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風邪をひいた4ヶ月の娘。
咳は治まってきましたが、まだ鼻がズビズビ、たまに詰まらせて大泣きします。
やはり長引くなぁ。
私は、家事はルンバと洗濯機に任せ、昼はレトルトと冷凍品でササッと済ませ(赤ちゃんの栄養のため、手抜きでも品数だけは揃えてます)、一日中赤ちゃんのそばで様子を見ています。

さて、先日書いた「病児保育をつかう、ということ」の記事は、その後BLOGOSに転載され(転載先リンク)、一時は人気記事のトップにあがり、100を超えるコメントがつきました。

頂いたコメントを読むと、私のことを育児を放棄して迷わず仕事をする鬼母みたいに書いてる人がいますが、そんなことはありません。
娘を愛し、育児も不慣れながら一生懸命やり、娘の笑顔を見るたび「この子を幸せにするため、仕事も頑張ろう」と思い、復帰したらこのクソ忙しく責任の重い仕事と、育児をどう両立しようかと悩んでいる、普通の母なのです。

さて、コメントの中で結構多く、気になったのが、

「日本の会社は育児に不寛容すぎる。子供が風邪でも休めない職場は日本だけ。」
「子供が病気でも、病児保育に預けて仕事に行くって、どんだけ社畜を前提とした社会なんだよ」
「アメリカでは、子供が病気ならどちらかの親が休むのが普通です。日本はおかしい」
「子供の風邪でひとりやふたり抜けたくらいで、業務が他の人にふりかかるような仕組みで回してるのがおかしいんだよ。こんなの日本だけ」 

というように、日本は育児に不寛容、海外は育児中の親にやさしいユートピア、みたいに書かれているコメントが多いこと。
本当にそうなのでしょうか。

私自身、2年以上も米国に住み、東海岸での留学に加え、西海岸でも半年ほど仕事をしていたのに、当時は育児に関心がなくて、余り記憶がなく。

そこで、娘の看病の合間に、スマホで"when both parents work and children get sick" でGoogle検索し、上位40の記事やサイトをざっと読み、海外での共働き夫婦の実態を調べてみました。
「海外」と言っても、私が調べられたのは英語圏のアメリカ、オーストラリア、イギリスだけですが。
色々わかったので、これらのサイトの一部を、和訳しながら紹介します。


■ アメリカの病児保育事情: 「病児保育」は存在せず、子供が病気なら父母が休む。「看護休暇」も20州で法的には認められている。しかし会社を休みづらい状況は日本と同じ。休み過ぎでクビになるリスクは日本より高いかも

日本語で「アメリカ 病児保育」でググると、最初にこの記事(リンク)が出てきて、アメリカでは、子供の病気で休むのは当然、他の人がイヤな顔をすることもない、とか書いてあるんで、誤解があるのかもしれませんが・・・

英語の記事を漁っていると、アメリカでは、子供が病気で父母が休んでも、イヤな顔するひとはいない・・・とはとても思えませんでした。苦労してるアメリカ人がどれだけいることか。

色んな記事をまとめるとこんな感じ。
  • 共働き夫婦は通常、子供をDaycareという保育園に預けるか、家でベビーシッターを雇う
  • Daycareでは、日本みたいに「37.5℃以上は一律ダメ」ということはないが、湿疹が出たり、吐いたりすると親に電話がかかり、迎えに来い、と言われるのは同じ
  • 一部のベビーシッターで、Totally OK with runny nose or a cough(鼻水・咳でも預かります)という人がいるが、病児保育のようなきちんとした仕組みはない。訴訟社会のアメリカですから、訴訟リスクが高すぎてやれないんじゃないでしょうかね
  • そのため、親は子供の風邪が治るまで交代で休みをとるのが普通
  • 「家族看護休暇(Family and Medical Leave Act)」が法律で認められている州もあるが、少ないので、自分の分の病気休暇まで使い切ることもザラ
  • 法律で認められてるからって、職場が休みに理解が有るとは限らない。休みにくい状況は日本と同じで、上司の理解が得られない、同僚に文句言われるなどの事例が出るわ出るわ・・。一流企業に勤めてる人でも、「周囲の反応を考えると休みづらい」という感覚は同じようです
  • 更に、子供が病弱で、法律範囲外に休暇をとると、給与が減らされたり、クビになるリスクと背中合わせ。アメリカのほうがこの辺は厳しそう
  • 一方、一流企業に勤めているアメリカ人は、子供の病気で休んでもクビ、とはなりにくく、休みも取りやすい様子。これは日本も同じですよね
  • 日本より良いのは、そんな環境でも働き続ける女性が多くて事例が豊富なこと、男女間の役割固定がより少なく「子供の面倒のために男が休む」のも一般的なこと、でしょうか
では記事を幾つかご紹介。

