Lilacの妊娠・出産・育児ノート

キャリア志向の強い女性や、仕事で既に責任ある立場にあったりする女性向けの妊娠・出産・育児ブログ。 妊娠したときのTips集、キャリアと妊娠・育児を取り巻く論点、女性リーダーシップと子育ての両立、日本と海外の状況比較、今は仕事に没頭中だけどいずれは子供も欲しいと思う若い女性向けのメッセージなど、様々な話題をお届けします

書評

書評:LEAN IN-女性、仕事、リーダーへの意欲

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
シェリル・サンドバーグ
日本経済新聞出版社
2013-06-26


本書が発売されてから、既に1年半が経っており、今更書評する本ではない、と思うかも知れない。でも、女性のリーダーシップを語る上でこの本は避けて通れないし、また今まで時間や機会がなくて読んでいない方もいらっしゃるだろう。そして、私自身今回読み返して、ライフステージで学びが変わる良書だと思ったので、敢えて書評を書くことにした。
まだ読んでいないという方は、是非この機会に読んで欲しいが、一度読んでいる方も、また読み返して欲しい本である。この本は、女性のライフスタイルの様々なステージにおけるアドバイスが書かれている。だから、前に読んだ時と違う人生のステージにあれば、異なる部分がアドバイスとして耳に入ってくるだろう。

私の場合、前回読んだ時は、昇進したばかりで意気揚々としていたからか、キャリアパスの描き方や、女性が成功するためのメンターシップの築き方の章が心に刺さった。今回は、リーダーとして様々な苦労を経験したり、結婚・妊娠を経たためか、リーダーのコミュニケーションの話や、妊娠を前にしてリーダーシップをとれなくなる女性へのメッセージ、家庭でのパートナーシップの築き方が心に響いた。1年半という月日は、特に20代、30代の若い女性にとっては、人生のステージが変わるのに十分な長さだ。だからこそ、今一度読んで欲しい、と思う。

残念な日本の女性リーダーシップ率。でも歩く人が多くなれば、それが道になるはず。

さて、この本を序章から読んで、日本人として引っかかるのは、先進国の中でも女性リーダーが少ない国として、常に日本が挙げられていることだろう。議会に占める女性議員の比率、実業界で女性の取締役の比率、給与の男女差、アメリカでも、全てにおいて女性のほうが少ないのだが、「一方日本では、」という形で、先進国の中でも特に低い日本の数字がわざわざ示されており、これが世界中の人々に読まれているのかと思うと恥ずかしくなる。例えばこんな感じだ。

アメリカでは上級執行役員の14%、取締役の17%が女性だが、この数字は過去10年間ほとんど変わっていない。(中略)ヨーロッパの場合には、女性の取締役は全体の14%である。一方日本では、経営執行委員会の女性の割合はわずか1.1%に過ぎず、大企業の会長をつとめている女性は一人もいない。これは、女性の経営参加率としては先進国の中で最低の数字である。

問題は、取締役などの女性比率が日本より圧倒的に高いアメリカにおいても、シェリル・サンドバーグがこの本を書いて啓蒙するほどに、未だに女性リーダーには苦労が多いということだ。はるかに遅れている日本では、女性たちがアメリカみたいに働くようになるには、ましてや女性リーダー比率を更に引き上げる目標に向けては、もっとたくさんの苦労が必要になるのだろう、と思うと気が滅入りそうになるが、魯迅がかつて書いたように「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になる」のである。

日本では、1985年の男女雇用機会均等法世代の女性達が、男も女も同等に働けるんだということを身を持って示してくれた。数は少ないが、女性取締役になったり、部長などで活躍している女性たちが、道を切り開いてくれた。
また、1998年以降に就職し、育休制度が整い始める中で子供を産んだ世代の女性達が、出産や育児と両立しながらも、仕事を続けられることを示してくれた。
そして、その後に就職した女性たちは、私も含め、出産・育児と仕事を両立するだけでなく、シェリルのように出産・育児とリーダーになることを当然のように両立するようになってほしい。それが、更に次の世代が歩く道を作ることになるからだ。

