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4週間ぶりのブログです。大変長らくお休みしました。
その間、生後4ヶ月の娘は慣らし保育で3回風邪をもらってきたり、 私が復帰準備を始めたりと、忙しく過ごしておりました。
風邪が治るたびに急成長。なかなか首がすわらないと心配していたのに、4ヶ月の誕生日を過ぎて首が座ったとたん、寝がえりをコロコロするようになったり、人見知りをするようになったりと、目が離せなくなって来ました。

さてさて、タイトルの件ですが、保育費用がキャリア妻の収入を超える、というのは実はよく聞く話。
「え、そんなにかかるの?」と思う人は多いだろうが、子どもが二人以上いて都心の私立保育園に入れていたり、夫婦ともに激務でベビーシッターや病児保育を使い倒していたりなどで、月の保育費用が40万円を超える人は私の知り合いにも片手の指を超えるくらいはいる。
そこまで行かなくても、家事代行なども含めた保育にかかる費用が月に20万、30万に達するという共働き夫婦は割といるようだ。
そうすると、「え、そんなまでして働き続けるの?」という疑問を持つ人もいるだろう。

ウチも、計算したら結構高かった。
3月生まれで認可保育園に申し込みできなかったので、空きがあった託児所に入れる事にしたが、都心のせいか、びっくりするくらい高い。
加えて、病児保育や家事代行などの諸費用を含めると、ゼロ歳児のうちは、日本企業に勤めるうら若きウチの夫の月収を超える見込み。
それでも、夫が仕事を辞めて専業主夫になるべきとは私は全く思っていない。

一方、保育費用が妻の収入を超える家では、妻の仕事に理解がない夫に、「お金もったいないから仕事辞めろよ」「お前の収入と同額払ってんじゃバカみたいだろ」とか言われることも多いと聞く。
結構なキャリアを積んでいる女性でも、旦那さんにそう言われる話はママ会でもよく聞く話。

でも、仕事が好き、仕事を続けたい、と考えている妻(夫)は、自分が働いていることでかかる保育費用が高くても、仕事は続けた方がよい。
一時的に保育費用が収入を上回ったとしても、仕事を続けるメリットは沢山あるから。

もちろん専業主婦(夫)になる理由はお金だけではないし、否定するつもりは全くないが、ここでは仕事を続けたいのに「お金もったいないから仕事辞めろよ」と言われている人が反論にも使える、何故仕事を続けたほうが良いか、という5つの理由を書いてみる。

1. 生涯年収は、保育費用を差し引いても、仕事を続けたほうが圧倒的に高い

お金の話への反論は、やはりお金の話から。

結局のところ、保育費用が妻(夫)の収入を超えるなどというのは、長くても5年。一時的なことなのだ。
それでも仕事を続け、キャリアを積めば、収入は上がるので、ベビーシッターを雇ったり、家事代行を使ってでも仕事を続けた方が生涯年収は圧倒的に高くなる。

じゃあ実際どのくらい高くなるのか、というのをエクセルで簡単なモデルを作って検証してみた。
すると、年収にもよるが、保育費用が嵩んでもキャリアを積み続けた場合と、仕事を辞めて10年間専業主婦(主夫)をして、その後オフキャリアに復帰した場合では、生涯年収には二倍近くの差が出る、という結論。

モデルは、23歳で就職して初任給350万円、50歳に年収650万に達し、その後徐々に年収が下がって、65歳まで働き続ける設定(働き続ければ生涯年収2.4億円)を基本とする。
ここで、
ケース①:妻(夫)が30歳から育児中も出来るだけ働き続けてキャリアを積み、5年間は給料をまるまる保育費用に充てた場合、保育費用を除いた生涯年収は2.1億円程度になる。
ケース②: 30歳ですっぱり仕事を辞めて専業主婦(主夫)となり、40歳で復帰してオフトラックで60歳まで働き続けた場合、生涯年収は1億円程度だ。

(補足:
ケース①は、キャリアを積み続けることを優先して、育休などはキャリアの妨げにならない程度にしか取らず、ベビーシッターなどを活用し、年収を保育費用につぎ込み続ける、というモデルです。
生涯年収のうち、3000万円弱を保育費用につぎ込むイメージです。
保育費用が月額40万円かかっている、という冒頭のケースでも5年間で2500万円ですから、実際には育児休暇中の減給分も含めて、これの額を超えるのは珍しいと思われます)

一応、1000万円に達するケース(生涯年収3.4億円)もやってみたが、ケース①3億円、ケース②1.5億円だった。
図にするとこんな感じ。

Total revenue
年収やその増え方によっても、生涯年収は全然違ってくるし、専業主婦(主夫)をしばらく続けてから、起業して大成功、なんて人もたまにいるので必ずとはいえないが、キャリアを積み続けたほうが圧倒的に生涯年収は高い、というのは多くの場合に言えるはず。

そんなわけで家族に「仕事辞めたら」などとチクチク嫌味を言われて不安な人は、上記を元に反論するか、実際に自分の年収を元にモデルを組んで検証してもよいと思う。

2. 子供が手元にいるのはたった20年。仕事(や趣味)を続ければ、自分の一生の財産になる。

子育てに専念するために一度仕事を辞めてしまうと、資格や特殊な人脈があるわけでない限り、前線に戻るのはとても大変だ。
でも、ベビーシッターなり祖父母なり色んな手を借りながら、仕事も続けていれば、仕事を通じて得られた経験や人脈は一生の財産になるだろう。
子供を手元で育てられるのは、せいぜい20年くらいのもの。
一方、自分の人生は、子供が巣立った後も20~40年は続くのだ。