16 Things Working Parents Should Know about the Horrors of Caring for Sick Children -Pajaba
共働き夫婦が知っておくべき、病気の子供のケアにまつわる16個のホラーストーリー (2013, Nov)


この記事は、病気にかかりやすい小さな子供を持つ親が苦労する様子を面白おかしく書いている。
コメントの反響の多さ!中には「アメリカの職場は育児に不寛容すぎる」と書いてる人もいます。どの国もおんなじですね。
英語を読まない人のために、途中まで日本語で超要約しますが、英語読む人は是非上のリンクを読んでみてください。面白いので。

1. 子供は、親が最も困るときに風邪をひく。そう、必ず。裁判が始まる時、とか。明日が大事な昇進面接な時、とか。

2. 子供が3歳以下なら、年に10回は風邪をひく。これは科学で証明されてる(訳注:実際、1972年にLoda et alのそういう論文が有るらしい)。そして保育園は病気の培養装置。

3. 子供が鼻を垂らしていない日があったら、写真をとってFacebookにアップすべき。そんな日は殆ど無いから。

4. 子供のいない上司や同僚は、表では理解が有る素振りを見せるが、裏では陰口を言っている。「ちょっと信じられる?あいつまた子供の風邪で休みだってさ。子供おかしいんじゃないの?」 おかしいんじゃなくて、それが普通なの。子供は風邪引くんだよ、バーカ。

5. でも忘れないで欲しい。子供が産まれる前は、あなたもそのバカの一人で、同僚の文句を言っていたことを。
 
6. 悲しいジレンマ。子供が熱出して保育園に行けなくて、あなたが仕事を休んでも、保育園の金は払い続けなくてはならないってこと。あなたは自分の子供の面倒見ながら、他の子供の面倒を見るための月謝も払ってるの。

7. そして夫婦ゲンカ。どちらが明日の仕事を休んで、子供の面倒を見るか。
「オレは2時までにレポート仕上げないとダメなの」「私だって11時から大事なクライアントミーティングがあるの」。このエンドレスなケンカは次のように終わることがある。
「わかった。明日仕事に行かなかったら、オレはクビだよ。そしたら毎日家にいられるよ。ダンボールの家にね!」.

(この後、9つくらい、面白い事例が並んでます。最後までオチがなく、文句ばかりですが・・・)


Should staying home with a sick kid cause a working mom so much anxiety? - The Washington Post (2014, Jan)

言わずと知れた、アメリカで最も著名な新聞の一つ、ワシントン・ポストの記事。

子供がグズり始めた。夫婦のどちらが休みを取るか、スケジュールを見せ合って交渉。自分が休むと決まったら、同僚に何と言って休むべきか、同僚の嫌がる様子が目に浮かぶ…

(要約訳)「一番小さい子の病気でまた休む、と言ったら同僚はえぇーって言うだろうな。グループEmailで早退します、と書いたら目を回すかも。 
どのくらい、事情を話すべきだろうか。3番目の子供が夜中じゅう吐きまくってたって言ったら、同情を得られるかしら。それとも単に、病気休暇取りますだけのほうがいいかしら・・でも、先週2番目の子が熱出した時、私が病気でって嘘ついちゃったのよね。 前の週に一番上の子の病気で休んだばかりだったものだから・・

そんな悩める母親の気持ちを描いた後、「子供が病気の時、会社を休むことが出来るか」について2013年にアメリカで行われた調査について書かれている。
なんと、小さな子供を持つ親の3分の1もが、「子供が病気の時、休みづらい。給与を減らされるか、クビになるリスクがあるから」と答えているのだ。
そして別の調査では、10人に4人は、家族の病気の時の有給は認められていない、という。

