女神的リーダーシップ 世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である
ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ
プレジデント社
2013-11-28


世界で成功しているリーダーたちが持っている資質には、「表現力が豊か」「共感力がある」「利他的である」など一般的に「女性的」と言われる資質が多い、という。作者は2008年のリーマン・ショック以降、人々の消費のあり方や、ビジネスのあり方が大きく変わったことを描いた前作の「スペンド・シフト」を書くための取材の中で、消費やビジネスだけではなく、リーダーシップのあり方も大きく変わってきているのではないか、という事に気づき、この本を上梓したという。

ビジネス書の類を期待している人には、若干の違和感があるだろう。この本は、「メインメッセージがあり、それを裏付ける証拠が1,2,3と並んで・・・」というロジカルシンキングに書かれているタイプの本ではないからだ。「リーダーに必要な資質は女性的な要素が多い」という主張は、最後まで明快に裏付けされることなく進んでいく。

しかしながら、イギリス、イスラエル、日本、コロンビア、中国と南北東西あらゆる国を筆者といっしょに旅をする中で、出てくるリーダーのひとりひとりは、確かに20世紀型の強くマッチョなリーダー像ではない。柔軟で、共感力があり、コミュニケーション力に長けていて、素直で愛されるキャラクターであることが浮き彫りになっている。それを「女性的」と呼ぶかはともかくとして、現在世界を変えているリーダーシップが過去と異なって来ていることは明らかだ。

何よりこの本を読んでいて楽しいのは、出てくるリーダーひとりひとりの描写が素晴らしく、物語として息を呑みながら、時には共感し、涙を流しながら読むことが出来ることだ。10カ国以上の国で作者が取材して出会ったリーダーや起業家ひとりひとりが、現在情熱をかけて推し進めていることだけでなく、彼らのバックグラウンド、何故それを推し進めることになったのか、過去の経緯やしてきた苦労も細やかに書かれている。リーダー達のキャラクターが動き出してくる、そんな本だ。そして読み終わった時には、本当に筆者とリーダーシップを求めて世界中を旅してきたような気持ちになる。

なお、もし、あなたが「リーダーに必要な資質は女性的な要素が多い」ということをロジカルに裏付けたい、と考えているなら、この本を読むだけでなく、コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーで出されている「Women Matter」という報告書を読むことをお勧めする。この報告書では、リーダーに必要な資質を9つの要素に分け、世界のビジネスリーダーへの調査に基づいて、「女性リーダーに多く見られる資質」「男性リーダーに多くみられる資質」「両方に見られる資質」に分類した上で、現在各国で必要とされるリーダーの資質には、確かに「女性リーダーに多く見られる資質」が多い、ということをロジカルに検証している。

McKinsey&Company "Women Matter 2"

いずれにせよ、これからの世界を変える、現在求められているリーダーシップ像を知る上で、これらの本は非常に参考になるのではないだろうか。

参考文献:

McKinsey&Company "Women Matter 2"

スペンド・シフト ― <希望>をもたらす消費 ―
ジョン・ガーズマ
プレジデント社
2011-07-20