納得の内容だったので、早速ブログで紹介しようと思ったが、私の出産が予定日より早まってしまい、出産前に間に合わず。
産後もバタバタとしているうちに、ダイアモンド・オンラインで大々的に取り上げられた。

政府の「女性活躍推進」が「少子化推進」となってしまう理由 (上)-ダイアモンド・オンライン
政府の「女性活躍推進」が「少子化推進」となってしまう理由 (下)-ダイアモンド・オンライン

というわけで、今更かも知れないが、これから女性としてキャリアもしっかり積んでいきたいと思っていて、子供も、と思っているような20代、30代前半女子には是非知っておいて欲しい内容なので、取り上げようと思います。

1. 何故いままで出生率増加と女性活躍推進が両立できなかったのか

天野さんの論点は、今までの政府は女性活躍と出生率増加の両立を目指していないこと、その真の原因は、女性には妊娠・出産できる生物学的な適齢期があるのに、政策担当者も当の女性自身もあまり意識していないこと、というものだ。

実際、現在の日本の子育て支援は女性リーダー増加にはつながらないものが多い。
このブログでも取り上げてきたように、長期の育休制度など、女性がキャリアを積みながら子育てと両立するより、保育園不足など育児インフラの不足を女性が担うのを支援するものが多い。
長い育休は女性のキャリア形成の妨げになる-Lilacの妊娠・出産・育児ノート)

一方で、女性活躍推進の政策は、出生率増加を結果として妨げるものだった。
これは多くの先進国で1970年以降共通に見られ、社会学では度々指摘されてきた現象だ。
ただ女性の社会進出が進むだけだと、女性の晩婚化・晩産化につながるので、出生率が低下するのである。

天野氏のレポートによると、北欧、イギリス、フランスなどヨーロッパの多くの国では、1990年代以降この問題は徐々に解決され、女性進出と出生率増加を両立出来ているという。ところが、日本の状況は改善されておらず、出生率は低下の一途をたどっている。

何が違うのか、というと「妊産適齢期」という考え方が浸透しているかどうか、ということだという。

詳しくは天野氏のレポートを参照して頂ければと思うが、女性の妊娠率は高齢になるほど落ちることを政策担当者が意識した上で、「妊産適齢期」という考え方を国民に周知徹底し、若いカップルに子供を産ませる政策を打ち出せているか、ということが大きいようだ。 

イギリスでは、年をとると妊娠力が低下することの周知徹底と、若いカップルの貧困率解消。
フランスでは、14歳からの「高齢になると不妊になる」という意識の徹底、若い人の不妊治療の無料化と、43歳以上の治療の禁止・・・など。

こうすることで、1970年代に出生率が大きく低下した国々も、徐々に出生率2.0に向けて回復して生きているのだという。

2. 日本で「妊産適齢期」という考え方をどう定着させるのか

レポートによると「36歳で女性の妊娠率が急激に低下する」ことを知っている比率が欧米で7-8割なのに対し、日本では3割に満たないと言う。

実際、私自身、20代の頃は、30代後半で産むのがそんなに大変になるなんてことは、全く知らなかった。
マスコミではタレントの高齢出産がよく報道されているし、「今は不妊治療とか技術が進んでいるんだから、大丈夫だよね」と思っていたから、20代の頃は本当に仕事を頑張ることしか考えていなかった。
私の場合、周囲の女子も高学歴、20代後半で結婚しているのも2割くらい、という環境なので余計である。
32歳の頃、親から「子供が欲しいなら、そろそろ卵子凍結することを考えなさい。35歳までしか出来ないのよ」と強く勧められ、色々調べ始めて、漸く「あ、そろそろ産まなきゃマズい年齢なんだ」と知ることに。
だから、この数字はとても納得感がある。

「30代後半や40代でも産める」という情報は、30代後半以降で妊活している人が勇気づけられる分には良いが、20代の女性が「まだ産める」と思ってライフイベントを遅らせてしまうのは良くない。

