Lilacの妊娠・出産・育児ノート

キャリア志向の強い女性や、仕事で既に責任ある立場にあったりする女性向けの妊娠・出産・育児ブログ。 妊娠したときのTips集、キャリアと妊娠・育児を取り巻く論点、女性リーダーシップと子育ての両立、日本と海外の状況比較、今は仕事に没頭中だけどいずれは子供も欲しいと思う若い女性向けのメッセージなど、様々な話題をお届けします

キャリアとの両立

電通過労死事件-長時間労働を美徳としてはいけない本当の理由

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妊娠38週に入り、こどもと公園に遊びに行ったりなど、産休を楽しんでます。
とはいえ、あさってが出産予定日なので時間は限られているんですが(汗)、この件はどうしても記事にしておきたいと思い、筆を執りました。

■ 電通女性社員の過労死事件を巡って-「100時間程度の残業で…」発言の是非

昨年(2015年)末、電通の新入社員の女性が自殺。
この件が、今年の10月7日になって、長時間の過重労働が原因だったとして労災認定されたことが明らかになった。

これを受けて、武蔵野大学の長谷川教授が「月あたり残業時間が100時間を超えたくらいで過労死するのは情けない」とTwitterに投稿し、「時代錯誤だ」などと大きな批判を浴びた。
長谷川秀夫教授「残業100時間超で自殺は情けない」 投稿が炎上、のち謝罪 

この方は、もともと東芝の経理部門に勤務しており、その後、コーエイやニトリなどの取締役を経た後、現在は武蔵野大学の教授をやっているようである。
上場企業の経理部といえば、予算決算時期は会社泊まり込み・土日出勤は当たり前で、残業200時間超(しかもサービス残業が主)なんてところも未だにザラだろう。
そんな中で、自分がやらなきゃ会社が大変なことになるという責任を感じつつ、仕事にプロ意識と誇りを持ってやりきってきた経験から、ついツイートしてしまったのかもしれない。

問題になったツイートがこちら。
 
月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない。会社の業務をこなすというより、自分が請け負った仕事をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない。自分で起業した人は、それこそ寝袋を会社に持ち込んで、仕事に打ち込んだ時期があるはず。更にプロ意識があれば、上司を説得してでも良い成果を出せるように人的資源を獲得すべく最大の努力をすべき。それでも駄目なら、その会社が組織として機能していないので、転職を考えるべき。また、転職できるプロであるべき長期的に自分への投資を続けるべき。

このツイートは大変なバッシングを受け、長谷川教授は謝罪のコメントを出したが、その謝罪もバッシングの対象となって、大学からは処分も検討するなどと言われている状況だ。

しかし、ネット上の反応を見ていると、長時間労働は仕方ない、俺はもっとやっていた、などとお考えの方は少なくないように見える。
長谷川教授バッシング以降は影を潜めたが、FacebookなどのClosedなSNSでは「え、100時間で自殺?少なくない?(注)」「俺なんか若いときは残業150時間超えザラだった」などのコメントがよく見られた。 
(注)認定105時間なので、実際の残業時間はもっと長く、150時間程度だったのでは?という説もある。 しかし後で述べるように時間の問題ではない。

過去に仕事で「自分がやらなきゃ誰がやるんだよ」という極限状況に追い込まれ、給与に見合わない多大な責任を負わされ 、長時間労働を強いられ、それでも歯を食いしばってやりきった人たち。
更には、それが自分の成長の糧になったと信じている人たち。
そういう人たちが結構いて、こんな反応をしているように見える。

■ 「プロ意識があれば、長時間労働は苦にならないはず」とは、会社に都合よく洗脳されちゃった社畜の発想ではないのか

長谷川氏コメントで、私が一番引っかかったのは、
自分が請け負った仕事をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない
という部分である。
まるで、プロ意識がある人は、長時間労働で自己犠牲することを厭わないべきだ、と言っているようで、おかしな話である。

後述するが、プロ意識を持つことと、長時間労働をすることは全く別物である。
プロ意識を持って仕事をし、短時間で切り上げることは可能だし、プロだからこそ自分の時間を大切にし、効率的に仕事を進めるべきだ。

「プロ意識」を理由に長時間労働を正当化するなんて、敢えて不躾な言い方をすると、これは完全に「社畜」として洗脳されてしまった発想ではないか。

少人数しかいないのに、多大な仕事量。これをこなさないと、会社が大変なことになる…俺がやるしか無い、と思ってひたすら頑張る。
それって、その責任感の強さに付け込まれて、仕事を大量に押し付けられただけではないのか?

土日も出勤して150時間残業してるけど、50時間しかつけられず、残り100時間はサービス残業。それでも、50時間つけられれば手取りで10万は増えるし、嬉しい。 奥さんも喜ぶ。
でも、本当は残業150時間すれば手取り30万円増えるはずなのに、欲の無さに付け込まれて、働かされているだけではないのか?

更には、その理不尽な状況を「プロ意識」などと、あたかも自分の意思で選んだかのような言葉で形容してしまう。
それって洗脳されているだけじゃないのか?

■「社畜」に悪い人はいない。むしろ、世の為人の為に頑張る善人が、社畜として洗脳される

さて「社畜」という言い方を不快に感じる人もいると思うので補足する。
ここでいう「社畜」とは、「会社のためになる、組織のためになることを目的に、自分の私生活や信念を放棄してでも働く人」という意味で使っている。
またの名を「企業戦士」とも言う。 

所謂「社畜」には悪人はいない。
むしろ彼らは、会社に入れば、自分を犠牲にしてでも、会社のために頑張ろうと考える素直な善人であり、人のために頑張ることに生きがいを覚えるような人たちだ。
どんなときでも自分の都合を優先する人や、自分勝手な人は、絶対に社畜にはならない。
責任感が強く、無欲で、でも自己成長欲の強い善人ほど、会社という組織に吸収された時、社畜として洗脳されやすい。
(ハンナ・アーレントの定義に従えば悪人かもしれないが…)

こういう「社畜(企業戦士)」は、会社のために自己犠牲を払って働くという宗教に洗脳されているので扱いやすく、なまじやり遂げる能力もあるから出世もしやすい。
しかも、それで成長できたなどと自己洗脳し、自分のことを「社畜」だなんて思っていないので、余計にたちが悪く、部下や後輩に対しても、同じことを推奨する(時に強要する)。
結果として、長時間労働を美徳とする日本独特の企業文化や、どこかで長時間労働を乗り越えないと出世できない評価の仕組みはなくならない。

その文化と仕組みの中で、一番損をするのは誰だろうか?
それは明らかに、女性であり、また子育てや家庭にも時間を割きたいと考えている若い男性である。

■ 妊娠・出産・育児を通じて気がついた、長時間労働を美徳としてはならない本当の理由

かく言う私も、36歳になるまでずっと、長時間労働も厭わず働く「社畜」であった。
東大の博士課程を中退して、拾ってもらったコンサルティングファーム。
新入社員の頃は、夜中の2時3時まで仕事し、土日出勤も多々あったが、「給料も貰えて、将来の展望も描ける。大学院で研究してるより恵まれた環境だ~」と思って、何の不満もなかった。
体力もあったのか、夜中まで猛烈に働くことで悪名高い上司(笑)と組んで、徹夜続きで周囲の社員が次々倒れる中、特に体も壊さず仕事を続けていた。
そのせいなのか、ある程度早く出世もさせてもらったと思う。

「こんなやり方じゃダメだ、人生が破綻する」と気づいたのは、36歳で妊娠して、子どもが生まれてからだった。

子育ては、自分が主たる責任者となると、本当に時間とエネルギーを吸い取られる。
子どもを朝起こし、着替えさせ、何か食べさせて、保育園に送る。
夕方には仕事を何とか終わらせ、いや、終わってなくても会社を出て、保育園に迎えに行き、1時間くらい一緒に遊んで、風呂に入れて、寝かしつける。
終わらない仕事は、子どもが寝静まってからからやるしかない。
仕事の間も、熱などで保育園から電話がかかってくると、自分が迎えに行くか、シッターを手配し迎えに行ってもらう。
病気になれば病院にも連れて行く。家事も、子どもがいると大人だけの生活の2倍、3倍に膨れ上がる。

うちは、主人と私は完全に育児・家事を折半しているし、家事サービスを雇って、家事は半分以上外注している。
それでも私の感覚としては、仕事にかけられる時間は社畜時代の半分程度になった。
私が組織の中で成功するには、その半分の時間で、長時間労働の人と同じ以上の価値を提供するか、或いは常駐のシッターを雇って子育てを完全外注し、長時間働くかのどちらかしかないことに気がついた。

とりあえず、現在の私は、前者の効率化の道を突っ走っているが、まだ道半ばである。
子育てと仕事を両立するようになってから、仕事の効率は抜群に良くなった。
だが、半分の時間で、自分の2倍の時間働く優秀な人たちと同等以上の価値は、提供できるには至っていない。

また、女性が男性並みの激務をこなそうとすると、ましてや子育てと激務を両立しようなどとすると、体を壊して倒れるのがオチだ、ということにも初めて気がついた。
独身時代は激務で徹夜続きでも、体もメンタルも壊さず、生理が遅れたことすらなかった私が、出産して仕事に復帰してから、初めて突発性難聴になりかけたり、中耳炎になったりした。
そういえば、私の母はその昔、私と弟を保育園に預けてデザイン会社で働いていたが、体を壊して仕事を辞め、専業主婦になったんだった。
子育てしていなくても、男性並みの激務で体を壊して、仕事を辞めた友人や、会社の後輩のことを思い出した。
女性の方が普通は体力的に不利なんだ…というアタリマエのことに気がついた。

■ 長時間労働を美徳とする企業文化で、女性が活躍するのは圧倒的に不利であるという事実


男性に混ざって働く女性たちが、このジレンマに陥る状況を、かの上野千鶴子氏は「ネオリベのカモ」と呼んでいる。
ネオリベラリズムの下で「頑張れば、評価される」という「機会均等」を与えられ、たしかにそれは平等だと信じて競争に参入し、頑張ってしまう。
しかし、実際に戦う際の基準は、子育てや家庭の責任を奥さんに任せ、長時間労働も厭わず働ける男性たちの基準である。

この家庭責任を免れた男性労働者たち、一歩家を出れば「単身者」のふりをできる男たちと「対等の」競争に参入するのは、女性にとって最初から負けがこんだ勝負です。家庭を持つことをあきらめるか、他の誰か(実家の母や姑)に家庭責任をおしつけるか、さもなければがんばってカラダをこわすのがオチでしょう。つまり「男並みの競争」とは、もともと男に有利にできたルールのもとでの競争を意味します。そのなかにすすんで入っていく女が、悲壮に見えたり、あほらしく見えたりするのも、当然でしょう。こんな「機会均等」、だれが望んだ?……と女性が言いたいきもちは無理もありません。ー 上野千鶴子「女たちのサバイバル作戦」


