Lilacの妊娠・出産・育児ノート

キャリア志向の強い女性や、仕事で既に責任ある立場にあったりする女性向けの妊娠・出産・育児ブログ。 妊娠したときのTips集、キャリアと妊娠・育児を取り巻く論点、女性リーダーシップと子育ての両立、日本と海外の状況比較、今は仕事に没頭中だけどいずれは子供も欲しいと思う若い女性向けのメッセージなど、様々な話題をお届けします

女性のキャリア

高学歴専業主婦も35歳までにキャリアの目処は立てること

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昨年、ハーバードなどの有名大学を卒業して専業主婦になるアメリカの高学歴女子が増えている実態を描いた「ハウスワイフ2.0」が話題になったが、日本でも東大卒の専業主婦というのは実はとても多い。

ハウスワイフ2.0
エミリー マッチャー
文藝春秋
2014-02-24


何で東大を卒業してわざわざ専業主婦に・・・と言う人もいるかもしれないが、これは「学歴が高いほど、職業の選択肢が豊富である」ということと矛盾していない。
実際のところは、仕事を続けたかったが、育児と両立が難しくて仕方なく仕事を辞めた、夫の転勤に伴いやめざるを得なかった、という人が多いと思う。
そういう状況でも、専業主婦になるならそれはそれで割りきって、専業主婦ライフを楽しめる人が多いのは、やはり高学歴のなせる技なのだろう。
高学歴女子の方が、高学歴で高収入の男性と結婚する機会が多いとか、本人に実力もあるので主婦をやりながらの高収入の副業(例えばZ会の添削や試験作成)も可能とか、料理やお裁縫など専業主婦生活にもうまく楽しみを見出してブログ発信、はたまたネットショップなどで起業などという人も。いざ仕事に復帰しようとしても学歴と経歴が後押ししてやりやすい・・・など色んな背景があり、贅沢な選択、とも言える。

でも「ハウスワイフ2.0」でも指摘されているように、有名大学を卒業した彼女たちは本当に専業主婦をやり続けるのが良いのか、そのつもりなのかと言われると、子供がある程度の年まで育ったら、自分の学歴などを活かして仕事に戻りたいと内心思っている人は多い。

もし人生の途中で専業主婦になることを選んだ彼女たちが、将来的に復職してキャリアを積むとか、補佐的な仕事ではなくてリーダー的役職について仕事をする、ということに興味があるならば、35歳くらいまでには復職し、またはキャリアの目処を立て、40歳になるまでには何らかの結果を出すことを非常に強くお勧めする

実は、高学歴女子が専業主婦を5年やっていて復職する、というケースでも、30歳と35歳では雲泥の差がある。
30歳での復職なら、かなり広い職業の選択肢があり、もう一度「キャリアのトラックに乗る」ことも可能だが、35歳になるとそのような選択肢はかなり狭まってしまう。
就職・転職市場には「35歳の壁」があるのだ。

これは男性も同じなのだが、高学歴の人ほど、20代の頃に様々な選択肢が選べ、引く手あまただったので、35歳を過ぎると急に選択肢が減るということを知らない人が多い
 
転職エージェントをやっていた私の知人には「専門性を変えるような転職は35歳までにしろ」と口酸っぱく言われていた。専門性を変える転職とは、例えば、これまで営業職をやってきた人が、経営管理職に行くとか、コンサルティングやファンドに転職するとか、同じ営業でもIT営業だったのが、製薬メーカーの営業になるなどの転職のことだ。

彼によると、35歳を超えると専門を変えて、ゼロから実績を積み上げさせてくれるような求人は一気に無くなるという。一見、年令に関係なく求人をしているが、それは既に専門性を積んだ人をふるい落とさないようにするため。35歳を過ぎて、専門を変えようと転職活動している人は、学歴や経歴の良い人であっても非常に苦労しているのだという。

35歳という年は、大学を卒業して一つの職種に就いている人なら、5年、10年はその仕事をやって実績があり、部下や後輩の指導なども行いながら、かなりの責任ある仕事を任せることができる、企業からみるとかなり生産性の高い年代だ。どうしても、それと比較してしまうので、35歳以上を採用するのはコストの割にリスクが大きいのだ。
また、35歳で就職・転職となると、多くの場合上司は年下となることを覚悟したほうが良い。

