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テレビでも時折話題になる「産後クライシス」。産後2年以内に離婚する夫婦は3割、という統計もあり、他人事とは思えない。
その理由が、産後の出産・育児が非常に大変なのに、夫が理解してくれず、家事・育児に非協力的、というもの。
キャリア女性は、自活できる経済力もあるので、そんなことで愛情が冷めたら、即離婚となりかねない。

夫が自ら気付いて、家事・育児スキルを磨いてくれれば素晴らしいが、なかなかそんな人もいない。
だったら、夫がイクメン・カジメンになるように仕向けて、育てればいいんじゃないか。

実は、私の夫は、結婚前まで家事をほとんどやったことがなかった。
一方の私は、料理は好きだし、一人暮らし歴が長いので掃除や洗濯もパパっと出来る。
でも、一緒に生活するとなると別だ。今はいいけど、このままで子供が産まれたりしたら・・・。

というわけで、まだ愛情がある=やる気もある結婚直後から、夫に家事のやり方を教え、自ら家事や育児をやるイクメン・カジメンを育成することに決めた。

1. イクメン・カジメン育成は産前から

夫の家事や育児のサポートが最も必要なのは、出産後である。
ところが、産後すぐは自分の体すらままならず、家事のやり方を教えたりするのは難しい。
だから、産後にやって欲しい家事は、産前に仕込んでおく必要がある。

ここで大切なのが、「妻が夫に不満を持たないようにする」ということだ。
家事は家庭によって流派がある。家事経験のある夫であっても、妻と同じように出来るとは限らない。
産後に、実母ではなく義母が手伝いに来てくれた時に、妻が不満に思いやすいのもこのポイントだという。
もし、流派の違いで不満を持ちそうだったら、自分のやり方をやってもらうよう、お願いするほうが良い。

ウチの場合は、夫は家事経験ほぼゼロなので、流派もなく、飲み込みは早かった。
お皿洗いから始まり、買い物、洗濯、掃除など、毎週ひとつずつクリア。
簡単な料理も、お願いして作ってもらう事もあった。

こうして、出産直後に私が何も出来なかった時期には、家事はほぼ全て夫がやってくれるまでになった。

2. 相手は新人。仕事は細かく工程を切り出し、丁寧に教える

同じ「家事をやったことがない」でも、男性と女性では大きく違う。
昭和生まれの我々の場合、女性であれば、お母さんがやっているのを何となく見ていたりするので、曖昧な指示でも判断できる。
ところが、男性だとお母さんが家事をやっているのを見たことすらない人もおり、普通の指示が通じないことがある。

初仕事をやる新人に対して、「この子は仕事というものをやったことないんだ」と思って、細かく仕事を切り出し、丁寧に指示をだすのと同じように、家事も細かく工程を切り出し、丁寧に教える必要がある。

買い物など、「今日はハンバーグだから、ひき肉買ってきて」などとアバウトにお願いしてはならない。
「牛豚合い挽き、300gくらい買ってきて。もし300gがなければ、2つ合わせて300超えてればいいから」
などと伝えないと、牛ひき肉を100gだけ、とか買ってきたりすることもある。
(そのときは、小さいハンバーグしか出来ないことを身をもって示しても良いが)

細かく工程を切り出すのも重要だ。
例えば、「ゴミ捨てしておいて」と言うだけでは、「ゴミないよ」と言われる事がある。
1) 家中のゴミ箱からゴミ袋をちょこちょこあつめ、大きなゴミ袋にまとめる、2) ゴミ捨て場に捨てに行く、3) ゴミ箱に新しいビニール袋を設置する(これ大事!)という3つの工程がゴミ捨てである、ということをちゃんと切り分けて教える

仕事と同じように教えれば、夫も飲み込みが早いはずだ。
通常やっている仕事よりは単純な作業が多いはずだから。

3. 家事分担は、夫は大きなかたまりを7割、妻は3割

もし、夫と家事を半分ずつ分担、と思っているなら、夫に仕事の7割はやってもらい、妻の自分は3割だけにする、というのが鉄則。
妻には、夫がやっている家事の細かいサポート、という手間のかかる仕事があるからだ。

例えば、掃除をしてくれたけれど、ホコリだらけだったり、ベットメイキングをしてくれたけれど、シーツがシワだらけだったり、洗濯はしてくれるけれど、自分の脱いだ靴下がその辺に落っこちていたり。
そういう時に、「XXさん、こんなところにホコリがたまっているザマスよ」などと冗談めかして忠告しても良いが、最初のうちは余り言いすぎても飲み込めないものだし、やる気を失ってもらっても困る。
でも、このチリのような仕事も山となってくると、こっちが嫌になるので、最初から切り出しやすい大きな塊は7割任せるのである。

これは仕事も同じで、後輩や部下には多めに仕事を任せて、自分は負担を少なくしておき、出来なかったところ、仕上げが必要なところを自分でやる方が、全体として回ることが多い。

4. 心は鬼嫁、言葉は良妻

世の「鬼嫁」と言われる人には、実際には家事も育児も妻がやっているのに、文句が多かったり、口うるさいだけで、そう言われている人が多いのではないかと思う。
男性は、女性と比べると、「ひとに言われる」のが本当に嫌いな人が多い。

むしろ、やって欲しいのと優しい口調でお願いし、ありがとうと感謝をすれば、どんなに疲れていても、家事も育児も頑張る夫は多いのではなかろうか。
心は鬼嫁、言葉は良妻ですよ!
夫が疲れた、土日くらい寝かせてよと言っていても、心は鬼にしてやってもらうべきことはやってもらう。
でも、やってもらったら文句は一切言わず、感謝の言葉だけを口にする良妻となれば良い。
やることをやってもらっていれば、「うちの夫はなにもしないんだから・・・」と腹が立つこともないだろう。

5.  夫のモチベーションは妻の愛情

夫が家事や育児を積極的にやる理由はなにか?
中には、料理が好き、など家事が楽しいという人もいると思うが、多くの夫にとって、最大のモチベーションは、妻の愛情を得ることではないだろうか。

昔、「家事を手伝う、育児を手伝う、なんて気持ちでやっていたらダメだ、もっと主体的にやるべき」という記事を何処かで読んだが、それはなかなか難しい。
私ですら、料理以外の家事は主体的にやるモチベーションはあまりないのに、夫にそれを求めるのは酷だ。
それでも夫が手伝ってくれるのは、妻に愛されたいから。
育児だって、最初から子供に愛情があるから育児をする、というこども好きの男性はともかく、多くは妻が好きだから育児を手伝っているうちに、子供が好きになる、というもんじゃないだろうか、と私は思っている。

だから、家事や育児をやってくれたら、感謝して、ほめて、愛情をたくさんかけてあげよう。
そうしたら、夫は家事や育児にもっとやる気を出すようになる。

後編に続く→キャリア女性のイクメン・カジメン育成講座(後篇)