女たちのサバイバル作戦 (文春新書 933)
上野 千鶴子
文藝春秋
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¥ 864プライム 


長時間労働を美徳とし、前提とするような企業文化や評価システムでは、体力的に男性より劣る女性、そして家庭でのケア責任を持つ女性は全く平等に戦うことなど出来ない。

私は女性として働きながら、自分が子どもを産むまで10年以上、そんな当たり前のことにも気づかなかったのだ。
そして、長時間労働も厭わず頑張ってきたが、その働きぶりこそ、女性の働きやすさを阻害するアンチロールモデルだったとは全く思わなかった。 
出産をきっかけに、そのことに気付いたときは愕然とした。

だからこそ反省を込めて 、今の私は子育てと両立しながら、短時間で生産性高く、価値の高い仕事をして成功できるか、に挑戦しているのだと思う。

■ 「カモ」になるのは女性だけではない。子育てに参画する男性も同じ

近年は、子育てに参加する若い男性も増えてきている。

私の主人は、日系メーカーで働いていて、激務ではあるが、私とほぼ折半で子育てを行っている。
朝は保育園に子どもを送ってから、長い通勤時間を経て、周囲の目を気にしながらフレックスで出勤。
朝遅くなった分は、夜の残業で取り返したり、子どもが寝静まってから夫婦で机に向かったり、土日に家で仕事して何とか取り戻そうとしている。

私が第二子を妊娠して、更に仕事まで忙しくなったとき、子どもも体調を崩して、彼の育児負担が大幅に増えてしまった。
それがちょうど仕事の忙しい時期と重なってしまい、一度倒れて入院してしまったことがあった。
長時間労働の激務を前提として、子育てもちゃんとやろうとしたら、男性だって倒れてしまうのは同じことなのだ。
それとも、上野千鶴子氏の言うとおり、誰か(奥さんや実母)に子育てを完全委託するか、子どもを持つことを全く諦めるかだ。

■ プロ意識を持つことと、長時間労働をすることは全く別物である


電通の話に戻るが、この会社には中興の祖と言える吉田秀雄氏が残した「鬼十則」という、私でも知っている有名な心得がある。
プロとして仕事をするための心得を10か条にまとめたものだ。
「鬼十則」(昭和26年制定)
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
ここに書いてあることは全くそのとおりだと私は思うし、これぞまさに「プロ意識」と言われるものだ。
仕事は自ら作り出し、先手先手で働きかけ、周囲を引きずり回してやるものである。
頭は常にフル回転で、長期の計画を持ってやる。

人から仕事を請け負って、長時間労働を苦とも思うな、なんてどこにも書いていない。

プロ意識を持ち、頭を常にフル回転させるためには、長時間労働などすべきではない。
むしろ、自分のその能力の高さを、他の仕事にも活かせるよう、出来るだけ効率よく仕事を片付け、別の仕事にも時間を使えるようにすることこそ、プロがやるべきことだ。

そして、ここに書いてあることは短時間の勤務であっても出来ることだし、子育てを担う女性や男性であっても出来ることだ。
限られた時間の中で、自分で仕事を作り出して、自らリードしてやる積極性を自ら引き出し、生産性高く仕事をすることが、現代のプロフェッショナルに求められることだ。
会社に洗脳されて「長時間労働」を厭わず働くことなど、「社畜」であって、プロ意識では決してない。
そして、そのほうが経済も活性化し、日本経済も成長することだろう。

実際、ドイツや米国などの労働生産性の高い国々が、先進国では経済成長を続けている。
経済成長に長時間労働が必要だ、などと言うのは、日本が生産性の低い後進国だったころの話に過ぎないのだ。

生産性高く価値を出すのがプロである、という意識がもっと普及すれば、過労死なんてなくなり、子育てをしながら働く女性も男性ももっと活躍しやすくなり、先進国で最低レベルの日本の労働生産性も高くなり、経済成長にもつながるだろう。  

高齢妊婦が、出産直前まで無理せず働き続けるためのコツ

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せっかく再開したのに、1ヶ月以上更新をご無沙汰していました。
私は昨日から妊娠36週、つまり臨月に入りましたが、今回はまだ産休に入らず仕事は続けておりまして、これがまたなかなか忙しく。
引き継ぎできるものは徐々に引き継ぎを進めていますが、責任者として最後まで見続ける必要があるプロジェクトもあり、なかなか完全産休に入るのは難しいです。

ご自身で事業をされている女性や、フリーランス、起業その他、また会社の中で責任のある役職についているとか、様々な理由で、出産直前まで仕事を続ける人はいるでしょう。
一方で、出産に近づくに連れ、お腹も大きくなって動くのもしんどくなり、足がつったり腰痛がひどくなったり、夜は寝苦しくてあまり寝られなかったり、普段と同じように仕事を続けるというのも困難になってきますよね。
それでもどうやって仕事を続けるか。
今回はそんな方の参考になるような記事を書こうと思います。

■ 32週で「国内出張禁止」令が出た仕事ぶり…
前回の記事(妊娠中の海外出張その1)で、30週の妊婦健診で海外出張にドクターストップ頂いた、と書きましたが、その後32週の妊婦健診では国内出張にまでドクターストップが出る事態に。

お腹の張りもかなり強く、また「子宮頚管」と呼ばれる子宮の内と外をつなぐ管(いわゆる「産道」)がかなり短く、2cmくらいまで縮まっていました。
ネットで調べると、32週で2cmは、個人差によっては家で安静にという指示が出るほどだとか。

私の主治医曰く、
「前回の時は、国内の出張ならOKですよ、と言いましたけど、もう国内も控えないとダメです(XoX)
東京に帰ってこられなくなってしまいますよ~。
それから、お仕事も量を減らして下さい。あなたはとても忙しそうだから、仕事量を減らして体の負担を減らさないとダメです」
とのこと。

確かに、32週までの私の国内出張は、週に2回、朝7時の新幹線に乗って、昼過ぎには東京に帰るという強行スケジュールでした。
に加えて、新幹線乗車中でも電話会議がバンバン入ってくるため、仕方なくデッキで2時間立ちっぱなしで電話、という妊婦にあるまじき予定もザラ。(せめて折りたたみ椅子を持ち歩けば良かった…)
更に東京に帰ってから別の打ち合わせを複数こなし、夜8時とか9時に保育園に娘を迎えに行くと、もう寝てるので抱っこでお持ち帰り。
出張の荷物と娘の両方を抱えて歩くのは、なかなかの重労働でした。
いくら海外出張を控えていても、そんな生活を3週間も続けていれば、赤ちゃんも外に出たいと思うわな。
ごめんなさい。

■ 休みつつ、無理のないスケジュールに変えたら、34週には順調に戻り…

どんなに仕事が大変でも妊婦であることには変わりないし、自分の体やお腹の子に何かあったら一生後悔するでしょう。
それに、早産なんてことになったら、仕事はそこで強制ストップですから、仕事そのものにも迷惑がかかって本末転倒です。
というわけで、半ば強制的に休みながら、仕事を続けることにしました。

ドクターストップを頂いたお蔭で、自分も自覚が持てたほか、周囲の同僚に「ドクターストップ出たんで」と説明し、出張は一切お任せすることが出来るようになりました。
同僚にはようやく色々と気を遣ってもらえるようになり、休みも取りやすい環境になりました。

また、いつも朝の娘の保育園送りを担当している主人が、なんとか早くに仕事を切り上げて帰ってきて、娘の迎えやお風呂を担当してくれるようになったのは大きかったです。
主人はとても大変そうでしたが、これは一番助かりました。

そんな生活を2週間続けたお蔭で、妊娠34週の検診では、子宮頸管長も3cmまで戻り、お腹の張りも全く見られず、先生からも「順調ですね」とお墨付きをいただくまでに回復しました。
本日、36週の検診がありましたが、そこでも「出産はもう少し先、という感じですね。すぐにでも生まれるかも、という事態は回避できました」となりました。

その後も、出来るだけ重い荷物は持たず、出来るだけ他の人にお任せして、引き継ぎ体制を整えることに専念。
どうしても自分がやらなくてはならないところだけやる、出なくてはならない会議だけ出る、という形で何とか両立をしています。

■ 高齢妊婦が、仕事に支障をきたさないよう、直前まで働き続けるためのコツ4つ

というわけで、この1ヶ月、とにかく無理をせず働くことにより、出来るだけ長期間、私が責任者としてプロジェクトに関われるようにすることに心を折ってきました。
その経験を踏まえ、「臨月に入っても仕事を続ける」にはどういう準備や心構えが必要だったか、4つほど思ったことを記載しておきます。

1. 「無理をして早産でもしたら本末転倒」と自覚し、余裕のあるスケジュールを立てる

妊婦として仕事を続けようと頑張っても、無理をして切迫早産を招いたり、未熟児で生まれたり、なんて事になったら結局仕事どころではなくなり、本末転倒ですよね、

当たり前のことではありますが、かなり意識しないとなかなか出来ないのが、この「無理をしない」「休息を取る」ということ。
「休むのも仕事のうち」という言葉がありますが、妊婦ほどこれが当てはまることはないと思います。

まず、移動がある場合は、普段の1.5~2倍の余裕を持ってスケジュールを組むこと。
例えば、普段20分の移動なら35分、30分を予定する移動なら50分、という感じで。
歩いているうちにお腹が張ってきて立ち止まったり、座って休息が必要になったり、ということはザラにありますので。
打ち合わせ時間などの調整時間も、普段より長めに取る。
全体として、ゆっくりしたスケジュールに変えていくと良いと思います。

また、いつの間にか自分のスケジュールにどんどん予定が入ってしまう、という方は「休憩時間」「帰宅時間」などを事前にブロックして置くと良いと思います。

2. いつ自分がいなくなっても良いように、引き継ぎ体制は早めに確保。ダブルリーダー制も検討。

仕事に自分が関わり続ける場合でも、自分がいつ入院、となっても良いよう、後任者に引き継ぎは進めておき、必ずバックアップ体制を整えておくのが良いでしょう。

私は、自分が責任を持っているプロジェクトは、基本的には全てダブルリーダー制を敷いています。
普段は私がリードする形でも、いざという時にはもうひとりのリーダーに責任を果たしてもらえるような体制になるようにしています。
出産が近くなってきたら、もう一人のリーダーがいつでも引き継ぎできるように万全の体制を整えて置く必要があります。
引き継ぎ可能なプロジェクトは、もう早めに移行してしまうのが良いでしょう。

ダブルリーダー制のポイントは、リーダー間の役割分担を明確にしておくことだと思います。
でないと、下の人も混乱するし、ダブルリーダーを引き受ける人もやりにくくて仕方がないでしょう。
半分に切り分けて完全にお任せする、自分がサブリーダーの立場になって相手を立てるなど、いろんなやり方がありますが、状況に応じて相談しながら、役割分担することがポイントだと思います。

