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妊娠した時、または育児で、短い時間しか使えなくても効果的なリーダーシップを発揮するために、どうやって「頼る」「後方支援に回る」スタイルのリーダーシップを身につけるか。
男女関係なく、こういったフレキシブルなリーダーシップスタイルは、限られた時間で最大の効果を上げるために重要なスタイルだ。

前編ではマインドセットをどう変えればよいかについて書いたが、
後編では、このリーダーシップスタイルに向けて身に付けるべきスキルや技4つについて書こうと思う。

5. Will/Skillマトリックスの考え方を身につける

最近はコーチングの本などでも、色んな所でお目にかかるようになったWill/Skillマトリックス。
他の人が楽しんで仕事をし、力を発揮できる環境を整える「後方支援型リーダーシップ」では、それぞれのメンバーが仕事の内容に対して、今どのような状況にあるか正確に掴み、状況に応じて正しく対応することが重要となる。

Will/Skill マトリックスとは…

それぞれの人の状況を理解するため、やっている仕事に対するその人のやる気と、仕事に必要なスキルが高いか、低いかで4つの次元で評価するのが、Will/Skill マトリックスだ。
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①の象限にいるのは、今やっている仕事に対し、やる気もスキルも十分にある人。
ここは、基本スタンスとして完全お任せをする。余計な口は出さない。
ただし、そんな人でも詳細の案件によっては十分なスキルが無かったり、やりたくないことがあったりするので、その状況は細かく見てあげて、適宜異なる対応する。

②は、スキルは高いがやる気がどうも出ない、という人たち。
彼らには、今やっている仕事にやりがいを与えて、やる気を引き出すのが鍵になる。
その人の話をよく聞いて、やる気をなくしている理由を見つけ、解決していく。
休みが足りず、疲れているなら、休ませてあげる。
自分の出番が少なく、やる気を失っているなら、出番をたくさん作ってあげる、など。

③は、やる気はあるけれどスキルがない人たち。
彼らには、スキルをコーチングしてあげるのが最高の方法だ。
その時、どんなことも細かく指導するのではなく、困っている点をよく聞いて、その点に絞って解決策を与えることが大切だ。

④の、やる気もスキルもないという人たちには、しかたがないけれど、こちらが細かく指示を出し、言ったとおりやってもらうしかない。もしかしたら、本人たちもプロジェクトから外れることを期待しているかもしれないので、その場合はその方が両者にとってベストかもしれない。

Will/Skill マトリックスを使い間違えると...

対応の仕方を間違えると、非効率になり成果を得るのに時間がかかるばかりか、メンバーのやる気を損なってしまったり、不満だけが残ってしまうこともある。

例えば、③番のやる気はあるが、スキルが無いだけの人に、④番のように細かく命令したりすると、つまらなく感じ、やる気を失ってしまうだろう。やる気に応じて、必要なところだけやり方を教えるに留める必要がある。

逆に、③番の人に、①番のように完全に任せきってしまうと、その人はスキルがなくて困っているのに放任されることになり、かえって不満が残るだろう。もしくは、プロジェクト自体の失敗につながることもある。

チームメンバーのやる気やスキルは、プロジェクト単位ではなく、細かいタスク、サブタスクのレベルで異なっているはずなので、細かく状態を見極めて、使い間違えないことが大切だ。

5. 自分らしい「お願いの仕方」「頼り方」のスタイルを築く

自分で何でもリードして、やってしまうタイプのリーダー型女性は、そもそも人にお願いしたり、甘えたりすることに慣れていない人が多いかもしれない。
30代も過ぎれば、自分のスタイルが築かれているので、今更「頼る」「甘える」なんて私のスタイルじゃない!という人もいるだろう。

そういう場合は、まず自分らしいお願いの仕方のスタイルを作ることだ。
別に、「お願い♡」と可愛らしく甘えるだけがお願いではない。
スタイルを築くまでは、ある程度試行錯誤が必要なので、最初のうちは自分でやっていて気持ち悪いと思うこともあるが、徐々に自分らしいスタイルを見つけていくことが出来るだろう。

