今日から37週。ついにいつ生まれても大丈夫な正期産の時期に入りました。
完全な産休には入らないまでも、2日働いたら1日休み、のような感じで徐々に休みの日を増やしていまして、ブログ書く時間の余裕も出てきました。
今日は、妊娠中の海外出張の記事の続きです。
今回の妊娠中3回目となる海外出張は7月下旬、妊娠7ヶ月の半ばとなる26週で、南半球でした。
前回までの記事→
妊娠中の海外出張その1ー妊娠7週@香港
妊娠中の海外出張その2ー妊娠19週@シンガポール
最近の記事→
共働きキャリアママ、二人目を妊娠-二人目とキャリアの選択を悩む方へ
高齢妊婦が、出産直前まで無理せず働き続けるためのコツ
■ 主治医に相談して渡航OKを頂く
今回は出張が決まってから実際の渡航までの期間が短く、その間に妊婦検診が無かったので、出張が決まった後に病院に電話して先生と話しました。
先生曰く、前回の検診で特に問題は見られず、子宮頸管長などもかなり余裕があったので、受診なしで行って大丈夫ですよ、とのお言葉。
ただし、何か体調の変化を感じたら必ず事前に受診して下さい、と言われました。
特に体調の変化は無かったので、結局そのまま渡航。
なお、南半球の国々は、直行便だと夜行便になることが多いです。
また、距離もかなり長いので、通常10時間以上のフライト。
夜9時とかに出発し、翌朝早くに着く一日を有効に使うことが出来る便で、各国のフラッグシップは寝ることを前提とした座席やサービスを提供しています。
今回はビジネスクラスだったので、フルフラットで寝て行けるし、大丈夫だろう、と思っていました。
■ 行きの夜行便で、夜中に目が覚めてパニックに…
離陸後は、すぐに食事。
ワインが美味しそうだったので、幾つかの種類頂いて、飲まずに味見だけしてみたりなど、フライトを楽しんでから、早目の時間に座席をフルフラットにして寝始めました。
ところが、寝始めて3-4時間が経った夜中の2時ころ、ふと目が覚めました。
宇宙をたった一人で漂っているような気が遠くなるような夢を見て、起きたら周囲が真っ暗で怖い。
機内が極度に乾燥しているせいか、完全に鼻が乾燥して詰まってしまい、とても息苦しい。
喉も乾いているのですが、ペットボトルの水を飲むとその瞬間完全に呼吸ができなくなるので、怖くて飲めない。
さらに口呼吸をしていると喉が乾燥して、ますます息苦しくなってくる。
ここは真っ暗な空の上。主人や娘にも連絡を取る事もできない。
下にはきっと真っ暗な海が広がっていて、落ちたら死んでしまうだろう。
このままたった一人で息もできずに、異次元に放り込まれたまま死んでしまう不安感に襲われ、「うわ~~」と叫びたい気分になりました。
これが世にいう「パニック障害」ってやつか、と気が遠くなりそうな気持ちの中、必死に考えました。
とりあえず、起きだして気を静めようと思い、普段から鼻炎のため持ち歩いている妊娠中OKの点鼻薬を打ちました。
そして、のろっと起き出してシートベルトを外し、通路をウロウロしていたところ、トイレ近くでCAさんに声をかけられました。
外人のCAさんに(英語で)一生懸命説明。
「今妊娠26週なのだが、突然息苦しくなって起きた。乾燥で鼻が詰まって更に苦しい」
すると、CAさんが「ちょっと待ってて」と言い、10秒後になんと酸素ボンベが出てきました。
そして3,4人のCAさんがワラワラと集まってきて、血中酸素濃度を測ったり、脈を測ったり、水を持ってきてくれたり、予備の酸素ボンベを持ってきてくれたりと、色々とお世話してくれました。
中には日本人のCAの方がいて、日本語でも話をしました。
明るいところで、そのCAさんたちと色々話しているうちに、だんだん不安感が治まってきました。
■ 妊娠中はパニック発作を起こしやすい
正直、パニック発作に陥るのは、産まれて38年、初めての経験だったのでかなり驚きましたが、妊娠中にパニック発作を発症する人は実際にはかなり多いようです。
私のように、フライト中などの特殊な環境でなく、普段寝ている時や人混みの中などに突然生じる人もいるようです。
妊娠中期を過ぎると、子宮が横隔膜を圧迫して腹式呼吸が出来なくなるので、自然と息苦しくなります。
また、血流が通常の1.4倍程度まで多くなっているので、動悸が激しくなりやすい上、鼻が詰まりやすく、鼻炎を発症しやすくなります。