3. 上司や同僚には「自分は無理できない体だ」と自分で伝えないとダメ

前の妊娠のときは、一緒に働いていた同僚たちは皆、私に色々なお気遣いをくださり「そこまで気遣わなくても良いのに」と思ったほどでした。
今回は、若い人が多いからなのか、二人目だから私以上に安心していたからなのか(笑)。
一部の人にはやたら仕事を頼まれたり、無理を言われることもありました。
多分、その方々には悪気は全くなく、単純に知らない、または自分が忙しくて他人への気遣いをしている余裕がないのだろうと思われます。

ですが、そういう人たちでも「早産のリスクが有るらしく、これ以上は無理できないんです」とか、「ドクターストップが出たんで」とか、「寝ないと眠くて倒れそうになるんですよ。妊娠中ですし…」とか伝えると、「あ、そうなんだ」となって気遣ってくれるようになります。

相手の理解度や意図に応じて伝え方は色々ありますが、こちらの事情を考えずに無理を言ってくる人には、
「あ、無理させて、何か起こったら自分の責任になっちゃうな」と思わせるように上手く伝えるのがコツかと思われます。
また、そういう人に限って「だったら妊娠中に働くなよ」と内心思ってるかもしれませんが、それは余り気にしないことです。

あと、「ドクターストップが出ている」というのは有効な切り札ですね。
「医者がこう言ってる(=自分の意図じゃない。自分はやる気あるんですが、医者が…)」という言い方は、会社に限らず、変な誤解を起こさずに相手を説得するの全般に使える技だと思います。

みんな、忙しくプレッシャーがかかる中で仕事をしている。
そんな時、こちらが何も言わなくても、妊娠中働く女性に対して「余り無理しないで休んで」など気遣いが出来るのは、自分や奥様が出産で苦労した経験があるとか、本当に気遣いが出来る人なのだろうと、むしろ感謝すると良いかもしれません。

4. 検診にはスケジュール通りに行く。主治医は、自分が無理しないという、正しい判断をし続けるための拠り所だと思え

日本のように、残業してたくさん働くのが当たり前という人達の中にいると、無理して働くのが当たり前、休むのは申し訳ない、とだんだん洗脳されてしまいます。
そんな中にいると、自然と無理をしてしまうでしょう。

だから、定期的に自分の体調を客観的に見て、客観的に判断してくれる人と合うことが重要。
「無理してでも、この仕事をやる」「無理してでも出張する」という自分の判断が正しいのか、確認することが出来ます。

検診も、大事な仕事が入ってしまったりすると、延期したり、キャンセルしたり、なんてしかねません。
そうすると、主治医による客観的な判断が得られなくなってしまい、さらに自然と無理する方向に行ってしまうでしょう。
だから、「検診だけはちゃんとスケジュール通りに行く」というのを徹底するのが大切だと思っています。

以上、出産近くまで仕事を続ける必要がある人が、実際にそうするためのコツだと思うもの、4つ書いてみました。
まとめると・・・

1. 「無理をして早産でもしたら本末転倒」と自覚し、余裕のあるスケジュールを立てる
何度も書きますが、妊婦として仕事を続けようと頑張って、無理をしすぎてて切迫早産を招いたら、結局仕事どころではなくなり、本末転倒ですよね

2. いつ自分がいなくなっても良いように、引き継ぎ体制は早めに確保。ダブルリーダー制も検討
ダブルリーダーでは、役割分担をして、相手も仕事しやすくするのが大切です

3. 上司や同僚には「自分は無理できない体だ」と自分で説明しないとダメ 
無理させる人は悪気があるわけでなく、単に知らないか、想像力が足りないだけ。説明すれば分かってくれるはず。お互い嫌な思いをしないよう、「ドクターストップ」を上手くつかってコミュニケーションしましょう。

4. 検診にはスケジュール通りに行く。主治医は、自分が無理しないという、正しい判断をし続けるための拠り所だと思え 
周囲の人に合わせて、自然と無理して仕事してしまうのを避けるのが、定期的な診断で客観的に自分の体調を判断する主治医だと思います。

共働きキャリアママ、二人目を妊娠-二人目とキャリアの選択を悩む方へ

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皆様、大変ご無沙汰しています。
最後の記事を書いてから9ヶ月ちょい、全く筆を執らずにおりました…。
おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。
(と書いて、糸井重里のコピーだと分かる人が最近減ってきましたね…)

今はお盆休み中で、ちょうど主人も娘もお昼寝中で時間も出来たので、久しぶりに記事を書くことにしました。
タイトルにあるように、二人目を妊娠したので、まずはそのお知らせから。
といっても、 もう30週に入るところですので、だいぶ経ってしまったのですが。。

前回の妊娠と違い、今回は仕事量のセーブもせず、海外出張にも何度も行き、たまには徹夜もしながら、バリバリとお仕事を続けています。
お蔭様で、夏休み前はだいぶ忙しくて大変でしたが、毎日飲み続けているビタミンC錠剤のおかげなのか、体調を崩すこともなく、子育てと仕事と妊婦生活を両立(鼎立?)しております。
そのあたりもそのうち書こうと思いますが、とりあえず、本日は、多くの人が悩んでいる「フルタイムで働きながらの二人目」について。

1. まずは二人目を産むまでの経緯から・・・

一人目(娘)を産んだのが昨年3月。
その後、5ヶ月半の産休・育休を経て、9月に仕事復帰しました。
主人も私と交代するように2ヶ月の育休を取って、10月上旬には復帰、ついにフルタイム共働きパパ・ママ生活始まりました。
(その頃に書いた記事はこちら→仕事が忙しい共働きパパ・ママの両立生活

その後、私はあまりの目の回る忙しさに2回も風邪をひき(娘にもらった)、さらに中耳炎が悪化して難聴気味になるなど、ブログどころではなくなりました。
復帰二ヶ月で忙しく仕事を頂けるのは大変ありがたいことでしたが、一方で仕事では色んな人からプレッシャーをかけられてもいて、本当にこの頃が一番つらかった。
真面目に転職も検討しようと思い、ヘッドハンターに何名かお会いしたりもしました。

12月中旬ころ、慣れてきたと同時に、吹っ切れたんでしょうかね。
仕事のコントロールも徐々にでき、うまく回り始め、ようやく両立生活に自信を持てるようになりました。
友人とのクリスマスパーティや、趣味のワイン会にも夫婦子連れで顔を出せるようになり、心に余裕ができはじめました。

さらに正月休みをゆっくり休んで、そろそろ二人目、と夫婦で話し始めましたのがこのころです。
娘も10ヶ月を迎え、つかまり立ち・移動が出来るようになって、体もしっかりしてきたし。
で、1月下旬頃からトライしたら、あら見事妊娠しました~、
というのがだいたいの経緯です。

2. 忙しい仕事をしながら、どうして二人目を決断できたの?

前回の反省をうけて、今回は職場や親しい友人には妊娠8週で心拍確定したころから、話し始めました。
最初の反応は、「キャリアを積みながら、二人目ってすごい」「忙しい仕事とどうやって両立するの?」というものが多かったです。
特に最近出産ラッシュの弊社では、後輩のキャリアママたちから「この仕事をしてたら、一人だけでもこんなに大変なのに本当にすごい、尊敬します」という声をたくさん頂きました♡

まだ妊娠しただけで、二人育て始めたわけじゃないので、すごくは無いんですけどね・・・

Googleで「キャリア、二人目」で検索すると、「二人目を産んだら、キャリアは終わりですか?」とか「キャリアを取るか二人目を取るか」などの記事が上位に上がってきます。
本当に沢山の人が、キャリアと二人目の間で悩んでいるんだろう、と思います。

私も、最初は悩みました。
少なくとも、昨年11月に両立生活で死にそうだった頃は、二人目なんてとても考えられなかったと思います。

私には、年子の弟がいて小さい頃から楽しかった思い出が多く、大人になっても必要に応じて色々話しあうなど、兄弟がいて良かったと思うことが多かった、というのは二人目がほしい大きな理由のひとつでした。
娘の成長を見るにつれ、「この子に弟か妹をつくってあげたい」と思うようになりました。

加えて、自分自身がすでに37歳でしたので、早く二人目産まないと産めなくなるかも、という気持ちは強かったです。

とはいえ、兄弟姉妹がいてそのメリットを十分にわかっており、更に高齢でも(高齢だからこそ)迷う人はたくさんいるかと思います。

そう思った時、じゃあ何が一番効いたのかというと、「二人目を育てはじめて、両立できないような会社だったら辞めて、もっと条件の良い会社に転職すれば良いじゃん」という開き直りだったと思います。

3. 今どき、子育て女性キャリアがほしいのは会社の方

そういう開き直りが、自分の中でできはじめたのは、昨年の11月から12月にかけての、両立とプレッシャーで死にそうになっていた頃でした。
自分が精神的に限界を迎えると、開き直りをはじめるのは、私の昔からの性格なんですが、その時もそうだったと思います。

仕事が忙しいだけでなく、一部先輩から変なプレッシャーもかかり、体力的にも精神的にも限界を迎えた12月上旬。
「何故そこまでして、この仕事を続ける?」という開き直りが、私の頭をもたげはじめました。

今や、女性リーダーなんてものは、あらゆる組織で求められていて、ましてや子育てをしながらキャリアも積めている女性なんて、引く手あまたじゃないのか?
私がいなくなって困るのは、将来の女性リーダー候補を失う、この会社なんじゃないのか?
なんで、私がこんなに頑張って、二人目がほしいという人間としての欲求も満たせずに、変なプレッシャーに屈しなくてはならないのか?
と、自分が直面している状況にだんだん腹が立ち、開き直りの気持ちが出てきたのです。

その頃、自分のメンターの方にも何名かに相談し、自分が本当に働きたいと思う人だけを選んで働き、本当に自分を賭けられる仕事に全力を賭けて仕事をすべきだ、というアドバイスも 頂き、気持ちが吹っ切れ始めたのも大きかったです。

私が勤めている会社自体は、女性がキャリアと子育てを両立することに非常に前向きで、どの企業よりもたくさんのサポートをしてくれる会社であることは変わりなく、相談すれば助けてくれる人もたくさんいるので、そういう人を探せば良いんだ、ということに気づいたのでした。

それで「二人目を産んで、ダメだったら色んな人に相談し、それでもダメだったら転職すればいいや」という気持ちになれました。
一方で、その開き直りのお蔭もあり仕事量もうまくコントロールし、体調管理も出来るようになり、二人目に前向きになった次第です。

4. 出来るだけ早く復帰し、キャリア中断を短期間に押さえ、二人目のキャリアダメージを最小化する

二人目を産むことによるキャリアへの影響は、二人目出産で産休・育休を取ることも大きいと思います。
二人目で勝手も分かっているわけですし、認可外保育園やベビーシッターを大いに活用しできるだけ早くに復帰し、キャリアへのダメージを抑える、というのも考えられると思います。