A working mom's guide to sick kids- Parents 

Parents、というアメリカの親向け雑誌のサイト。結構驚きの事例も書かれていてびっくり。

(要約) Oregon州のDaycareでの極端なケース。1歳2ヶ月の女の子が昼寝後に吐いてしまったので、親に来るように連絡したところ、どちらも来られない、との返事。父親は新しい仕事についたばかりで、休んだらクビにされてしまうかも、と言い、母親は前の週に上の子供の病気で休んだばかりで、これ以上休んだら給料を減らす、とボスに脅されているという。
そこで、母親は何と自分の指を喉に突っ込んで、オフィスのカーペット中に吐き戻したという。それでボスは、彼女自身の病気ということで家に帰らせてくれて、彼女は漸く娘を迎えに行くことが出来たという

極端なケースだが、それくらい、子供が病気でも、休みを取るのが大変だという人がいるということだ。


■ ではアメリカでは、子供が病気で、両親とも仕事を休めないときはどうしているのか

流石、ハウツー本の国アメリカ。
その解決法を論じてるサイトもたくさんありました。

The working parents' guide to dealing with sick kids- Today's Parent

このサイト、太字だけ読み流すと、自分の権利を知ること、とか、上司の許可をとること、とかアタリマエのことしか書いてないんですが、目から鱗の正しいアドバイスが文中に隠れてるんで、しっかり読むべきです。

1.  もし子供の病気のために休むだけの十分な有給がなければ、地域の代議士などと相談し、雇用主に対して有給を増やすよう、掛けあってもらうべき

流石ロビイングの国アメリカ、と思いましたが、最近は日本も、地方政治の公約は子育てのことばかり。地元の有力な、市区町村の議員などに相談して掛けあってもらうのも、もしかしたら、結構効くかもしれないです。

2. 子供が病気になってから上司に許可を取るのでは遅い。病気になるずっと前から、上司と話して子供の病気の際の有給の許可をとっておくこと。家族の予期しない事態に準備するのは、仕事のリスクマネジメントで最優先事項だと思え。

リスクマネジメントについては全くその通り。そして、事前根回しはどんな場合でも重要。
この話は、他の記事でもかなり触れられてました。
実はアメリカは根回しの国。そしてリスクマネジメントが出来るかどうかは、リーダーの資質があるかどうかで最も問われる要件です。

日本でも、「職場の理解が得られない」とか嘆いている多くのケースで、「子供が病気だから」と言っていきなり休むケースが多いのではなかろうか。
前々から、子供が病弱で冬場は休みを結構取るかも・・などと上司や同僚に話して、事前に仕込んでおけば、休みやすい環境を自分で作れるかもしれません。

そういえば私の夫も、私の仕事復帰時に2ヶ月の育休を取るため、数か月前から上司や同僚にあの手この手で根回しをしていたようです。
(夫がどうやって根回ししたのか、は本人の許可があればそのうち書きます)
男性の育休取得率2%の今の日本で、男性が波風を余り立てずに育休を取るには、相当根回しが必要だと思うので、取ろうと思っている人は、かなり前もって、しっかりやって下さい。

3. 休暇が必要なほど、子供が病気ではないケースも多いので、良く症状を聞いて保育園・学校と話し、大丈夫なら預け続けること。子供が家に帰されるケースのうち57%は実際には急を要する病気ではない、という調査結果。

別の記事を読んでると、保育園から電話が来ても、「それは病気ではなくてアレルギー」などと言いくるめて、そのまま預けさせるケースが多いらしい。
それが良いかはともかく、自分の子供の面倒を見ているうちに、「こんな症状の時は大変な事態にならないから大丈夫」という親の勘が育つだろうから、その場合は安心して病児保育などに預ければ良いのではないだろうか。

4. 祖父母、親戚、友人、ベビーシッターなどの信頼できるケアネットワークを作ること。咳・鼻水程度なら面倒を見れるベテランベビーシッターもいるので、探しておくこと

前々から、祖父母や信頼できるベビーシッター等、親の自分でなくても、親と同じくらいか、準じる形でケアしてくれるような人たちのネットワークを作っておく大切さは、日本でも同じですね。


■ アメリカで、病気がちの子供を見ながら、「キャリア」も成功させるには…

さて、病気がちの子供を持ちながら、どうやって仕事と両立するか、という話を見てきましたが、リーダーシップ職に就くなど、「キャリア」との両立、となると少し話が違ってくると思います。
キャリアとの両立について、これ!という記事は無かったので、20程度の記事を読んで、見えてきたことを書きます。