それに、30代後半での1人目出産、というのは出生率増加という意味でも余りよろしくない。
私を含め、30代後半でたまたま一人目を産めたとしても、2人目、3人目を産めるかどうかは分からない。
産める確率は1人目よりもぐっと減るのは確実である。
出生率を考えると、出来れば20代後半で1人目を産む方向に持っていくのが理想的だ。

しかし、日本で「妊産適齢期の周知徹底」を政策として実施するとなると、結構大変そうだ。
フランス政府がやったように「産みたい時ではなく、産める年齢で産むべき」などと言ったり、中学高校で「36歳以降は妊娠率が圧倒的に下がります」と教育したりなどしたら、かなりの感情的な反発が生まれそうだ。

しかし、10代から20代の女性を対象にした「妊産適齢期」教育を高校や大学などで実施することは、産む・産まないは別として、早めに人生設計を考えることにつながる。
もちろん人生設計なんて、産む・産まないも含めて意図したとおりになるとは限らないのだが、何となく生きるのではなく、「30代前半で産むために、早く資格をとって早めにキャリアを積むほうが良いな」とか考えて動くことにつながるので、良い影響を与えるだろう。

もし現在、20代でこの記事を読んでいる方がいたら、是非こんな作業をしてみて欲しい。
横軸に年齢。今の年齢から始まって5年毎に区切って50歳まで書く。縦軸は2つに分けて仕事とライフイベントと書く。
仕事の欄には、自分は何歳でどんなスキルや資格を身に着けているか、会社勤めならどんな役職でどんな仕事をしているかを書く。
ライフイベントの方には、未婚のことはとりあえず結婚は飛ばして、子供は何歳で何人産むのかを書く。
5歳ごとに区切った最初のところで、各子供が何歳なのか、自分の親は何歳なのか、を書き込む。
この作業をすると、5年毎のライフステージごとに、自分はどんな仕事をしながら、どのくらいの年の子供を育てているのか、親の介護をやっているのか、などの想像がわくようになろうだろう。

「妊産適齢期」に加え、このような作業をして人生設計を早めにすることで、若いうちにやるべきことや指針が見えてくる。是非高校や大学で積極的に取り入れて欲しい。

3. 20代で産んで、育児をしながらキャリアを形成し、女性リーダーを増やしていく政策とは

さて、私など、ある程度のキャリアを作ってから結婚→出産しているから、これからもキャリアと育児の両立は想像がつく。
なぜなら、スキルや社内の人間関係も構築できているので、産休や育休を取って仕事に復帰した時、自分が帰る場所があるし、どうすれば必要とされるかが分かっているからだ。

一方、先ほど書いたように、出生率増加を考えると、個人の立場からしても2人目、3人目が欲しいと考えているなら、20代のうちに産み始めるのが理想的である。

しかしながら、自分がもし20代後半で子供を産んで、同じようにキャリアを積めたのだろうか、と思うと、今の日本の状況では難しいのでは、と思ってしまう。 
今の日本の会社では、20代後半といえば、ようやく仕事を覚え始めたくらいの程度だ。
そんな時に、産休や育休を取って帰ってきて「非戦力宣言」されないだろうか、と不安に思う人は多いだろう。

その結果、20代で産んだあと、いわゆるマミートラック(出世は遅いが、育児との両立がしやすい負担の少ない部署で働くコース)に乗って、キャリアの優先順位は下げるか、キャリアを積むのを優先して子供は30代過ぎまで遅らせるのどちらかになってしまう人が多い、というのが現状ではないだろうか。

出生率増加と、女性リーダーを増やしていく、という両方を実現するには、マクロには、20代後半で産みながら、キャリアを積んで、ちゃんと出世コースにも乗れる、という人を増やさないとならないだろう。

何故20代後半で産むこと、と女性のリーダーシップ育成が両立できていないのか、もう少し原因を探りながら、対処方法を考える必要がありそうだ。仮説的には

・「早くキャリアを積める仕組み」 20代後半でも、会社に必要とされる-育休明けでも戦力として会社が保持しようとするキャリア形成の仕組み
・「残業しないのが当たり前」で、残業しなくても出世に響かない働き方