私の場合、まだ予定ですが、今回の出産は、予定日の1~2週間くらい前まで働き、産後は2ヶ月で復帰しようと目論んでおります。

前回は産前産後と8ヶ月近く休み、世の中標準では短いですが、私の仕事としては長すぎる休みだったせいか、復帰時かなり苦労しました。
率直・端的に言うと、私の代わりにリードしてくれる方がいた仕事は、復帰後に私の居場所がなくなっており、リードしてくれる方がいなかった仕事は、再興に時間がかかった、という次第です。
上記に書いたプレッシャーというのも、そういう事情もあって生じていたことでしたので、今回は、出来るだけ短くして、お互いに復帰時のダメージを出来るだけ少なくしよう、と画策しています。

「2ヶ月」なら、出産以外の事情でも起こりうる中断期間ですしね。
中断期間は出来るだけ短いほうが、同僚やクライアントの皆様にかけるご迷惑も最小化出来ると思いますので、そうしたいです。

もちろん、実際にどうなるかは、産んでからの自分の体調や子供の状態にもよるので、分かりませんが、今のところその予定。
このように。一人目の時と違い、二人目では勝手がある程度分かっているので、中断期間を短めに設計できる、というのは二人目のメリットといえるかもしれません。

5. 最後に二人目とキャリアで悩む方へ

実際に二人目を産む決断をするかは、その人の年齢や、仕事の置かれている立場などにもよると思います。
例えば、私の場合は、夫や夫の実家もとても協力的で、決断がしやすかったと思います。
また、会社自体は女性の育児と仕事の両立に協力的であることも大きいです。
そして、私自身がもう37歳(出産時は38歳)で、仕事は待ってくれるけど、出産は待ってくれない、という状況だったことも。

私が会社の後輩に相談を受けた時は、その人の立場や年齢によってもアドバイスを変えています。
まだ30代前半で、出産のタイムリミットがまだの人なら、あと2,3年経って、子供の手がかからなくなってからでも良いのでは、とアドバイスしています。
実際、まだ1~2歳の手がかかる上の子を持ちながら、赤ちゃんを育てるのは、2回目とはいえ、大変だろうと私自身覚悟しております。

また、今休むことでキャリアアップがだいぶ遅れてしまう可能性がある方なら、まずはあと1年頑張ってキャリアアップしてから二人目を考えるでも良いかもよ、とアドバイスしています。

でも、どうしても今二人目がほしい、この会社で二人目産んでキャリア積めるんだろうか?と悩むなら、私がそうであったように「本当にダメだったら、両立できるような会社に転職すればいいじゃん」「私がいなくなって困るのはこの会社のはず」という開き直りも、一つの手です。

いまどき、転職することがキャリア形成を阻むようなことはなく、むしろ逆に形成に役立つ時代ですしね。

幸い、今は日本も割と景気がよく、転職市場も賑やかです。  
そして、子育てと仕事を両立しようと言うキャリア女性を求めている職場も多いです。
皆さんが、色んな所で企業広告で目にしているように、今どきそういう女性は、優秀な人材(特に女性)を惹きつける良い広告塔にもなりますから。

どうしても不安な人は、転職サイトに登録して、候補企業に会い始めるなど、ちょっと状況を調べて見ても良いかもしれません。
あ、そのとき、女性リーダーの育成などに積極的な会社に絞ってお会いしたほうが良いですし、転職エージェントも、そういう女性の転職に積極的な人を選んだほうが良いです。
「子育てしている女性の方が転職に不利」とか平気で言うようなエージェントは逆効果ですし、変えてもらった方が良いです。
積極的にそういう人を良い職場に転職させられる能力の高いエージェントもたくさんいます。

実際に転職するのは最後の手段ですが、「いざとなったら転職すれば良いんだ」と思えば、気持ちはだいぶ軽くなれると思います。

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さて、次回からは 、二人目妊娠中の仕事との両立生活や、海外出張のことなどについて書いていきます。

保育費用が収入を超えても女性が仕事を続けるべき5つの理由

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4週間ぶりのブログです。大変長らくお休みしました。
その間、生後4ヶ月の娘は慣らし保育で3回風邪をもらってきたり、 私が復帰準備を始めたりと、忙しく過ごしておりました。
風邪が治るたびに急成長。なかなか首がすわらないと心配していたのに、4ヶ月の誕生日を過ぎて首が座ったとたん、寝がえりをコロコロするようになったり、人見知りをするようになったりと、目が離せなくなって来ました。

さてさて、タイトルの件ですが、保育費用がキャリア妻の収入を超える、というのは実はよく聞く話。
「え、そんなにかかるの?」と思う人は多いだろうが、子どもが二人以上いて都心の私立保育園に入れていたり、夫婦ともに激務でベビーシッターや病児保育を使い倒していたりなどで、月の保育費用が40万円を超える人は私の知り合いにも片手の指を超えるくらいはいる。
そこまで行かなくても、家事代行なども含めた保育にかかる費用が月に20万、30万に達するという共働き夫婦は割といるようだ。
そうすると、「え、そんなまでして働き続けるの?」という疑問を持つ人もいるだろう。

ウチも、計算したら結構高かった。
3月生まれで認可保育園に申し込みできなかったので、空きがあった託児所に入れる事にしたが、都心のせいか、びっくりするくらい高い。
加えて、病児保育や家事代行などの諸費用を含めると、ゼロ歳児のうちは、日本企業に勤めるうら若きウチの夫の月収を超える見込み。
それでも、夫が仕事を辞めて専業主夫になるべきとは私は全く思っていない。

一方、保育費用が妻の収入を超える家では、妻の仕事に理解がない夫に、「お金もったいないから仕事辞めろよ」「お前の収入と同額払ってんじゃバカみたいだろ」とか言われることも多いと聞く。
結構なキャリアを積んでいる女性でも、旦那さんにそう言われる話はママ会でもよく聞く話。

でも、仕事が好き、仕事を続けたい、と考えている妻(夫)は、自分が働いていることでかかる保育費用が高くても、仕事は続けた方がよい。
一時的に保育費用が収入を上回ったとしても、仕事を続けるメリットは沢山あるから。

もちろん専業主婦(夫)になる理由はお金だけではないし、否定するつもりは全くないが、ここでは仕事を続けたいのに「お金もったいないから仕事辞めろよ」と言われている人が反論にも使える、何故仕事を続けたほうが良いか、という5つの理由を書いてみる。

1. 生涯年収は、保育費用を差し引いても、仕事を続けたほうが圧倒的に高い

お金の話への反論は、やはりお金の話から。

結局のところ、保育費用が妻(夫)の収入を超えるなどというのは、長くても5年。一時的なことなのだ。
それでも仕事を続け、キャリアを積めば、収入は上がるので、ベビーシッターを雇ったり、家事代行を使ってでも仕事を続けた方が生涯年収は圧倒的に高くなる。

じゃあ実際どのくらい高くなるのか、というのをエクセルで簡単なモデルを作って検証してみた。
すると、年収にもよるが、保育費用が嵩んでもキャリアを積み続けた場合と、仕事を辞めて10年間専業主婦(主夫)をして、その後オフキャリアに復帰した場合では、生涯年収には二倍近くの差が出る、という結論。

モデルは、23歳で就職して初任給350万円、50歳に年収650万に達し、その後徐々に年収が下がって、65歳まで働き続ける設定(働き続ければ生涯年収2.4億円)を基本とする。
ここで、
ケース①:妻(夫)が30歳から育児中も出来るだけ働き続けてキャリアを積み、5年間は給料をまるまる保育費用に充てた場合、保育費用を除いた生涯年収は2.1億円程度になる。
ケース②: 30歳ですっぱり仕事を辞めて専業主婦(主夫)となり、40歳で復帰してオフトラックで60歳まで働き続けた場合、生涯年収は1億円程度だ。

(補足:
ケース①は、キャリアを積み続けることを優先して、育休などはキャリアの妨げにならない程度にしか取らず、ベビーシッターなどを活用し、年収を保育費用につぎ込み続ける、というモデルです。
生涯年収のうち、3000万円弱を保育費用につぎ込むイメージです。
保育費用が月額40万円かかっている、という冒頭のケースでも5年間で2500万円ですから、実際には育児休暇中の減給分も含めて、これの額を超えるのは珍しいと思われます)

一応、1000万円に達するケース(生涯年収3.4億円)もやってみたが、ケース①3億円、ケース②1.5億円だった。
図にするとこんな感じ。

Total revenue
年収やその増え方によっても、生涯年収は全然違ってくるし、専業主婦(主夫)をしばらく続けてから、起業して大成功、なんて人もたまにいるので必ずとはいえないが、キャリアを積み続けたほうが圧倒的に生涯年収は高い、というのは多くの場合に言えるはず。

そんなわけで家族に「仕事辞めたら」などとチクチク嫌味を言われて不安な人は、上記を元に反論するか、実際に自分の年収を元にモデルを組んで検証してもよいと思う。

2. 子供が手元にいるのはたった20年。仕事(や趣味)を続ければ、自分の一生の財産になる。

子育てに専念するために一度仕事を辞めてしまうと、資格や特殊な人脈があるわけでない限り、前線に戻るのはとても大変だ。
でも、ベビーシッターなり祖父母なり色んな手を借りながら、仕事も続けていれば、仕事を通じて得られた経験や人脈は一生の財産になるだろう。
子供を手元で育てられるのは、せいぜい20年くらいのもの。
一方、自分の人生は、子供が巣立った後も20~40年は続くのだ。

仕事や趣味に没頭して育児放棄するのでは最悪だが、逆に仕事も趣味も辞めて「子育てだけが生きがい」になってしまうと、子供が成人しても子離れが辛いし、子供も辛い。
親が自分の好きな仕事や趣味を続け、子育てに加えて自分の人生を生き続けるのは、子供の為でもある。

なお、これは趣味や地域活動にも言えることで、専業主婦(主夫)という道を選んだとしても、趣味や子育て、地域活動を通じて知り合った人脈はいつまでも大切にし、一生の財産にしたほうが良い。
仕事をしている人も、子育てしながら趣味まで続けるのは大変なことだが、人脈だけはちゃんと持ち続けた方が、老後も楽しめることだろう。

3. 仕事と家庭を両立する楽しさや大切さを教えられる親になれる

以前、ハーバード大の研究で、働く母親の元で育った娘は、管理職に就く比率が高く、年収も高い、息子は家事に貢献し、家族の面倒を見る父親、要するにイクメンになる比率が高い、というのがニュースになった。

ハーバード大のニュースリリース(英語)
それを元にしたThe Guardian誌の記事(英語)
日本語の記事(マイナビニュース)

