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おととい、私の高校時代の友人たちとのママ会があり、子供の話や懐かしい思い出話に花が咲いた後、私が書いた「キャリアが先か、子供が先か」の記事の話になった。

キャリアが先か、子供が先か(前篇)
キャリアが先か、子供が先か(後篇)

話を聞いていて、(一部企業や職種を除く)どの会社も、若いうちは激務が当然、というところが多いんだなぁと改めて思った。
特に出世コースに残り続けるためには、最初の5~10年程度は残業なんか当たり前。
中には電車がなくなる時間まで働くこともザラという会社もあれば、残業代が出ないので7時始業、なんて会社もある。

会社によっては転勤が出世の条件、というところもある。
入社して5年は地方の営業所で働き、そこで課長になり、別の地方に転勤して支店長になり・・・などなど。

いや、別に出世に興味がなくても、単に下積み時代の安い給料から抜けだして、そこそこ稼げるようになるにも出世は必要なので、そのためには残業や土日出勤も含む激務を若いうちにこなさなくてはならない。

仮に女性が妊産適齢期の20代後半から30代前半、すなわちこの激務下積み時代の途中で、妊娠・出産を経験すると、出世コースから外れたマミートラックに移行することになりがちだ。
夫が9時5時ならまだしも、夫も残業がある中、子供を保育園に預けて働く、というライフスタイルで7時始業や深夜残業は厳しくなる。
本人が希望していなくても、激務が遂行出来ないので会社として移行してもらう、ということもある。

更には、本人たちが気にしなければ問題ないが、保育園が見つからない等で、女性が長い育休をとらざるを得なかったり、二人目も産んで3-4年の育休を取ったりという場合、復帰すると自分より3-4年若い後輩と一緒に、自分の同期や後輩の上司の下で、激務をこなすことになる。

周囲のそういうのを見てきた私達30代後半のおばちゃんたちは、私が前記事で逡巡していたように、キャリアを積みたい若い女性には、親心で「まずはキャリアに専念しろ」と思ってしまうのだ。
そりゃ、子供は産めなくなるリスクがあるし、少子化解消のためにも二人以上産んで欲しいと思うのだが、現実には、キャリアトラックが昭和から変わっていない会社や職場環境が余りに多いので、そうなっちゃうのである。

ある程度激務を逃れられる歳になっても、皆が残業している中、保育園のお迎えに間に合うため、毎日恐縮しながら定時に帰宅。別に時短を使ってなくても、周りが残業していりゃ、恐縮するのである。

そして、そういう先輩たちを見た女性の後輩たちが、妊産適齢期の20代後半ころに、産もうと思うだろうか。
あるいは二人目を産もうと思うだろうか。

男性も全く他人事ではない。
女性がフルタイムで働いて子供も産むとなれば、男性が育児や家事の責任を担うのは当然となってくるので、男性だって、激務と家事・育児との両立を迫られることになる。

私の夫は、私より若くて、現在入社数年で激務のまっただ中にいる年代だが、朝7時前には家を出て、残業をこなして夜10時に帰宅してから、更に家事や育児(寝かしつけ)をやっている。
抱っこしないと大泣きしない娘を抱っこしながら、腹話術みたいに娘との漫才を披露して、育児に疲れた妻を笑わせた後、眠りながら娘の寝かしつけをしている姿を見ていると泣けてくる。
夫以外にも、夜泣き対応担当で殆ど寝られず、大事なミーティング中に寝てしまった若い男性や、保育園の見送り担当で子供の熱が発覚し、ミーティングに来られなくなった男性が、年配の男性に白い目で見られる姿など、育児とキャリアの両立を一生懸命やっている男性(とそれに冷たい視線を送る年配男性)を、私はたくさん見てきた。

こういう先輩たちを見た男性の後輩たちが、早く結婚して、子供を持とうなんて思うだろうか。
二人目を産もうと思うだろうか。

バブル以前の世代には、
「俺達だって、子供の顔を見る暇もなく、苦労してその時期を乗り切ったんだから、お前らも若いうちに激務は当然だろ。むしろ妻が働いたり、自分が育児とか出来るだけ恵まれてるよ」
とか思っている人たちもいるかもしれない。

30歳の平均年収は、20年前と比較して100万円近く減って30年前の水準に戻っており、妻の給料と合わせても、税金や子供の保育費を考えると世帯の可処分所得は30年前とそんなに変わらない。
その上、年金だって、バブル前世代と違ってほぼもらえないと思われるのに、毎年何十万も支払っているのだ。
バブル前世代は、むしろ、所得も自分たちより下がっている今の妊産適齢期世代に老後を支えられていることを感謝して欲しいところだ。

だから、快く下積み時代の残業を無くし、残業や転勤は当たり前というキャリアトラックを解体することに真面目に取り組んで欲しい。
待機児童だけでなく、病児保育やベビーシッターも含めた柔軟な保育インフラの整備も早くやらなければ。

昭和の時代の、フルタイムで働く男性+専業主婦(またはパート)を前提としたキャリアトラックを、女性もフルタイムで働くことが当たり前となり、共働き率が6割を超えたこの平成の時代でも、いまだに引きずり続けている日本企業。
もう平成27年ですよ。
男女雇用機会均等法の制定(1985年)から、今年でもう30年ですよ。

働き方を変えないと、私達はいつまでも「若い時は子供を持つことを考えず、キャリアを優先した方がいいよ」と親心で言い続けることになって、少子化は解決しないだろう。

(と、カッコ良く言い捨てて終わろうと思ったが、「じゃあどうキャリアトラックを変えるべきか」への明確な解がまだ示せないので、どこかでまた続編を書きます) 

【参考】
30年前の一ヶ月の給料と比べてみると? 静岡県の統計だが、2011年と1988年の現金給与総額がほぼ同じ。

給料が上がらない時代 平均年収が最も高かった1997年と比較すると、今の年収は100万円近く安い

共働き世代の増え方をグラフ化してみる 全世帯数(単身含む)の中で、共働きは21%、専業主夫は14%なので、共働き率は6割を超えている計算