の2つは重要だと考えられるが、これは一朝一夕でできる事ではない。

すぐには残業が減らせないのであれば、保育園を増やすというベーシックな話に加えて、保育園の時間延長、保育園以外を使う場合(ベビーシッターなど)への金銭的援助などを行うなどにより、残業しても大丈夫な環境などを整えるしかないだろう。

今までの子育て支援政策は、女性が育児と仕事を両立する、という意味では成功し始めている。
しかし、もう一歩前に行き、女性が育児とキャリア/リーダーシップを両立する、というのが次の世代に必要なことだ。
そのためには育児をしている女性リーダーを増やすこと、ひいては出生率増加と女性リーダー増加を両立することには、もう一歩の支援が必要なのだ、という認識を多くの人が持つことはとても大切だと思う。

長い育休は女性のキャリア形成の妨げになる

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会社のアメリカ人の同僚に、子供が生まれてからどのくらい休むの?と聞かれたので、
「う~ん、3ヶ月で復帰したいけど、状況次第ね。長くても6ヶ月のつもり」 と答えると、「6ヶ月は長いね!早く復帰できるといいね。」 と言われた。
同じことを日本人同僚(年上男性)に話すと、「早く復帰するんだね。頑張ってね」という人から、「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想じゃないか」という心ない反応まで。とにかく「早い」という反応。

米国には法令で決まった産休や育児休暇というものがなく、各企業が制度や金銭的補助を自主的に設けている事が多い。それがだいたい2-3ヶ月。だから、女性の復帰も産後2-3ヶ月が普通だ。それでこの反応なのだろう。
同じことは、東南アジアの各国でも見られ、女性の復帰は産後3ヶ月程度だ。

一方、日本では出産をきっかけに仕事を辞める女性が多いのに加え、育児休暇を子供が1歳(保育園に入れない場合1歳半)になるまで取得できる。その間も給与の67%(ただし上限は3ヶ月間28万円、その後21万円)が保証される。そのためか、1年近く職場を離れる女性が多いので、この反応なのだろう。

(ちなみにヨーロッパ人はアメリカ人に近い反応だ。育休制度は整っているが、キャリアを積んでいる女性は早期復帰の傾向が高いからだ)

日本は、2000年代の政府の涙ぐましい努力のお蔭で、世界でもまれに見る、育児休暇の整った国だ。
日本より制度的に育休が長く、給付額も大きい国は、他にはスウェーデンくらいしか無いのではなかろうか。

各国の育児休暇制度との比較はこんなページで見られる
・最近のもの(2015年2月)→ 国際比較から見る日本の育児休業制度の特徴と課題
・ちょっと前(2010年12月)→ 男性の育児休暇を促す育児休業制度のあり方
・だいぶ前、でもP49の表が見やすい(2005年)→主要国における仕事と育児の両立支援策

しかし、育児休暇が長いことは本当に良いことなのだろうか?

こういう制度は、働く女性が子育てをするのを支援するものだが、決して女性がキャリアを積むのを支援するものではない。
もっと言ってしまうと、保育所やシッターなどの育児インフラが整っていないので、働く女性(または男性)に給付金を与え、休ませて子育てをさせ、キャリア形成を阻害している、という見方もできる。

働く立場から見ると、職務にもよるが、1年ものブランクがあると色んなスキルや感覚が鈍ってしまう。
社内のネットワークも希薄になるし、営業等であれば、顧客との関係も今より薄くなってしまうだろう。
それらをもう一度再構築して、キャリアを築き始めるのには時間がかかる。
妊産適齢期である20代から30代前半にかけては、体力もあり、仕事上のスキルを身につけながら、キャリアを駆け登っていく時期だ。そんな時に、一人産むごとに1年も休んでいるのは、もったいない。

職場から見ても、1年ブランクがある社員を、復帰のサポートをしながら使うのは結構な負担だ。
これが3ヶ月程度なら、欧米で言えば長期のバカンス程度に過ぎず、そこまでサポートしなくても、フル戦力になってもらえるだろう。

日経文庫「女性が活躍する会社」 には次のような下りがある。
空調設備で世界一のダイキン工業は、2014年に、出産後6ヶ月未満で職場復帰する女性社員に対して、最初の1年の保育補助費を従来の30万円から60万円に増額するという人事施策を導入しました。(中略)
ダイキン工業の井上礼之会長兼CEOは、「本人にとってもブランクは短いほうが現場感覚が鈍らないし、キャリア形成もしやすい」と、制度導入に踏み切った背景について説明しています。