共働きの家は相対的に世帯収入が高いので、娘に良い教育を授けられ、年収も高くなるだろうと思うので、この調査結果のどこまでが母が働く効果かはわからない。
でも、働く母親に育てられるほうが、迷いは少なく仕事をしながら子育てと両立できることだろう。
専業主婦の母親に育てられ、高学歴でキャリアを積む娘の、自分は母親ほど育児に時間をかけられないけど、うまく育てられるのか・・・というコンプレックスは根が深い。

結局、両親が共働きで仕事を続け、仕事を両立しながら家族の面倒を見ることで、それを見て育った子どもたちは、それが当たり前だと思い、抵抗なく続けていくことが出来るのだろう。
自営業の子供に、起業家が多いというのと似てる。子供は親の背中を見て育つのだ。

だから、子供にも仕事と家庭を両立するような大人になってほしいと思うなら、自らそうして子供に背中を見せるのが、効果が高いのだろうと思われる。
ただし、限られた短い時間でも子供と一緒に過ごし、子供に愛情を注いで、寂しい思いをさせないようにしないと、反面教師になってしまうことも。

4. 世間をよく知る、社会性の高い親になれる

別に専業主婦(主夫)が世間知らずだと言うわけではないが、仕事を子育てと両立しながら続ける母親・父親達が身につける知見や社会性スキルは、子どもの教育にも役に立つ。

小学校で、民間企業などで働く社会人を先生として招く、という話に似ている。
実際に社会に出て、お金を稼ぐことの大変さを知っている親が子供を育てることで、社会を生き延びるための知恵の面でも、社会性スキルの面でも、子供が社会にでる前に色々と教えられる事は多いだろう。

子供が社会人になり、会社で困ったことがあっても、人生の先輩として、相談に乗ってあげることも出来るだろう。

5. 小さい時から色んな人に育てられる方が、子供の社会性が身につく

両親とも働いていれば、子供は色んな人に育てられることになる。
父母に加えて、祖父母、保育園の先生、ベビーシッター・・・
保育園に通っていれば、小さい頃から社会の中で生きるすべを身につけることになるだろう。
子供の時から社会性が高い、という経験は、大人になってからの自信にも影響すると思われる。

なお、専業主婦(夫)などで保育園に通っていない場合でも、小さな頃から子どもたちだけの社会の中に子供を入れることを意識して育てる方が良い。
自宅でママ友会をやって、子どもたちだけで遊ばせておいたり、児童館や公園で遊ばせたりなど。
そこでのママ友との付き合いは面倒だ、と思う人もいるかもしれないが、子供の教育のためだと割りきって付き合えば良い。


以上。
子育てと仕事を両立するために保育費用がかさみ、自分の年収を一時的に超えても、仕事を続けたほうが、金銭的にも、自分の人生にも、子どもの教育を考えても、長い目で見ればメリットがあるよ、という話でした。

1. 生涯年収は、保育費用を差し引いても、仕事を続けたほうが圧倒的に高い(2倍以上)
2. 子供が手元にいるのはたった20年。仕事(や趣味)を続ければ、自分の一生の財産になる。
3. 仕事と家庭を両立する楽しさや大切さを教えられる母親(父親)になれる
4. 世間をよく知る、社会性の高い親になれる
5. 小さい時から色んな人に育てられる方が、子供の社会性が身につく

家族にチクチク言われる人、自分でも両立は大変だ、辞めた方がいいかなぁと気弱になってしまう人は、これを読んで頑張ってください。

一方、仕事は嫌い、仕事を続けるより家にいる方が自分らしくいられるし、楽しい、という人は専業主婦(主夫)になったほうが子供にも良い影響を与えられるかも知れない。
いずれにせよ、忙しくても子供に愛情をかけつつ、子育て以外にも好きなことを続けて、イキイキしている親の姿を子供に見せるのが、子供の教育にも大切なのだと思います。

「下積み時代は激務が当然」じゃ少子化は解決しない-キャリアが先か、子供が先か(続編)

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おととい、私の高校時代の友人たちとのママ会があり、子供の話や懐かしい思い出話に花が咲いた後、私が書いた「キャリアが先か、子供が先か」の記事の話になった。

キャリアが先か、子供が先か(前篇)
キャリアが先か、子供が先か(後篇)

話を聞いていて、(一部企業や職種を除く)どの会社も、若いうちは激務が当然、というところが多いんだなぁと改めて思った。
特に出世コースに残り続けるためには、最初の5~10年程度は残業なんか当たり前。
中には電車がなくなる時間まで働くこともザラという会社もあれば、残業代が出ないので7時始業、なんて会社もある。

会社によっては転勤が出世の条件、というところもある。
入社して5年は地方の営業所で働き、そこで課長になり、別の地方に転勤して支店長になり・・・などなど。

いや、別に出世に興味がなくても、単に下積み時代の安い給料から抜けだして、そこそこ稼げるようになるにも出世は必要なので、そのためには残業や土日出勤も含む激務を若いうちにこなさなくてはならない。

仮に女性が妊産適齢期の20代後半から30代前半、すなわちこの激務下積み時代の途中で、妊娠・出産を経験すると、出世コースから外れたマミートラックに移行することになりがちだ。
夫が9時5時ならまだしも、夫も残業がある中、子供を保育園に預けて働く、というライフスタイルで7時始業や深夜残業は厳しくなる。
本人が希望していなくても、激務が遂行出来ないので会社として移行してもらう、ということもある。

更には、本人たちが気にしなければ問題ないが、保育園が見つからない等で、女性が長い育休をとらざるを得なかったり、二人目も産んで3-4年の育休を取ったりという場合、復帰すると自分より3-4年若い後輩と一緒に、自分の同期や後輩の上司の下で、激務をこなすことになる。

周囲のそういうのを見てきた私達30代後半のおばちゃんたちは、私が前記事で逡巡していたように、キャリアを積みたい若い女性には、親心で「まずはキャリアに専念しろ」と思ってしまうのだ。
そりゃ、子供は産めなくなるリスクがあるし、少子化解消のためにも二人以上産んで欲しいと思うのだが、現実には、キャリアトラックが昭和から変わっていない会社や職場環境が余りに多いので、そうなっちゃうのである。

ある程度激務を逃れられる歳になっても、皆が残業している中、保育園のお迎えに間に合うため、毎日恐縮しながら定時に帰宅。別に時短を使ってなくても、周りが残業していりゃ、恐縮するのである。

そして、そういう先輩たちを見た女性の後輩たちが、妊産適齢期の20代後半ころに、産もうと思うだろうか。
あるいは二人目を産もうと思うだろうか。

男性も全く他人事ではない。
女性がフルタイムで働いて子供も産むとなれば、男性が育児や家事の責任を担うのは当然となってくるので、男性だって、激務と家事・育児との両立を迫られることになる。

私の夫は、私より若くて、現在入社数年で激務のまっただ中にいる年代だが、朝7時前には家を出て、残業をこなして夜10時に帰宅してから、更に家事や育児(寝かしつけ)をやっている。
抱っこしないと大泣きしない娘を抱っこしながら、腹話術みたいに娘との漫才を披露して、育児に疲れた妻を笑わせた後、眠りながら娘の寝かしつけをしている姿を見ていると泣けてくる。
夫以外にも、夜泣き対応担当で殆ど寝られず、大事なミーティング中に寝てしまった若い男性や、保育園の見送り担当で子供の熱が発覚し、ミーティングに来られなくなった男性が、年配の男性に白い目で見られる姿など、育児とキャリアの両立を一生懸命やっている男性(とそれに冷たい視線を送る年配男性)を、私はたくさん見てきた。

こういう先輩たちを見た男性の後輩たちが、早く結婚して、子供を持とうなんて思うだろうか。
二人目を産もうと思うだろうか。

バブル以前の世代には、
「俺達だって、子供の顔を見る暇もなく、苦労してその時期を乗り切ったんだから、お前らも若いうちに激務は当然だろ。むしろ妻が働いたり、自分が育児とか出来るだけ恵まれてるよ」
とか思っている人たちもいるかもしれない。

30歳の平均年収は、20年前と比較して100万円近く減って30年前の水準に戻っており、妻の給料と合わせても、税金や子供の保育費を考えると世帯の可処分所得は30年前とそんなに変わらない。
その上、年金だって、バブル前世代と違ってほぼもらえないと思われるのに、毎年何十万も支払っているのだ。
バブル前世代は、むしろ、所得も自分たちより下がっている今の妊産適齢期世代に老後を支えられていることを感謝して欲しいところだ。

だから、快く下積み時代の残業を無くし、残業や転勤は当たり前というキャリアトラックを解体することに真面目に取り組んで欲しい。
待機児童だけでなく、病児保育やベビーシッターも含めた柔軟な保育インフラの整備も早くやらなければ。

昭和の時代の、フルタイムで働く男性+専業主婦(またはパート)を前提としたキャリアトラックを、女性もフルタイムで働くことが当たり前となり、共働き率が6割を超えたこの平成の時代でも、いまだに引きずり続けている日本企業。
もう平成27年ですよ。
男女雇用機会均等法の制定(1985年)から、今年でもう30年ですよ。

働き方を変えないと、私達はいつまでも「若い時は子供を持つことを考えず、キャリアを優先した方がいいよ」と親心で言い続けることになって、少子化は解決しないだろう。

(と、カッコ良く言い捨てて終わろうと思ったが、「じゃあどうキャリアトラックを変えるべきか」への明確な解がまだ示せないので、どこかでまた続編を書きます) 

【参考】
30年前の一ヶ月の給料と比べてみると? 静岡県の統計だが、2011年と1988年の現金給与総額がほぼ同じ。

給料が上がらない時代 平均年収が最も高かった1997年と比較すると、今の年収は100万円近く安い

共働き世代の増え方をグラフ化してみる 全世帯数(単身含む)の中で、共働きは21%、専業主夫は14%なので、共働き率は6割を超えている計算 

キャリアが先か、子供が先か(後篇)

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昨日の記事には、FacebookやBlogosを通じて沢山の反響を寄せていただいた。

キャリアが先か、子供が先か(前篇)-Lilacの妊娠・出産・育児ノート

コメントをくださった方、有難うございます。
頂いたコメントを読んで、「どうアドバイスすべきか」迷っていたのが少し、解決したので、後篇を書くことにした。

反響は、やはり「子供を先に」というものがとても多かった。早く産んだか晩産だったかに関わらず。
理由としては、
  • 子供を後回しにしていると、欲しいと思った時に授からないことがあるから。後悔のないためにも先にしたほうが良い
  • 若いほうが体力もあるので、子育てと仕事の両立は体力的に乗り切りやすい。やっぱり子育ては体力を使うので、大変。
  • じじばばも若いので、手伝ってもらいやすい。晩産だと親の年によっては介護も重なって、ほんとうに大変
などなど。
やはり常識的に考えて、子供を先に、とアドバイスするのが多いのはうなずける。
キャリアのほうが、不確定要素が多く、うまく行かなくても子供のせいとも限らないし、また本人の頑張りによって何とか出来るところも多い。
一方、子供は晩産になるほど、確実に妊娠確率は下がっていく。35歳を過ぎると極端に確率が下がる。