妊娠・育児を始める前から、両立を不安に思う必要はない。むしろ子供を産む前に、新しいことを始めるべき

先週、「イクメン礼賛」だけでは解決しない、キャリアと育児を両立する女性活用問題 という記事の中で書いたが、私自身、まだ結婚も決めていない女性若手社員や、就職活動中の女子学生から、「キャリアを考えるといつ産むべきか」「どうやって両立すればよいのか」など、キャリアと出産・育児の両立についての不安や、質問を受けることが度々ある。

女性が、実際に妊娠するはるか前から、育児との両立を不安に思い、キャリア選択を躊躇するのは日本だけではなく、アメリカでも同じであることが、この本にも書かれている。シェリル・サンドバーグはそんな話の象徴として、ある本に書かれている5歳の女の子の話を紹介している。

その子には大好きな男の子がいるのだが、ある日動転した様子で家に帰ってくると、「あの子もあたしも宇宙飛行士になりたいの。困っちゃう」と言う。ママは意味がわからず、一体何が問題なの、と尋ねた。「だって私達がふたりとも宇宙に行っちゃったら、誰がベビーの面倒を見るの?」
なんと5歳にして、宇宙飛行の最大の障害は子育てなのだ。

私自身、妊娠しようと思って活動していた時、そして妊娠がわかった時、自分でリーダーシップを取って、新しいことを始めることを躊躇した。自分が何かを始めても、体調を崩したり産休に入って中途半端になるかもしれないし、とか、責任をとれなくなるかもしれない、と不安に思い、新しいことを始められないでいたのだ。
その後、「リーダーシップと妊婦であることを両立する5つの方法」という記事で書いたように、そんな状況であってもリーダーシップを取って何かを始めるためのコツをつかみ、出来るようになった。
しかし、もっと前から悩まずに、当たり前のように出来ていれば良かったのに、と今でも思う。

シェリル・サンドバーグも言う。 「子育てのために仕事を辞めようか考えるのは、子供が生まれた時。その前ではない。ましてや何年も前ではない」。むしろ、子供を持つ前こそ、新しい仕事を始めるべきだと後輩たちに勧めているのである。こんなエピソードがある。

内定通知を出すと、彼女はいくつか確認したいことがあるからとオフィスにやってきた。(中略)ミーティングが終わって彼女が立ち上がった時、私は一歩踏み込んでみることにした。「もしかするとあなたは近々子供を産みたいと計画していて、内定を辞退しようと考えているのではないかしら。」(中略)彼女は戻ってきてまた座った。「是非お話させて下さい」。そこで私は言った。直感には反するかも知れないが、子供を持つ直前というのは、実は新しい仕事を始めるのにまたとない良い時期なのだ、と。新しい仕事が面白くて得るものが多いと分かれば、出産後にわくわくして職場復帰できるだろう。もし、転職を考えるような今の仕事にとどまるか、あるいは仕事からすっかり離れた状態で出産したら、もう犠牲を払ってまでやる価値が有るようには思えなくなるかもしれない。彼女はフェイスブックに入ることを決めた。働き始めた時には妊娠しており、8ヶ月後に無事出産。4ヶ月の産休を取ると、大好きな仕事に戻ってきた。

全くそのとおりだ。
私は両立することの不安を克服し、リーダーシップを取って新しいことを始めた結果、今は早く産休・育休から戻って、自分が始めた新しい仕事を再開することにワクワクしている。そして、産休に入った今でも同僚やクライアントに呼ばれ、会議に出席したり、電話やメールで問い合わせが来たり、頼りにされているのがわかる。産休・育休が明けて、帰ってくる場所が自分にはあるのだ、と思う。自分がいなくても仕事が進むよう、引き継ぎをきちんとするのは大切だが、新しいことを始めることを躊躇する必要は全くないと、今は思っている。