なお、35歳を過ぎるとゼロからの転職は難しい、というのは海外でも同じ傾向。だから、日系だから、外資系だから、ということではない。
また、既にキャリアを積んでいる人であっても、35歳を過ぎると積んだキャリアから専門性を変えるのは難しくなるのは同じであり、選択肢の幅は狭まっていく。

専業主婦になる前に仕事をしていても、資格があるなど相当専門性の高くない限り、ブランクの後で復職するのは、上の「専門性を変える転職」と変わらない。
もちろん、全く就職ができなくなるということではなく、補佐的な仕事ではなくリーダー的役職に就けるトラックに乗るとか、東大卒という学歴などを活かしての就職が難しくなるということだ。
そしてその場合でも、ベンチャーなど規模の小さい企業などに限られるなど、選択肢が限られるということ。

だから、高学歴女子で、現在専業主婦をやっており、いずれは復帰・・・と思っている人で、35歳以下の人は、かなり真剣に復職に向けた活動を始めること。転職エージェントに登録したり、相談したりなど始めるべき。
また、35歳を過ぎている、という人はかなり選択肢が狭まっていることを覚悟して、エージェントへの登録はもちろんのこと、人づてなどをもっと真剣に使いつつ、活動することを強くおすすめする。 

長い育休は女性のキャリア形成の妨げになる

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会社のアメリカ人の同僚に、子供が生まれてからどのくらい休むの?と聞かれたので、
「う~ん、3ヶ月で復帰したいけど、状況次第ね。長くても6ヶ月のつもり」 と答えると、「6ヶ月は長いね!早く復帰できるといいね。」 と言われた。
同じことを日本人同僚(年上男性)に話すと、「早く復帰するんだね。頑張ってね」という人から、「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想じゃないか」という心ない反応まで。とにかく「早い」という反応。

米国には法令で決まった産休や育児休暇というものがなく、各企業が制度や金銭的補助を自主的に設けている事が多い。それがだいたい2-3ヶ月。だから、女性の復帰も産後2-3ヶ月が普通だ。それでこの反応なのだろう。
同じことは、東南アジアの各国でも見られ、女性の復帰は産後3ヶ月程度だ。

一方、日本では出産をきっかけに仕事を辞める女性が多いのに加え、育児休暇を子供が1歳(保育園に入れない場合1歳半)になるまで取得できる。その間も給与の67%(ただし上限は3ヶ月間28万円、その後21万円)が保証される。そのためか、1年近く職場を離れる女性が多いので、この反応なのだろう。

(ちなみにヨーロッパ人はアメリカ人に近い反応だ。育休制度は整っているが、キャリアを積んでいる女性は早期復帰の傾向が高いからだ)

日本は、2000年代の政府の涙ぐましい努力のお蔭で、世界でもまれに見る、育児休暇の整った国だ。
日本より制度的に育休が長く、給付額も大きい国は、他にはスウェーデンくらいしか無いのではなかろうか。

各国の育児休暇制度との比較はこんなページで見られる
・最近のもの(2015年2月)→ 国際比較から見る日本の育児休業制度の特徴と課題
・ちょっと前(2010年12月)→ 男性の育児休暇を促す育児休業制度のあり方
・だいぶ前、でもP49の表が見やすい(2005年)→主要国における仕事と育児の両立支援策

しかし、育児休暇が長いことは本当に良いことなのだろうか?

こういう制度は、働く女性が子育てをするのを支援するものだが、決して女性がキャリアを積むのを支援するものではない。
もっと言ってしまうと、保育所やシッターなどの育児インフラが整っていないので、働く女性(または男性)に給付金を与え、休ませて子育てをさせ、キャリア形成を阻害している、という見方もできる。

働く立場から見ると、職務にもよるが、1年ものブランクがあると色んなスキルや感覚が鈍ってしまう。
社内のネットワークも希薄になるし、営業等であれば、顧客との関係も今より薄くなってしまうだろう。
それらをもう一度再構築して、キャリアを築き始めるのには時間がかかる。
妊産適齢期である20代から30代前半にかけては、体力もあり、仕事上のスキルを身につけながら、キャリアを駆け登っていく時期だ。そんな時に、一人産むごとに1年も休んでいるのは、もったいない。

職場から見ても、1年ブランクがある社員を、復帰のサポートをしながら使うのは結構な負担だ。
これが3ヶ月程度なら、欧米で言えば長期のバカンス程度に過ぎず、そこまでサポートしなくても、フル戦力になってもらえるだろう。