仕事や趣味に没頭して育児放棄するのでは最悪だが、逆に仕事も趣味も辞めて「子育てだけが生きがい」になってしまうと、子供が成人しても子離れが辛いし、子供も辛い。
親が自分の好きな仕事や趣味を続け、子育てに加えて自分の人生を生き続けるのは、子供の為でもある。

なお、これは趣味や地域活動にも言えることで、専業主婦(主夫)という道を選んだとしても、趣味や子育て、地域活動を通じて知り合った人脈はいつまでも大切にし、一生の財産にしたほうが良い。
仕事をしている人も、子育てしながら趣味まで続けるのは大変なことだが、人脈だけはちゃんと持ち続けた方が、老後も楽しめることだろう。

3. 仕事と家庭を両立する楽しさや大切さを教えられる親になれる

以前、ハーバード大の研究で、働く母親の元で育った娘は、管理職に就く比率が高く、年収も高い、息子は家事に貢献し、家族の面倒を見る父親、要するにイクメンになる比率が高い、というのがニュースになった。

ハーバード大のニュースリリース(英語)
それを元にしたThe Guardian誌の記事(英語)
日本語の記事(マイナビニュース)

共働きの家は相対的に世帯収入が高いので、娘に良い教育を授けられ、年収も高くなるだろうと思うので、この調査結果のどこまでが母が働く効果かはわからない。
でも、働く母親に育てられるほうが、迷いは少なく仕事をしながら子育てと両立できることだろう。
専業主婦の母親に育てられ、高学歴でキャリアを積む娘の、自分は母親ほど育児に時間をかけられないけど、うまく育てられるのか・・・というコンプレックスは根が深い。

結局、両親が共働きで仕事を続け、仕事を両立しながら家族の面倒を見ることで、それを見て育った子どもたちは、それが当たり前だと思い、抵抗なく続けていくことが出来るのだろう。
自営業の子供に、起業家が多いというのと似てる。子供は親の背中を見て育つのだ。

だから、子供にも仕事と家庭を両立するような大人になってほしいと思うなら、自らそうして子供に背中を見せるのが、効果が高いのだろうと思われる。
ただし、限られた短い時間でも子供と一緒に過ごし、子供に愛情を注いで、寂しい思いをさせないようにしないと、反面教師になってしまうことも。

4. 世間をよく知る、社会性の高い親になれる

別に専業主婦(主夫)が世間知らずだと言うわけではないが、仕事を子育てと両立しながら続ける母親・父親達が身につける知見や社会性スキルは、子どもの教育にも役に立つ。

小学校で、民間企業などで働く社会人を先生として招く、という話に似ている。
実際に社会に出て、お金を稼ぐことの大変さを知っている親が子供を育てることで、社会を生き延びるための知恵の面でも、社会性スキルの面でも、子供が社会にでる前に色々と教えられる事は多いだろう。

子供が社会人になり、会社で困ったことがあっても、人生の先輩として、相談に乗ってあげることも出来るだろう。

5. 小さい時から色んな人に育てられる方が、子供の社会性が身につく

両親とも働いていれば、子供は色んな人に育てられることになる。
父母に加えて、祖父母、保育園の先生、ベビーシッター・・・
保育園に通っていれば、小さい頃から社会の中で生きるすべを身につけることになるだろう。
子供の時から社会性が高い、という経験は、大人になってからの自信にも影響すると思われる。

なお、専業主婦(夫)などで保育園に通っていない場合でも、小さな頃から子どもたちだけの社会の中に子供を入れることを意識して育てる方が良い。
自宅でママ友会をやって、子どもたちだけで遊ばせておいたり、児童館や公園で遊ばせたりなど。
そこでのママ友との付き合いは面倒だ、と思う人もいるかもしれないが、子供の教育のためだと割りきって付き合えば良い。


以上。
子育てと仕事を両立するために保育費用がかさみ、自分の年収を一時的に超えても、仕事を続けたほうが、金銭的にも、自分の人生にも、子どもの教育を考えても、長い目で見ればメリットがあるよ、という話でした。

1. 生涯年収は、保育費用を差し引いても、仕事を続けたほうが圧倒的に高い(2倍以上)
2. 子供が手元にいるのはたった20年。仕事(や趣味)を続ければ、自分の一生の財産になる。
3. 仕事と家庭を両立する楽しさや大切さを教えられる母親(父親)になれる
4. 世間をよく知る、社会性の高い親になれる
5. 小さい時から色んな人に育てられる方が、子供の社会性が身につく

家族にチクチク言われる人、自分でも両立は大変だ、辞めた方がいいかなぁと気弱になってしまう人は、これを読んで頑張ってください。

一方、仕事は嫌い、仕事を続けるより家にいる方が自分らしくいられるし、楽しい、という人は専業主婦(主夫)になったほうが子供にも良い影響を与えられるかも知れない。
いずれにせよ、忙しくても子供に愛情をかけつつ、子育て以外にも好きなことを続けて、イキイキしている親の姿を子供に見せるのが、子供の教育にも大切なのだと思います。