井上会長は、ワーキングマザーは大変だからと、責任ある仕事を任せないのは「優しさの勘違い」だとも指摘しました。その「優しさ」に安住していたら、いつの間にか戦力外になってしまうリスクが有るのですが、企業で働く女性も、そこに目をつむっていたのです。   
女性が子育てをしながら、キャリア形成を支援する施策というのは、育児休暇中の給与を補償するものではなく、早期の職場復帰を促しながら、ベビーシッターなども必要に応じて雇えるほど金銭面でのサポートをする、このダイキン工業のような施策を言うのだろう。

女性の早期の復帰を阻むのは、保育所不足問題と、その代わりに育休を長く取れる制度のせいだけではない。
母親は子育てを優先すべき、という周囲の価値観や期待が、早期復帰しようという女性をとどまらせる。
「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想だよ」「お母さんは子供にとって一人なのだから」などの言葉が、悪気もなく、女性だけに浴びせられる。

なお、「子供が可哀想だ」という人たちは、決してあなたの子育てを手伝うわけでも、あなたのキャリアを築く協力をするわけでもない。
むしろ、あなたのキャリアに興味もないから、こういう言葉が悪気もなく出てくるのだろう。
本当にあなたのキャリアを築く協力をしようと思っている人たちは、こんなことは言わない。

例えば、私には、会社に何名かの男性のメンターがいるが(メンターとは→参考記事)、彼らはこのようなことを言う。
「早く復帰したいなら、会社として出来る限りのサポートをする。
でも、子育てを楽しんでゆっくり復帰したいなら、復帰した後に、しっかりとキャリアを再形成出来るように協力するから、安心して休みなさい。
子供を産み育てることで、人として大きく成長することが、キャリア形成にも非常に意味があるから。」

ブランクは短いほうが、本当は、本人は楽にキャリアを築けるので良い。長く育休を取ればきっと苦労するだろう。
でも子育てにしっかり時間を使いたいという考え方もあるから、強制は出来ない。子育てでキャリア形成に学ぶところもあるだろう。
どんな選択肢を取っても、協力をしよう。
あなたを本心からサポートしようとしてくれる人はこのように考えるものだ。「子供が可哀想」「母親は一人だ」など、他人事でしかない人達の話を真に受ける必要は全くない。

話を戻して。
日本の両立支援制度が、育児休暇を長く取りやすい方向だけに進むとしたら、大きな問題である。
保育所やベビーシッター・学童保育、およびそこへの補助金などを充実させること。
育児休暇時の給与補助ではなく、保育費等の金銭的補助をすること。
こうやって、女性が出来るだけ短いブランクで働き続けられるほうが、安部政権が目指している「少子化を解消しながら、女性リーダーを増やす」という目標には近づくだろう。

追記: 先週の記事「パートタイム育休」制度は、どうしても保育園が見つからず高いけど無認可で・・というような女性の職場への早期復帰を促すものだと考えています。
提言:「パートタイム育休」は可能なのか
提言:「パートタイム育休」は可能なのか-Part 2 反響まとめ

追記2: 誤解がないように補足すると、この記事の趣旨は、現在の政策が「育児休暇を支援」することに重きを置かれていることへの批判です。本当に女性のキャリアをサポートするなら、育児支援金を出すとか、保育所などの施設を増やす方にも行くべき、というものです。
「キャリアを優先したいけど、金銭的な理由等で出来ない女性に無理をしろ」という趣旨ではないです。(もちろん意識改革は必要ですが・・)

参考文献

女性が活躍する会社 (日経文庫)
大久保 幸夫
日本経済新聞出版社
2014-10-16

 
「女性活躍推進」=「少子化推進」の失敗を繰り返さないために-超少子化社会、脱却への処方箋-
ニッセイ基礎研究所 天野馨南子
・・・こちらは妊産適齢期の20代後半の女性へのサポートの必要性を訴えるもの 
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