日経文庫「女性が活躍する会社」 には次のような下りがある。
空調設備で世界一のダイキン工業は、2014年に、出産後6ヶ月未満で職場復帰する女性社員に対して、最初の1年の保育補助費を従来の30万円から60万円に増額するという人事施策を導入しました。(中略)
ダイキン工業の井上礼之会長兼CEOは、「本人にとってもブランクは短いほうが現場感覚が鈍らないし、キャリア形成もしやすい」と、制度導入に踏み切った背景について説明しています。

井上会長は、ワーキングマザーは大変だからと、責任ある仕事を任せないのは「優しさの勘違い」だとも指摘しました。その「優しさ」に安住していたら、いつの間にか戦力外になってしまうリスクが有るのですが、企業で働く女性も、そこに目をつむっていたのです。   
女性が子育てをしながら、キャリア形成を支援する施策というのは、育児休暇中の給与を補償するものではなく、早期の職場復帰を促しながら、ベビーシッターなども必要に応じて雇えるほど金銭面でのサポートをする、このダイキン工業のような施策を言うのだろう。

女性の早期の復帰を阻むのは、保育所不足問題と、その代わりに育休を長く取れる制度のせいだけではない。
母親は子育てを優先すべき、という周囲の価値観や期待が、早期復帰しようという女性をとどまらせる。
「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想だよ」「お母さんは子供にとって一人なのだから」などの言葉が、悪気もなく、女性だけに浴びせられる。

なお、「子供が可哀想だ」という人たちは、決してあなたの子育てを手伝うわけでも、あなたのキャリアを築く協力をするわけでもない。
むしろ、あなたのキャリアに興味もないから、こういう言葉が悪気もなく出てくるのだろう。
本当にあなたのキャリアを築く協力をしようと思っている人たちは、こんなことは言わない。

例えば、私には、会社に何名かの男性のメンターがいるが(メンターとは→参考記事)、彼らはこのようなことを言う。
「早く復帰したいなら、会社として出来る限りのサポートをする。
でも、子育てを楽しんでゆっくり復帰したいなら、復帰した後に、しっかりとキャリアを再形成出来るように協力するから、安心して休みなさい。
子供を産み育てることで、人として大きく成長することが、キャリア形成にも非常に意味があるから。」

ブランクは短いほうが、本当は、本人は楽にキャリアを築けるので良い。長く育休を取ればきっと苦労するだろう。
でも子育てにしっかり時間を使いたいという考え方もあるから、強制は出来ない。子育てでキャリア形成に学ぶところもあるだろう。
どんな選択肢を取っても、協力をしよう。
あなたを本心からサポートしようとしてくれる人はこのように考えるものだ。「子供が可哀想」「母親は一人だ」など、他人事でしかない人達の話を真に受ける必要は全くない。

話を戻して。
日本の両立支援制度が、育児休暇を長く取りやすい方向だけに進むとしたら、大きな問題である。
保育所やベビーシッター・学童保育、およびそこへの補助金などを充実させること。
育児休暇時の給与補助ではなく、保育費等の金銭的補助をすること。
こうやって、女性が出来るだけ短いブランクで働き続けられるほうが、安部政権が目指している「少子化を解消しながら、女性リーダーを増やす」という目標には近づくだろう。

追記: 先週の記事「パートタイム育休」制度は、どうしても保育園が見つからず高いけど無認可で・・というような女性の職場への早期復帰を促すものだと考えています。
提言:「パートタイム育休」は可能なのか
提言:「パートタイム育休」は可能なのか-Part 2 反響まとめ

追記2: 誤解がないように補足すると、この記事の趣旨は、現在の政策が「育児休暇を支援」することに重きを置かれていることへの批判です。本当に女性のキャリアをサポートするなら、育児支援金を出すとか、保育所などの施設を増やす方にも行くべき、というものです。
「キャリアを優先したいけど、金銭的な理由等で出来ない女性に無理をしろ」という趣旨ではないです。(もちろん意識改革は必要ですが・・)

参考文献

女性が活躍する会社 (日経文庫)
大久保 幸夫
日本経済新聞出版社
2014-10-16

 
「女性活躍推進」=「少子化推進」の失敗を繰り返さないために-超少子化社会、脱却への処方箋-
ニッセイ基礎研究所 天野馨南子
・・・こちらは妊産適齢期の20代後半の女性へのサポートの必要性を訴えるもの 
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