Fotolia_74221132_XS
Photo credit: Fotolia

育児休業って、何故100%完全休業しかオプションがないのだろうか、というのが以前からの疑問である。
「パートタイム育休」-例えば週に2日間だけ育休を取り、3日間は出勤、というようなフレキシブルな育休の取り方は出来ないのだろうか。

育児休業中は、通常、給与の約3分の2が支給されることになっているが、パートタイム育休というオプションを取る場合、出勤日については全額もらえるが、休業日については3分の2が支給される、という形である。

私は労働関係の専門家でもないし、これ自体が練り切れたアイデアでもないので、ここは是非、専門家の方に意見を頂いたり、皆さんにアイデアを叩いてもらおう、と思いブログに書くことにした。

パートタイム育休なら、ママの職場復帰はよりスムーズに

私の友人で、子育てと仕事を両立している人に話を聞くと、一番大変なのは、育休が明けて職場に復帰した最初の2-3ヶ月だった、という人が多い。自分自身が、仕事から100%離れていたところから、突然週5日フルタイムで働くことに加え、子供も保育園という慣れない環境に突然週5日間預けられるため、熱を出したり、病気になったりしやすい、という二重苦に見舞われる、とのことだ。
気の利いたママは、復帰の2~3ヶ月前から、週に2日3日を保育所に預ける「慣らし保育」を行う、と聞いたこともあるが、保育所の数自体が不足している現在、全員がそんなことを出来るわけではない。

もし、ここでパートタイム育休という制度があったらどうだろうか。

例えば子供が生まれて1年で完全復帰するプランを立てている場合、最初の半年間は完全休業、次の3ヶ月は週3日育休で2日間出勤、最後の3ヶ月は週1日育休で4日間出勤、という形で徐々にランプアップしていくことが可能になる。
1年の休業明けで、突然フルタイムという事態も避けられるし、そもそも職場からそんなに長く離れずに済むので、浦島太郎にならずに済むだろう。子供も「慣らし保育」的に徐々に保育園に馴染んでいくことが可能だ。

日本の育児休業は世界的にも長く、逆に女性の社会復帰が難しくなっているという課題がある。パートタイム育休制なら、早くに職場に戻ることが可能になるので、この問題も低減するだろう。

パートタイム育休なら、パパも育休を長めに取りやすい

現在、父親の育児休業取得率は2%弱、それも2週間から1ヶ月の短い育児休業が多いと聞く。これだけ「イクメン礼賛」されていて、育休を取りたいと思う男性が増えていても、なかなか取りづらいのが実情だ。
これは、パパだって、育児休業をそんなに長く取ったら、業務から離れすぎて浦島太郎になってしまうこと、責任ある立場にいると、半年だの1年だの長く業務から離れられない、などが理由ではないだろうか。(ま、本当は女性も同じことなのだが)

もし、ここでパートタイム育休制度があったらどうだろうか。

例えば、ママが週3日育休で2日間出勤としている3ヶ月は、パパは逆に週2日育休で3日間出勤とするなど、週の中で交互に育休を取ることも可能になる。または、ママが完全復帰して、パパが長期の育児休暇を取る場合でも、週3日育休で2日間出勤で半年、とすれば業務から離れずに育休を取ることが可能になる。
あるいは、週1日育休で4日間出勤を1年間続ける、なんていうのは現実的ではないだろうか?

パートタイム育休実施の妨げになると思われる諸問題

以上のように書くと、ぱっと見、良い案に見えると思うが、パートタイム育休を実際にやるには色々と課題がありそうである。

1)保育所入所問題
現在、多くの地方自治体の認可保育園は「週5日間預け」がデフォルトになっているようである。認可保育園を活用しようとする限り、週3日だけ預ける、とか週4日だけ預ける、というのは難しくなりそうだ。
また、認可保育園に入るためには、各家庭の勤務の状況を申告し、その状況のひどさに応じて「点数」が加算され、点数の高い順に(つまり状況がひどい順に)保育園に入ることが出来るのだが、多くの自治体で「母親が週5日間勤務している・・・1点」のように設定されている。つまりフルタイム勤務でないと入園に不利になってしまう。

これは、保育園の制度の改革、点数の計算の仕方等を変えることにより、解決可能に思えるが、いずれにせよ、変更は必要となる。

2)給与計算・保険支払の手続きコスト倍増問題
上記で提言した形で、給与と保険が支払われるとすると、例えば週3日育休・週2日勤務の場合は、週2日分の給与は会社から支払われ、週3日の育休分は加入している社会保険等から支払われることになる。
その支払にかかわる手続きコストは、支払いが2箇所になる分、倍増することになり、コストが大きくなってしまうだろう。

この手続コストが高くなる問題と、パートタイム育休で国民が受ける恩恵のどちらが大切か、という問題だが、国を上げて女性の活用を促進しているのであれば、この程度のコストは織り込んでも良いかもしれない。(トレードオフなので、いくらになるかは計算する必要はあるが)

3)職場がまだパートタイム勤務に対応していない問題
仮にパートタイム育休が取れる様になったとしても、職場のほうがフルタイム or 完全休業にしか対応していなければ意味が無い。
以前紹介したダブルリーダー制や、一業務に複数名が担当する制度など、パートタイムで働くことが普通にできるよう職場も変わっていけば、育休云々にかぎらず、もっとフレキシブルな働き方が出来る様になるだろう。

他にもパートタイム育休実施に向けた課題はあるかもしれないが、素人考えでは、導入することのメリットは大きいのではないか、と思っている。どうだろうか。

というわけで、この記事は是非皆さんのコメントを募集しています。特に
・そもそもパートタイム育休って意味あるのか
・パートタイム育休実施の妨げになるその他の問題と解決方法
・パートタイム育休を実施するために、どのような制度を変える必要があるか
といったところについて、コメントをお待ちしております。

(追記)こちらの記事に頂いた反響を元に、続編を書きました。
提言:「パートタイム育休」は可能なのか-Part2 反響まとめ