少数ながら、「キャリアを先に」という人もいた。20代で産んで、キャリアも両立させようとすると大変、という理由である。
  • 現在20代後半で、今の自分が子供を産んで、仕事と両立しようとしたとき、夫と自分と子供を幸せに出来るとはとても思えない。社会人としても半人前で、自分の面倒を見るので精一杯
  • 実際に20代後半で産んで、仕事に復帰したが、大変で過労死寸前だった。就職して最初の6年間は厳しい。一方、就職して10年も経てば、仕事の仕方も人の使い方もうまくなるから両立しやすい
  • 自分がもし第一線にいられなくなったとき、子供のせいなのか、自分の能力のせいなのか迷って後悔したくない
私自身のことを振り返った時、20代後半は仕事に没頭していて、子供を産みたいと思っていたことは無かった。
でも、それは、家計を支えるためにも「早く一人前にちゃんと稼げるようになろう」と思っていただけで、キャリア構築をそこまで真面目に考えていたかと言われると、不明である。

そもそも私は、25歳になるまで「研究者になろう」なんて、浮世離れしたことを言っていた人間である。
当時はキャリアなんてものは全く考えていなかったと言っていい。
研究者になるつもりで大学院の博士課程まで進学したが、処々の理由で辞め、コンサルティングファームに就職したのが26歳の春。
就職して3年間は、色んなプロジェクトを経験して、仕事を覚えるので精一杯だった。

そうやって、仕事を頑張っているうちに、「キャリア」なるものが形成されてきた。
徐々に仕事の面白さがわかり、この仕事を続けていきたいと思うようになり、面白い転職のオファーが来て自分の市場価値が上がっていることがわかり、と後付けでキャリアが出来たんじゃないかと思う。

だから、仮に出来ちゃったなどの理由で、20代後半に子供を産んでいたら、どうなっていたか。
今のようにキャリアを積むことが可能だったか、というと、正直難しかったのではと思う。
だから「キャリアを先に」という意見に、どうしても同調してしまう。

もし、就職して最初の3,4年の間に子供を産んでいたら、恐らく今の仕事は辞めて、転職していただろう。
会社じたいは、両立を積極的にサポートしてくれるし、両立している先輩もたくさんいたが、当時は自分自身が今のように厚かましくなかったから(笑)、仕事に少しでも影響が出てしまうことが申し訳なかったり、産休や育休の間にどんどん出世する同期や後輩と比較して、やってられなかったかもしれない、と想像する。

頂いたコメントに、「どちらか一方しか選択できない、と言われた時、どちらを取るかで選べばよいのでは」というのもあった。
別の言い方をすれば、「どちらか一方しか選択できないとき、どちらがなくても後悔しないか」ということだ。
キャリアが築けなくても後悔しないか、子供が出来なくても後悔しないか、を考えて選択をする。これは結構納得感がある。

それにしても・・
女性ばかりが、こういった選択を迫られ、悩む、というのはなぁ。
男性はキャリアも築いて、子供も持っている人はたくさんいるのにね。
これだから、少子化はなかなか解決しないし、女性リーダーはなかなか出てこないのだろうなーと思う。

また、頂いたコメントに、「そんなことに悩む人がいるのか。欲張りでは?」という男性のコメントもあり、驚いた。
女性は、結婚する前から、就職する前から、キャリアが先か、子供が先かを悩む人はたくさんいる。
悩まないばかりか、そういった悩みが女性にとって一般的であることを知らない男性もいるんだなぁと。

やはり、女性が20代で子供を産んでも、悩んだり、迷うことなく普通に仕事と両立し、キャリアを築いていくのが当たり前になるような仕組みや社会環境を整えてあげたい、と思う。
制度や仕組みだけでなく、雰囲気作りもとても大切だ。
仕組みが整っていても、周りの環境が「両立して当然だよ」「ちょっと仕事に支障が出ても大丈夫だよ!」と全面的にサポートする雰囲気でなければ、若い人ほど辞めてしまう。

そしてロールモデルを増やすこと。
私みたいに30代後半になってから産んで、キャリアと両立する人が増えても、晩産化を奨励するだけのような気もする。
むしろ、私達みたいな女性は、20代で産んでキャリアも築きたい、という女性をサポートして、守り育てること。
男性のサポートも非常に大切だが、両立を実際に経験し、成功させてきた女性の先輩として、女性のサポートは非常に大切だ。
そうやって、20代で産んでキャリア構築にも成功する女性を増やしていくことが大切だと思う。

次回、「キャリアが先か、子供が先か」と問われた時は、「子供を先に産んで、キャリアとも両立して。応援するかいつでも連絡して」と言いたい。
そうやって、チャレンジする女性を増やしていかねば。

キャリアが先か、子供が先か(前篇)

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先日、大学の先輩の結婚パーティに行った時、まだ20代後半の結婚したばかりの女性の方からこんな質問をされた。

「子供も欲しいんですが、しっかりキャリアも積みたいと思っています。まずはキャリアを積むことに専念した方が良いでしょうか?それともまずは子供を産んで復帰してからキャリアを考えるべきでしょうか?」

以前の記事に書いたように、日本の少子化解消のことを考えれば、20代のうちに子供を産み、子育てと両立しながらキャリアを積んでもらえるほうが嬉しい。初産年齢が遅くなるほど、第二子を産む可能性は減っていくから、少子化解消につながらない。

しかし、実際には現在の日本で(そしてアメリカなどでも)、20代後半のまだ「半人前」の時期に子供を産み、育休をとって復帰して、復帰後も子育てと両立しながらキャリアを積んで出世街道に残る、のはかなり大変なことである。

国や企業が、女性のキャリアと子育ての両立を支援、といくら建前では言っていても、20代後半に産休→育休と長い人で1年くらい休まれ、その後も第二子出産で休むかも・・・、時短を取るかも・・・となると、キャリアを積ませるのは難しい、と本音では考えている職場が多いからだ。残念ながら。

また、多くの場合、20代後半では得意分野も確立しておらず、会社としてその人を失っても痛くない、だから「育休とっても帰ってきて!」と強く求められることも少ない。
その人自身も、まだキャリアが確立していないから、「会社に迷惑をかけるかも」とか「子供が可哀想」などと思うと、復帰することに自信を持てない。

結局、戻ってきても「マミートラック」的な内勤などに移されたり、本人も育児との両立を考えて遠慮したり、キャリア構築は優先順位から外れていくことも多い。

私の友人などでも、20代のうちに2人とか産んで、両立をしているのは、医者や弁護士、国家公務員などが多い。一般企業づとめだと、以前紹介した「育休世代のジレンマ」に出てくるように、仕事をやめて専業主婦になったり、別企業に転職したり、という人の方が多いだろうか。いずれにせよ、20代で出産、その後復帰してキャリアで成功、という成功事例が少ないとは思う。

一方、30代半ば以降の出産だと、子育てと両立しながらのキャリアの構築はやりやすい。
メリットは多い。
  • その人の得意分野や強みも確立しており、「時短でも何でも良いから、とにかく復帰して」と職場から求められるようになってくる
  • 自分のキャリア構築に積極的に投資し、復帰後も機会を与えてくれるメンター・サポーターも20代の頃よりは圧倒的に多くいる
  • 20代の頃よりも、仕事において自分の裁量が大きくなっており、両立しやすい
  • お金に余裕もあるので、いざという時にベビーシッターや病児保育を使ったりなども容易に出来るから、仕事に穴を開けずに両立しやすい
  • 自分自身のキャリアが構築され始めており、道筋が見えていることも多く、復帰することに迷いがない
だから、キャリアのことを考えると20代で出産するより、30代以降の出産のほうがメリットは多い。
自分自身、そのメリットを享受していると思うので、「キャリア構築は絶対に外せない」と思っている若い女性には、 「20代のうちに産むほうが良い」と自信を持って答えることが出来ないのが、今の私である。

もちろん年をとると、その分、妊娠可能性が減っていくというのが大きなリスクだ。
35歳を過ぎると、かなり確率が下がる。
ただし、自分が現在持っている卵子の数を推定するAMH検査や、卵管癒着など不妊につながる要素を持っていないかを調べる検査など、いわゆる「ブライダルチェック」があるので、出産時期を遅らせても大丈夫か、完全ではないものの、ある程度の判断をすることは可能だ。

というわけで、キャリアが先か、出産が先か、と問われた場合は、
「何はともあれブライダルチェックをしてみたらどうか?そこで若いうちに産まないと妊娠の可能性が低い、と言われたら子供を作ることを優先したら良い。
もし全く問題ない、ということなら、夫婦で相談して、33歳までは仕事に邁進してはどうか」
と伝えることにしている。

本当は「20代で出産して、復帰しても心配なくキャリアを構築できるよ!」と自信を持って言えるような社会環境に早くなればいいんだけど。

後篇はこちら→ キャリアが先か、子供が先か(後篇)

女性リーダー増加と出生率増加を両立できる政策を

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先日の統一地方選挙、私の住んでいる区も区長・区議会委員選挙があり、投票に行きました。
これまでの私は、国政選挙のほうが興味があり、恥ずかしながら住民税を払ってるだけで、自治体行政はほとんど興味は無かったんですね。
子供が出来てからようやく恩恵を受ける側に立った気がします。
そんなわけで、今回は議員候補の公約などもちゃんと読み、子育てに関してはどんな政策を打つつもりかを見て投票しました。
女性が育児とキャリアやリーダーシップをを両立する、という意味でも、保育園を始めとし、地方自治体がどれだけ力を入れているか、どれだけ環境が整っているかは非常に大きな意味を持つと思っています。

ちなみに娘は生後50日を過ぎて、だんだん声のバリエーションが色々増えてきて、聞いている方も言葉のボキャブラリーが増えてるみたいで聞いてて面白いです。
機嫌が良いとひとりでコロコロとしゃべっております。

写真、加工してみたんですが、これじゃなんだかわからんですかね・・・まぁ雰囲気だけでも。
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では早速本題に。
ちょうど、私の出産一週間くらい前だったか、大学時代の某学部横断ゼミのメーリングリストで、ご自身が書かれたレポートを回してくれた先輩がいた。

「女性活躍推進」=「少子化推進」の失敗を繰り返さないために -ニッセイ基礎研究所

書かれたのは、ニッセイ基礎研究所で女性活躍推進などの研究をされている天野馨南子さん。
読んでみると、今までの日本は、女性活躍を推進する政策や子育て支援などを頑張ってやってきているが、出生率増加に全くつながっていない、これは何故なのか、というのを掘り下げている内容。
なるほど~と納得の内容だったので、早速ブログで紹介しようと思ったが、私の出産が予定日より早まってしまい、出産前に間に合わず。
産後もバタバタとしているうちに、ダイアモンド・オンラインで大々的に取り上げられた。