シェリル・サンドバーグのこの本を読んで思うことは山のようにあるが、そろそろ切り上げよう。この本は、そのような形で、読み手の人生のステージや直面している課題になって、どの部分が響くか、ということが変わってくる。そのくらい、たくさんの課題について、データや、彼女自身の経験と思ったことが詰め込まれており、何度読んでも読み飽きることのない名著だ。むしろ、読み飽きてしまうくらいの時には、 女性のリーダーシップに関する様々な問題が解決している、望むべき時代なのかもしれない。 

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「へえ、あいつも女の幸せに目覚めたの」
「超バリバリ働いてたのがあっさり辞めちゃってさ、もったいないよね」
社会人6年目で出産した私自身が、友人が、そして今回のインタビュー対象者を紹介してもらう上で、何度も聞いた台詞だ。いや、思えば社会に出て以来、聞かされ続けて来たことだ。
「女は結婚すると皆、あーなっちゃうんだよな」「お前はああいう風になるなよ」 

こんな序文から始まる本書は、そんな風にバリバリ働いていたキャリア志向の女性たちが、妊娠・出産をきっかけに仕事を辞めてしまう経緯、そしてそれを起こしている構造的な問題を、15人の女性たちのインタビューを通じて明らかにしたものだ。

本書のインタビューによれば、実は、男性と遜色なくバリバリ働きたいという思考を持つマッチョ志向の女性ほど、出産をきっかけに仕事を辞めている。中には専業主婦になっていく人もいる。一方で、就職活動の時から「自分は育児もしたい」と、社会の中の女性的役割を受け入れている女性のほうが、結果としてキャリアを継続している。著者が序文で問題提起しているように、「バリキャリ女性ほど、突然女の幸せに目覚めたかのように辞めていく」ということが、実際に起こっているのである。女性の意識と一見逆転しているように見えるかのようなことが、何故起こるのだろうか。

読み進めるほどに、 マッチョ志向の女性は、学生時代から「私は男と同等に、ハンディ無しでバリバリ働きたい」と考え、男性比率の高い伝統的な職場に飛び込む傾向が高いことが浮き彫りにされていく。そして、働きながらも「女性だから」という理由でサポートを得ることを潔しとしない。
そんな職場にいながら、たまたま20代で結婚し、妊娠、出産をしてしまったら、その後の職場からの育児と両立するためのサポートが得られなくなってしまうのだ。または妊娠した女性の待遇が分からない周囲からは、腫れ物に触るように過剰に扱われ、一般職の女性と同じ職務に追い込まれる。本人は元々求めていたやりがいを得られず、「何のために子供との時間を犠牲にして、仕事しているんだろう」と悩み、裏切られたような、半ば諦めの気持ちで離職していくのだ。
一方で、女性的役割を受け入れる女性のほうが、バリバリ働くやりがいよりも、育児と仕事を両立できるような職場環境を重視して職場を選んでおり、結果として周囲の理解やサポートを得られ、キャリアを継続できているのである。

結局のところ、女性自身の意識や努力よりも、職場における女性への待遇やサポートの方が、女性のキャリア継続に重要であること、そしてそういった職場を最初から選ぶか否かが、女性のキャリア形成に大きく影響しているのである。

15人という少人数の調査だが、それぞれの女性に納得の行くストーリーがある。
辞めていくバリキャリ女性が、決して「女性としての幸せに目覚めたから辞めていく」のではないこと。そして育児をしたい思考も強く、職場もそれで選んだ女性が、周囲のサポートを得て、キャリアとの両立を真剣に考えるように変わっていく様子が描かれており、それをつなげてストーリーとして読むのも面白い。

本書に登場する15人は、育児休暇等の制度が整い始めた2000年代に就職、その後20代で結婚、20代のうちに第一子を出産している。世の中には、私のようにある程度のキャリアを積み、30代半ばを過ぎてから出産するケースも多くあり、彼女たちは違う課題が問題となるので、女性のキャリアと育児の両立がこの本で全て解決できるというものではない。しかしながら、こういった20代結婚・出産をすることが普通に出来るような環境にならないと、少子化問題は解決しないので、その意味でも本書は十分に大きな問題提起をしていると思う。
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