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育児休業って、何故100%完全休業しかオプションがないのだろうか、というのが以前からの疑問である。
「パートタイム育休」-例えば週に2日間だけ育休を取り、3日間は出勤、というようなフレキシブルな育休の取り方は出来ないのだろうか。
育児休業中は、通常、給与の約3分の2が支給されることになっているが、パートタイム育休というオプションを取る場合、出勤日については全額もらえるが、休業日については3分の2が支給される、という形である。
私は労働関係の専門家でもないし、これ自体が練り切れたアイデアでもないので、ここは是非、専門家の方に意見を頂いたり、皆さんにアイデアを叩いてもらおう、と思いブログに書くことにした。
パートタイム育休なら、ママの職場復帰はよりスムーズに
私の友人で、子育てと仕事を両立している人に話を聞くと、一番大変なのは、育休が明けて職場に復帰した最初の2-3ヶ月だった、という人が多い。自分自身が、仕事から100%離れていたところから、突然週5日フルタイムで働くことに加え、子供も保育園という慣れない環境に突然週5日間預けられるため、熱を出したり、病気になったりしやすい、という二重苦に見舞われる、とのことだ。
気の利いたママは、復帰の2~3ヶ月前から、週に2日3日を保育所に預ける「慣らし保育」を行う、と聞いたこともあるが、保育所の数自体が不足している現在、全員がそんなことを出来るわけではない。
もし、ここでパートタイム育休という制度があったらどうだろうか。
例えば子供が生まれて1年で完全復帰するプランを立てている場合、最初の半年間は完全休業、次の3ヶ月は週3日育休で2日間出勤、最後の3ヶ月は週1日育休で4日間出勤、という形で徐々にランプアップしていくことが可能になる。
1年の休業明けで、突然フルタイムという事態も避けられるし、そもそも職場からそんなに長く離れずに済むので、浦島太郎にならずに済むだろう。子供も「慣らし保育」的に徐々に保育園に馴染んでいくことが可能だ。
日本の育児休業は世界的にも長く、逆に女性の社会復帰が難しくなっているという課題がある。パートタイム育休制なら、早くに職場に戻ることが可能になるので、この問題も低減するだろう。
パートタイム育休なら、パパも育休を長めに取りやすい
現在、父親の育児休業取得率は2%弱、それも2週間から1ヶ月の短い育児休業が多いと聞く。これだけ「イクメン礼賛」されていて、育休を取りたいと思う男性が増えていても、なかなか取りづらいのが実情だ。
これは、パパだって、育児休業をそんなに長く取ったら、業務から離れすぎて浦島太郎になってしまうこと、責任ある立場にいると、半年だの1年だの長く業務から離れられない、などが理由ではないだろうか。(ま、本当は女性も同じことなのだが)
もし、ここでパートタイム育休制度があったらどうだろうか。
例えば、ママが週3日育休で2日間出勤としている3ヶ月は、パパは逆に週2日育休で3日間出勤とするなど、週の中で交互に育休を取ることも可能になる。または、ママが完全復帰して、パパが長期の育児休暇を取る場合でも、週3日育休で2日間出勤で半年、とすれば業務から離れずに育休を取ることが可能になる。
あるいは、週1日育休で4日間出勤を1年間続ける、なんていうのは現実的ではないだろうか?
パートタイム育休実施の妨げになると思われる諸問題
以上のように書くと、ぱっと見、良い案に見えると思うが、パートタイム育休を実際にやるには色々と課題がありそうである。
1)保育所入所問題
現在、多くの地方自治体の認可保育園は「週5日間預け」がデフォルトになっているようである。認可保育園を活用しようとする限り、週3日だけ預ける、とか週4日だけ預ける、というのは難しくなりそうだ。
また、認可保育園に入るためには、各家庭の勤務の状況を申告し、その状況のひどさに応じて「点数」が加算され、点数の高い順に(つまり状況がひどい順に)保育園に入ることが出来るのだが、多くの自治体で「母親が週5日間勤務している・・・1点」のように設定されている。つまりフルタイム勤務でないと入園に不利になってしまう。
これは、保育園の制度の改革、点数の計算の仕方等を変えることにより、解決可能に思えるが、いずれにせよ、変更は必要となる。
2)給与計算・保険支払の手続きコスト倍増問題
上記で提言した形で、給与と保険が支払われるとすると、例えば週3日育休・週2日勤務の場合は、週2日分の給与は会社から支払われ、週3日の育休分は加入している社会保険等から支払われることになる。
その支払にかかわる手続きコストは、支払いが2箇所になる分、倍増することになり、コストが大きくなってしまうだろう。
この手続コストが高くなる問題と、パートタイム育休で国民が受ける恩恵のどちらが大切か、という問題だが、国を上げて女性の活用を促進しているのであれば、この程度のコストは織り込んでも良いかもしれない。(トレードオフなので、いくらになるかは計算する必要はあるが)
3)職場がまだパートタイム勤務に対応していない問題
仮にパートタイム育休が取れる様になったとしても、職場のほうがフルタイム or 完全休業にしか対応していなければ意味が無い。
以前紹介したダブルリーダー制や、一業務に複数名が担当する制度など、パートタイムで働くことが普通にできるよう職場も変わっていけば、育休云々にかぎらず、もっとフレキシブルな働き方が出来る様になるだろう。
他にもパートタイム育休実施に向けた課題はあるかもしれないが、素人考えでは、導入することのメリットは大きいのではないか、と思っている。どうだろうか。
というわけで、この記事は是非皆さんのコメントを募集しています。特に
・そもそもパートタイム育休って意味あるのか
・パートタイム育休実施の妨げになるその他の問題と解決方法
・パートタイム育休を実施するために、どのような制度を変える必要があるか
といったところについて、コメントをお待ちしております。
(追記)こちらの記事に頂いた反響を元に、続編を書きました。
提言:「パートタイム育休」は可能なのか-Part2 反響まとめ
パートタイムといえば育児時短の制度があります。
個人的には、子どもが保育所に慣れるには週3日フルタイムより、週5日5時間勤務の方がやりやすいとは思っています。病気も休みの日に限らないので、割合的には、どちらも欠席率は同じになると思います。もちろん急病時に休める体制はいずれも必要です。ですが、家庭によって、週1日は通院が必要だったり、半日の日がある幼稚園に通わせていたり、様々な事情があると思いますので、柔軟な制度は欲しいですよね。
一方で、数日の育児休暇を男性が実績のためとるのがまわりで流行っているのですが、ワーママ仲間では、それよりも一カ月時短勤務してくれた方がよほど助かるよね、と話題になりました。しかしながら、育休であれば補助がもらえますが育児時短はもらえないので、経済的にハードル高いよねという話にもなりました。
ちょうどタイムリーに気になっていましたので、コメントさせていただきました。