政府の「女性活躍推進」が「少子化推進」となってしまう理由 (上)-ダイアモンド・オンライン
政府の「女性活躍推進」が「少子化推進」となってしまう理由 (下)-ダイアモンド・オンライン

というわけで、今更かも知れないが、これから女性としてキャリアもしっかり積んでいきたいと思っていて、子供も、と思っているような20代、30代前半女子には是非知っておいて欲しい内容なので、取り上げようと思います。

1. 何故いままで出生率増加と女性活躍推進が両立できなかったのか

天野さんの論点は、今までの政府は女性活躍と出生率増加の両立を目指していないこと、その真の原因は、女性には妊娠・出産できる生物学的な適齢期があるのに、政策担当者も当の女性自身もあまり意識していないこと、というものだ。

実際、現在の日本の子育て支援は女性リーダー増加にはつながらないものが多い。
このブログでも取り上げてきたように、長期の育休制度など、女性がキャリアを積みながら子育てと両立するより、保育園不足など育児インフラの不足を女性が担うのを支援するものが多い。
長い育休は女性のキャリア形成の妨げになる-Lilacの妊娠・出産・育児ノート)

一方で、女性活躍推進の政策は、出生率増加を結果として妨げるものだった。
これは多くの先進国で1970年以降共通に見られ、社会学では度々指摘されてきた現象だ。
ただ女性の社会進出が進むだけだと、女性の晩婚化・晩産化につながるので、出生率が低下するのである。

天野氏のレポートによると、北欧、イギリス、フランスなどヨーロッパの多くの国では、1990年代以降この問題は徐々に解決され、女性進出と出生率増加を両立出来ているという。ところが、日本の状況は改善されておらず、出生率は低下の一途をたどっている。

何が違うのか、というと「妊産適齢期」という考え方が浸透しているかどうか、ということだという。

詳しくは天野氏のレポートを参照して頂ければと思うが、女性の妊娠率は高齢になるほど落ちることを政策担当者が意識した上で、「妊産適齢期」という考え方を国民に周知徹底し、若いカップルに子供を産ませる政策を打ち出せているか、ということが大きいようだ。 

イギリスでは、年をとると妊娠力が低下することの周知徹底と、若いカップルの貧困率解消。
フランスでは、14歳からの「高齢になると不妊になる」という意識の徹底、若い人の不妊治療の無料化と、43歳以上の治療の禁止・・・など。

こうすることで、1970年代に出生率が大きく低下した国々も、徐々に出生率2.0に向けて回復して生きているのだという。

2. 日本で「妊産適齢期」という考え方をどう定着させるのか

レポートによると「36歳で女性の妊娠率が急激に低下する」ことを知っている比率が欧米で7-8割なのに対し、日本では3割に満たないと言う。

実際、私自身、20代の頃は、30代後半で産むのがそんなに大変になるなんてことは、全く知らなかった。
マスコミではタレントの高齢出産がよく報道されているし、「今は不妊治療とか技術が進んでいるんだから、大丈夫だよね」と思っていたから、20代の頃は本当に仕事を頑張ることしか考えていなかった。
私の場合、周囲の女子も高学歴、20代後半で結婚しているのも2割くらい、という環境なので余計である。
32歳の頃、親から「子供が欲しいなら、そろそろ卵子凍結することを考えなさい。35歳までしか出来ないのよ」と強く勧められ、色々調べ始めて、漸く「あ、そろそろ産まなきゃマズい年齢なんだ」と知ることに。
だから、この数字はとても納得感がある。

「30代後半や40代でも産める」という情報は、30代後半以降で妊活している人が勇気づけられる分には良いが、20代の女性が「まだ産める」と思ってライフイベントを遅らせてしまうのは良くない。

それに、30代後半での1人目出産、というのは出生率増加という意味でも余りよろしくない。
私を含め、30代後半でたまたま一人目を産めたとしても、2人目、3人目を産めるかどうかは分からない。
産める確率は1人目よりもぐっと減るのは確実である。
出生率を考えると、出来れば20代後半で1人目を産む方向に持っていくのが理想的だ。

しかし、日本で「妊産適齢期の周知徹底」を政策として実施するとなると、結構大変そうだ。
フランス政府がやったように「産みたい時ではなく、産める年齢で産むべき」などと言ったり、中学高校で「36歳以降は妊娠率が圧倒的に下がります」と教育したりなどしたら、かなりの感情的な反発が生まれそうだ。

しかし、10代から20代の女性を対象にした「妊産適齢期」教育を高校や大学などで実施することは、産む・産まないは別として、早めに人生設計を考えることにつながる。
もちろん人生設計なんて、産む・産まないも含めて意図したとおりになるとは限らないのだが、何となく生きるのではなく、「30代前半で産むために、早く資格をとって早めにキャリアを積むほうが良いな」とか考えて動くことにつながるので、良い影響を与えるだろう。

もし現在、20代でこの記事を読んでいる方がいたら、是非こんな作業をしてみて欲しい。
横軸に年齢。今の年齢から始まって5年毎に区切って50歳まで書く。縦軸は2つに分けて仕事とライフイベントと書く。
仕事の欄には、自分は何歳でどんなスキルや資格を身に着けているか、会社勤めならどんな役職でどんな仕事をしているかを書く。
ライフイベントの方には、未婚のことはとりあえず結婚は飛ばして、子供は何歳で何人産むのかを書く。
5歳ごとに区切った最初のところで、各子供が何歳なのか、自分の親は何歳なのか、を書き込む。
この作業をすると、5年毎のライフステージごとに、自分はどんな仕事をしながら、どのくらいの年の子供を育てているのか、親の介護をやっているのか、などの想像がわくようになろうだろう。

「妊産適齢期」に加え、このような作業をして人生設計を早めにすることで、若いうちにやるべきことや指針が見えてくる。是非高校や大学で積極的に取り入れて欲しい。

3. 20代で産んで、育児をしながらキャリアを形成し、女性リーダーを増やしていく政策とは

さて、私など、ある程度のキャリアを作ってから結婚→出産しているから、これからもキャリアと育児の両立は想像がつく。
なぜなら、スキルや社内の人間関係も構築できているので、産休や育休を取って仕事に復帰した時、自分が帰る場所があるし、どうすれば必要とされるかが分かっているからだ。

一方、先ほど書いたように、出生率増加を考えると、個人の立場からしても2人目、3人目が欲しいと考えているなら、20代のうちに産み始めるのが理想的である。

しかしながら、自分がもし20代後半で子供を産んで、同じようにキャリアを積めたのだろうか、と思うと、今の日本の状況では難しいのでは、と思ってしまう。 
今の日本の会社では、20代後半といえば、ようやく仕事を覚え始めたくらいの程度だ。
そんな時に、産休や育休を取って帰ってきて「非戦力宣言」されないだろうか、と不安に思う人は多いだろう。

その結果、20代で産んだあと、いわゆるマミートラック(出世は遅いが、育児との両立がしやすい負担の少ない部署で働くコース)に乗って、キャリアの優先順位は下げるか、キャリアを積むのを優先して子供は30代過ぎまで遅らせるのどちらかになってしまう人が多い、というのが現状ではないだろうか。

出生率増加と、女性リーダーを増やしていく、という両方を実現するには、マクロには、20代後半で産みながら、キャリアを積んで、ちゃんと出世コースにも乗れる、という人を増やさないとならないだろう。

何故20代後半で産むこと、と女性のリーダーシップ育成が両立できていないのか、もう少し原因を探りながら、対処方法を考える必要がありそうだ。仮説的には

・「早くキャリアを積める仕組み」 20代後半でも、会社に必要とされる-育休明けでも戦力として会社が保持しようとするキャリア形成の仕組み
・「残業しないのが当たり前」で、残業しなくても出世に響かない働き方

の2つは重要だと考えられるが、これは一朝一夕でできる事ではない。

すぐには残業が減らせないのであれば、保育園を増やすというベーシックな話に加えて、保育園の時間延長、保育園以外を使う場合(ベビーシッターなど)への金銭的援助などを行うなどにより、残業しても大丈夫な環境などを整えるしかないだろう。

今までの子育て支援政策は、女性が育児と仕事を両立する、という意味では成功し始めている。
しかし、もう一歩前に行き、女性が育児とキャリア/リーダーシップを両立する、というのが次の世代に必要なことだ。
そのためには育児をしている女性リーダーを増やすこと、ひいては出生率増加と女性リーダー増加を両立することには、もう一歩の支援が必要なのだ、という認識を多くの人が持つことはとても大切だと思う。

長い育休は女性のキャリア形成の妨げになる

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会社のアメリカ人の同僚に、子供が生まれてからどのくらい休むの?と聞かれたので、
「う~ん、3ヶ月で復帰したいけど、状況次第ね。長くても6ヶ月のつもり」 と答えると、「6ヶ月は長いね!早く復帰できるといいね。」 と言われた。
同じことを日本人同僚(年上男性)に話すと、「早く復帰するんだね。頑張ってね」という人から、「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想じゃないか」という心ない反応まで。とにかく「早い」という反応。

米国には法令で決まった産休や育児休暇というものがなく、各企業が制度や金銭的補助を自主的に設けている事が多い。それがだいたい2-3ヶ月。だから、女性の復帰も産後2-3ヶ月が普通だ。それでこの反応なのだろう。
同じことは、東南アジアの各国でも見られ、女性の復帰は産後3ヶ月程度だ。

一方、日本では出産をきっかけに仕事を辞める女性が多いのに加え、育児休暇を子供が1歳(保育園に入れない場合1歳半)になるまで取得できる。その間も給与の67%(ただし上限は3ヶ月間28万円、その後21万円)が保証される。そのためか、1年近く職場を離れる女性が多いので、この反応なのだろう。

(ちなみにヨーロッパ人はアメリカ人に近い反応だ。育休制度は整っているが、キャリアを積んでいる女性は早期復帰の傾向が高いからだ)

日本は、2000年代の政府の涙ぐましい努力のお蔭で、世界でもまれに見る、育児休暇の整った国だ。
日本より制度的に育休が長く、給付額も大きい国は、他にはスウェーデンくらいしか無いのではなかろうか。

各国の育児休暇制度との比較はこんなページで見られる
・最近のもの(2015年2月)→ 国際比較から見る日本の育児休業制度の特徴と課題
・ちょっと前(2010年12月)→ 男性の育児休暇を促す育児休業制度のあり方
・だいぶ前、でもP49の表が見やすい(2005年)→主要国における仕事と育児の両立支援策

しかし、育児休暇が長いことは本当に良いことなのだろうか?