その上、ホルモンのバランスが崩れているため、脳内のドーパミンとセレトニンという2つの脳内物質のバランスが崩れて、不安感に陥りやすい。
ので、実際にパニック発作にあったときは、「妊娠中だから、みんななるんだ」と思うと、多少は気が和らぎます。
「苦しいけど、少しずつ呼吸すれば死ぬわけじゃないんだ」と自分に言い聞かせると、だんだん気分が落ち着いてきます。
■ 妊娠33週までフライトに乗っていたCAさんのお話
酸素ボンベ2本めに突入し、少しずつ落ち着いてきた私を安心させようと、色んな話をしてくれたCAの方とは、妊娠・出産・育児と仕事の両立について色々話しました。
今は4歳と2歳のお子さんがおり、子供をじいじ・ばあばやシッターに預けながら、深夜便の国際線勤務を続けていらっしゃるそうです。
2回目の妊娠のときは、なんと32週までフライトに乗って勤務を続けていらしたそうで、海外の航空会社の柔軟性に驚きました。
32週じゃかなりお腹も目立ったでしょうし、誰が見ても妊婦と分かるレベルでしょう。
乗客の重い荷物を上げたり、力仕事もあるけれど、男性のCAも多く、一般的には力仕事は男性CAがやることが多く、妊婦だからといって特に困ることは無いそうです。
つわりのときはフライトは難しいですが、安定期に入ってから医師のOKがあるなら、問題ないようです。
妊娠中であっても、本人がフライトに乗り続けることを希望すれば、そのような選択肢が取れる、というのは素晴らしいと思いました。
一方、日本の航空会社は、妊娠発覚したらフライト禁止、地上業務へ強制異動、が多いと思います。
それは、もちろん安全上の理由もあると思いますし、飛行機は地上より放射線を浴びやすく胎児に影響云々という話もあるでしょう。
しかし実際には、妊婦に対する偏見があることが一番の理由なのでは、と邪推します。
また、「いざという時、CAが妊婦じゃ信頼できない」などと言い出す乗客が少なからずいるのかもしれません。
最近は、日本でも女性も男性と同じように働くのが当たり前になってきましたが、いざ妊娠・育児が絡んでくると、柔軟な対応を取れない職場が多いと思います。
妊娠して体調が優れず、休みをたくさん取ろうものなら「妊婦だから甘えやがって」と言う人がおり、解雇の憂き目にあう人もいれば、
逆に妊婦でも体調がすこぶる良く、本人も希望しており、医師も問題ないと言っているのに、会社が勝手に「妊婦に仕事はさせられない」と制限をつけてしまうところもあります。
育児も同様で、育児しててもバリバリ働きたい!という女性でも、強制的にマミートラックに送り込む会社があれば、
逆に時短で帰りたいと思っている女性に「そんな中途半端な働き方じゃ困る」と追い詰める会社もあります。
女性の職場環境は昔に比べたら向上しているのかも知れませんが、ひとたび妊娠・育児となると、本人の働き方の希望に柔軟に対応できるところは少なく、「女」であることの不利を感じざるを得ない。
日本ってまだまだそんな国だなぁと思いました。
そんな話をひとしきりしているうち、私の気分もだいぶ良くなり、席に戻って寝ることにしました。
そして着陸直前まで、ゆっくりと寝ました。
■ 娘はじいじ・ばあばの家に預けて、帰りの便は一日遅らせてゆっくり土曜日に
今回の渡航は、帰りは一日遅らせてゆっくり帰ってこられるよう、1歳4ヶ月の娘を義父母の家に預かって出発しました。
金曜日に仕事を終えてから、睡眠時間をしっかり取ったせいか体調もよく、行きのときのようなパニックに陥ることもなく、無事帰国しました。
■まとめ
以上、妊娠中期後半の海外出張経験でした。
- 安定期ですが、子宮頸管長が短いとか子宮口が開き始めてるなど、自覚症状のないまま、切迫流産・早産になることもありうるので、主治医の判断はやっぱり重要
- フライト中は乾燥する事が多いので、マスクは必須。加えて、鼻が詰まるときのために点鼻薬を持ち歩くと良い(なお、点鼻薬は、妊娠中も使えるタイプのものを準備する。私はロート製薬の「アルガード クールスプレー」を使っています)
- 妊娠中は、血流が通常の1.4倍となり動機・息切れになりやすく、鼻も詰まりやすく、ホルモンバランスも崩れているために、パニック発作にかかる人は多い。パニック発作を起こしたときは、落ち着いて呼吸を続ければ死ぬわけじゃない、と言い聞かせ、ゆっくり呼吸を続けると良い