1) 看護休暇が取りやすく、キャリアとも両立しやすい企業、というのはあり、そこに勤めることが重要

色んな記事を読んで思ったのは、やはりいわゆる一流企業に勤めている方が、子供の病気で休暇は圧倒的に取りやすく、キャリアとの両立もしやすい、ということです。
実際、Google、Facebook、P&Gなどで、子供が病気で休む、在宅での仕事を認める、などフレキシブルな対応のケースが沢山出てきました。
(Yahoo!はMarissa MayerがCEOに就いてから在宅を禁止しましたが、職場に託児所を設けました。Marissa自身の子供も含め、病児もそこで預かっているっぽいです→参考記事

一方、労働者階級は、州法で認められるはずの「家族看護休暇」すら、十分に取れないことも多い。そして減給と解雇のリスクに常にさらされている・・・

結局、良い大学を良い成績で卒業し、良い企業に勤め、育児と両立前に仕事でも実績を作っておく、というのが、アメリカでは日本より、育児とキャリアの両立には最も大事のようです。
当たり前かもしれません。すみません。

2) 事前準備、事前に根回しをしっかりやるのはリーダーの資質

ただ、そんな一流企業に勤めていても、休みづらい繁忙期、休んでもらったら困る時、などは有るわけで、相手が想定してなかったネガティブなことをいきなりやる人は「仕事が出来ない奴」と認定されます
「子供が病気だからと言って、突然休んで周りを驚かせる」というのは、仕事に対する計画性とリスクマネジメントがない証拠、イコール、リーダーとしての資質が問われる、と思って良いと思います。

え、子供の病気なんて事前に計画出来ないよ、と思うかもしれませんが、文字通りの計画ではなく、相手を驚かせないことが重要。
「休むことを知らない人に事前に可能性を知らせておく」
「余り協力的でない人にも、自分の窮状を話して、事前に同情を得ておき、サポートをしてもらえる雰囲気を作っておく」ことは可能なはずです。

キャリアとの両立を成功させたかったら、「職場が育児に不寛容」と嘆く前に、自分自身が子供が病気でも休むことに寛容な雰囲気を、十分な根回しやコミュニケーションで作っていくくらいが望まれるのかもしれません。

3) 共働きなら、夫婦どちらのキャリアを優先するかを決めておく

どんなに根回ししても、仕事を休んでばかりでは、キャリアとの両立は出来ないでしょう。
米国の消費財大手P&Gでは、「子供が小さい時は夫婦どちらのキャリアを優先すべきかを決めておくべき」と教えられるそうです。
この辺りは、また別の機会に書こうと思いますが、夫婦どちらもが同じ時期に育児とキャリアを両立するのは難しいんだ、という覚悟は必要なのかな、と思いました。

以上、まとめると
  • アメリカには病児保育の仕組みはなく、子供の病気の時は親が休む。休む法律もあるが、職場が子供の病気に対して不寛容、というのはアメリカでも一緒。たくさんのアメリカ人が苦労している。ただ、働く女性が多いのと、男性が育児をするケースも日本より多いせいで、理解は得やすそう
  • それでも、仕事と育児を両立する方法はいくつかある。子供が病気になるずっと前から、根回しして病児休暇を取りやすくする、議員に掛け合う、祖父母・友人・ベビーシッターなど、いざというときのネットワークを作っておく
  • 病気がちの子供を見ながら、キャリアも成功させたいなら、そういうことに寛容な一流企業に勤め、成果を出しておくこと。そして、そういう企業においても、ちゃんと根回しし、休みやすい雰囲気を作っておくこと。相手を驚かせるのは厳禁
子供が病気の時、親が休んであげられれば良いに越したことはないと思います。
でも、子供の病気って本当に長引くものは長引くし、その全てをお休みして付き合うことは、やはり難しい。
そんな時、病児保育、という選択肢がある日本は実はラッキーなのかもしれません。
「病児保育」と言うもの自体、ケアを提供できる日本のベテラン主婦のレベルの高さ、利用者のマナーの高さ、訴訟リスクの低さ、など日本ならではの事情によって成立しているんだろうな、と思います。

あと、今回の記事は、英語の記事文献のみをソースとして書いたんで、今度時間があるときなどに、アメリカ人の子供がいる友人に話を聞いて、どこかでアップデートしようと思いまーす。