こういう制度は、働く女性が子育てをするのを支援するものだが、決して女性がキャリアを積むのを支援するものではない。
もっと言ってしまうと、保育所やシッターなどの育児インフラが整っていないので、働く女性(または男性)に給付金を与え、休ませて子育てをさせ、キャリア形成を阻害している、という見方もできる。

働く立場から見ると、職務にもよるが、1年ものブランクがあると色んなスキルや感覚が鈍ってしまう。
社内のネットワークも希薄になるし、営業等であれば、顧客との関係も今より薄くなってしまうだろう。
それらをもう一度再構築して、キャリアを築き始めるのには時間がかかる。
妊産適齢期である20代から30代前半にかけては、体力もあり、仕事上のスキルを身につけながら、キャリアを駆け登っていく時期だ。そんな時に、一人産むごとに1年も休んでいるのは、もったいない。

職場から見ても、1年ブランクがある社員を、復帰のサポートをしながら使うのは結構な負担だ。
これが3ヶ月程度なら、欧米で言えば長期のバカンス程度に過ぎず、そこまでサポートしなくても、フル戦力になってもらえるだろう。

日経文庫「女性が活躍する会社」 には次のような下りがある。
空調設備で世界一のダイキン工業は、2014年に、出産後6ヶ月未満で職場復帰する女性社員に対して、最初の1年の保育補助費を従来の30万円から60万円に増額するという人事施策を導入しました。(中略)
ダイキン工業の井上礼之会長兼CEOは、「本人にとってもブランクは短いほうが現場感覚が鈍らないし、キャリア形成もしやすい」と、制度導入に踏み切った背景について説明しています。

井上会長は、ワーキングマザーは大変だからと、責任ある仕事を任せないのは「優しさの勘違い」だとも指摘しました。その「優しさ」に安住していたら、いつの間にか戦力外になってしまうリスクが有るのですが、企業で働く女性も、そこに目をつむっていたのです。   
女性が子育てをしながら、キャリア形成を支援する施策というのは、育児休暇中の給与を補償するものではなく、早期の職場復帰を促しながら、ベビーシッターなども必要に応じて雇えるほど金銭面でのサポートをする、このダイキン工業のような施策を言うのだろう。

女性の早期の復帰を阻むのは、保育所不足問題と、その代わりに育休を長く取れる制度のせいだけではない。
母親は子育てを優先すべき、という周囲の価値観や期待が、早期復帰しようという女性をとどまらせる。
「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想だよ」「お母さんは子供にとって一人なのだから」などの言葉が、悪気もなく、女性だけに浴びせられる。

なお、「子供が可哀想だ」という人たちは、決してあなたの子育てを手伝うわけでも、あなたのキャリアを築く協力をするわけでもない。
むしろ、あなたのキャリアに興味もないから、こういう言葉が悪気もなく出てくるのだろう。
本当にあなたのキャリアを築く協力をしようと思っている人たちは、こんなことは言わない。

例えば、私には、会社に何名かの男性のメンターがいるが(メンターとは→参考記事)、彼らはこのようなことを言う。
「早く復帰したいなら、会社として出来る限りのサポートをする。
でも、子育てを楽しんでゆっくり復帰したいなら、復帰した後に、しっかりとキャリアを再形成出来るように協力するから、安心して休みなさい。
子供を産み育てることで、人として大きく成長することが、キャリア形成にも非常に意味があるから。」

ブランクは短いほうが、本当は、本人は楽にキャリアを築けるので良い。長く育休を取ればきっと苦労するだろう。
でも子育てにしっかり時間を使いたいという考え方もあるから、強制は出来ない。子育てでキャリア形成に学ぶところもあるだろう。
どんな選択肢を取っても、協力をしよう。
あなたを本心からサポートしようとしてくれる人はこのように考えるものだ。「子供が可哀想」「母親は一人だ」など、他人事でしかない人達の話を真に受ける必要は全くない。

話を戻して。
日本の両立支援制度が、育児休暇を長く取りやすい方向だけに進むとしたら、大きな問題である。
保育所やベビーシッター・学童保育、およびそこへの補助金などを充実させること。
育児休暇時の給与補助ではなく、保育費等の金銭的補助をすること。
こうやって、女性が出来るだけ短いブランクで働き続けられるほうが、安部政権が目指している「少子化を解消しながら、女性リーダーを増やす」という目標には近づくだろう。

追記: 先週の記事「パートタイム育休」制度は、どうしても保育園が見つからず高いけど無認可で・・というような女性の職場への早期復帰を促すものだと考えています。
提言:「パートタイム育休」は可能なのか
提言:「パートタイム育休」は可能なのか-Part 2 反響まとめ

追記2: 誤解がないように補足すると、この記事の趣旨は、現在の政策が「育児休暇を支援」することに重きを置かれていることへの批判です。本当に女性のキャリアをサポートするなら、育児支援金を出すとか、保育所などの施設を増やす方にも行くべき、というものです。
「キャリアを優先したいけど、金銭的な理由等で出来ない女性に無理をしろ」という趣旨ではないです。(もちろん意識改革は必要ですが・・)

参考文献

女性が活躍する会社 (日経文庫)
大久保 幸夫
日本経済新聞出版社
2014-10-16

 
「女性活躍推進」=「少子化推進」の失敗を繰り返さないために-超少子化社会、脱却への処方箋-
ニッセイ基礎研究所 天野馨南子
・・・こちらは妊産適齢期の20代後半の女性へのサポートの必要性を訴えるもの 

子育てが楽しくても仕事に戻る理由(1)ー情熱を傾けられる仕事

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まだ子供が生まれたわけではないので想像の域でしかないが、育児書や子育てに関する本を読んでいると、子供が可愛すぎて、子供と過ごす時間が楽しく、仕事に行くたびに後ろ髪を引かれる人がいるのはわかる。
加えて、育児と仕事を両立する生活が大変な中、仕事を続けていくには、それなりの理由と覚悟が必要だろう。
経済的な理由はその一つだが、それ以外の理由を確立している人たちの話を、何回かに分けて書いていきたい。

今回、私は産休に入る前に、会社の上役の人々に、産休前に色々相談したいから、と言って一人30分くらいの面談を申し込んだ。これはどこかで書こうと思うが、産休前にやるべきこととして、普段仕事を一緒にしない人も含め、部署に関わらず上役の人々に面談を申し込むことをお勧めしたいと思っている。仕事の枠を超えてその人の人柄を知るのは楽しいし、休みがあけてから一緒に働きたいと思うロールモデルを探すのにも役に立つ。

さて、その中のひとりが、面白い話をしてくれたので、今日はそれをシェアしたい。

彼の家は共働きで、小学生の娘と息子がいるという。奥様もかなり責任のある仕事をしているようである。
ちょうど娘が保育園だったころは、土日は娘と一日中遊んでいたそうだ。娘と一緒に時間を過ごしていると、自分も本当に楽しい。娘もそれを感じたのか、ある日曜日の晩、こんな会話になった。

娘「お父さんは、私と遊ぶの、楽しい?」
父「楽しいよ」
娘 「じゃあ明日は、かいしゃに行かないで、私といっしょに遊ぼうよ。私もほいくえん行かないよ。」

困ったお父さんは次のように答えた。

父「でも、XXちゃんは保育園でお友達と遊ぶのが楽しいんでしょう?」
娘「うん、でもお父さんと遊ぶのも楽しいよ」
父「XXちゃんとかXXちゃんとか、お友達も待ってるんでしょう?」
娘「うん・・」
父「じゃあ保育園に行かなくちゃ。お父さんもね、 会社にたくさんお友達がいて、お友達がみんなお父さんのことを待ってるんだよ。だから、明日からは会社に行かなくちゃいけないんだ」
娘「かいしゃでお友達と遊んでるの?」
父「そうだよ」
娘「私と遊ぶのより楽しいの?おもしろいおもちゃがあるの?」
父「XXちゃんと遊ぶのも楽しいんだけど、会社でお友達と遊ぶのも楽しいんだよ。おもちゃもおかしもたくさんあるよ」
娘「ふーん」

娘は納得が行かないような様子で、会話が終わった。彼は考えた。

奥さんはフルタイムで働いて、稼ぎも良い。正直自分が仕事を辞めても、辞めないまでも、もっと娘と時間を過ごせる仕事を探しても、経済的には問題がなさそうだった。更には、奥さんは今の仕事にやりがいを感じており、楽しそうだ。自分がもう少しライフスタイルの良い、楽な仕事に移ったら、喜ぶだろう。
それでも、大好きな娘に求められてでも、いま自分が身を粉にして夜遅くまで働いているのは何故だろう、と考えた。結論が出ない。

その後、娘が「お父さんが楽しいといっているかいしゃというところで私も遊びたい」と言い出し、ある日曜日に会社に娘を連れて行くことになった。

誰もいないオフィス。「今日は日曜日だから、お友達はいないんだよ」と説明する。
娘はその辺を走り回り、オフィスの中で無料で提供されているお菓子やジュースを見つけて喜び、ひと通りはしゃいだ後、こう聞いた。

娘「おもちゃはどこ?」 
父「これがお父さんのおもちゃだよ」 と言いながらパソコンや書類の束を指さす。
娘「ふーん。楽しいの?」
父「楽しいよ」
娘「私といっしょにXXのおもちゃで遊ぶより楽しいの?だから毎日行くの?」

彼は「そうだよ」と答えながら、本当に自分は今楽しいのだろか、と自問した。
中途入社したばかりの頃、新しい価値のある仕事、知的刺激の大きな同僚たちと一緒に働いて、ワクワクしていた気持ちの頃を思い出した。ある程度働くことに慣れてきてからは、出世のことも考え、必ずしも自分がワクワクしない仕事も引き受けていた。
今、自分は本当に娘との時間を犠牲にしてでも、情熱を傾けられることだけをやっているだろうか。
娘に嘘は付けない、と思った。

それ以降、彼は、自分が本当に情熱を傾けられる仕事だけをやろう、と決意した。
自分がワクワクしないプロジェクトはそのままでは引き受けない。ワクワクするような内容に変えていく。そうでなければ、クライアントにも失礼だ。
それから、つまらない作業はできるだけやらないように、自分の働き方をもっと効率的に変えていこう。
娘にワクワクする気持ちを伝えられる仕事をしていれば、若い後輩たちにも、クライアントにも、そのワクワクが伝わり、いい影響を与えられるはずだ。自分たちの使命は、後輩たちやクライアントをワクワクさせて、彼らの動く仕組みや考え方を大きく変え、変革していくことなのだから。

彼とはその後、復帰後の話をし、30分が終わって、私は部屋を出た。
育児はきっと楽しいだろう。
だからこそ、仕事では自分が本当に好きなことや、情熱を傾けられることをやっていこう。そして、情熱が傾けられるように、働き方も変えていこう、と 思った。この気持ちを忘れないようにしたい。
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