ここでは、女の子らしく甘えたり、お願いするのが不得意な女性に使えそうな「お願いスタイル」を4つほど紹介する。

いいとも!型お願いスタイル

「笑っていいとも」で、「XXしてくれるかな?」とタモリが聞くと、皆が「いいとも!」と答えるが、このノリでお願いするのが、いいとも!型お願いスタイルである。
男勝りな感じの女性で、自分は可愛らしいのと対極にある、と思っている人は、このスタイルまたはこの派生系を身につけると良いかもしれない。
「明日までに、XXやっておいてくれるかな?」と爽やかに言うのがコツ。
無事に終わったら、感謝の言葉を忘れずに。

頼りにしてるわ型お願いスタイル

男性で、このスタイルを築いている方が実は多い。
お願いする人に対し、自分は全幅の信頼をおいている、頼りにしている、という空気を作りながら、お願いするスタイルがこれだ。
言い方としては「あなたのことを頼りにしているわ」「これが出来るのは本当にあなたしかいないの」といったところか。(男性なら「君のことを本当に頼りにしているよ」「君だけが頼りだよ」と言うところ)
このスタイルは、相手とある程度の信頼関係が構築されていることが前提である。

無事に終わったら、「やっぱり頼りになるね」「やっぱり信頼できるわ」など、信頼度が増したことを伝えながら、ありがとうと感謝の気持を伝えよう。

拝み倒し型お願いスタイル

そんな偉そうなスタイルでお願いできない、どちらかというといつも謝ってばかりなので、という人は、拝み倒し型お願いスタイルから始めても良い。
「本当に申し訳ないんだけど、XXお願いできますか?」
「本当にごめん。どうしてもXXXをお願いしたんですが、頼んでもいいですか?」
など、恐縮しながらお願いするのが「拝み倒し型お願いスタイル」である。

断られた時は、すかさず「誰か他にお願いできる人を教えてもらえますか?お願いします。」とお願いスタイルのまま食い下がること。
また引き受けてもらった時は感謝を忘れずに。

巻き込み型お願いスタイル

若干高度な技で、やり方を間違えると嫌われることもあるが、慣れると一番効果的なのがこのスタイル。
お願いする対象の人を、お願いしたい仕事に早い段階で巻き込み、いつの間にかその人がリーダーシップを取るのが当たり前の流れを作るのが、この巻き込み型お願いスタイルである。
例えば、その仕事に関する質問を事前から投げかけて頼りにしたり、インフォーマルなミーティング等に参加してもらうなど、徐々に関わり度合いを上げていく。
その時点で、その人の仕事への興味や適性もある程度判断できる。

ただ、なし崩し的に巻き込んで断れない状況だけを作ってしまうと、嫌われることもあるので、どこかの段階できちんと本人の意志を確認する方が良い。

「お願いの仕方」は、その人の個性と相手の個性の組み合わせで、多種多様な技がある。
良ければ、皆さんの技も、コメント欄等でご紹介ください。

7. 頼まれた時は、30分カウンセリングをする

リーダー型女性は、「人に頼む」どころか人に頼られることも多く、断れないことも多いだろう。
世の中には「断る力」などの本も出ている。いわゆる「Yes No Yes」など、うまく断るスキルを身につけるのも大切だ。
でも断るのではなく、限られた時間で、相手に最大限の価値を届けると、もっと良い結果を生むことが多い。

人に何かをお願いされた時、まずは出来合いのものを送るとか、他の人に頼むということで解決できるかを考える。
それで解決するのが難しい場合、もしくは解決に時間がかかりそうな場合、私は30分間その人と時間を取るようにしている。
その30分の中で、何がその人にとって課題で、何を解決すれば、その人は満足するか、その人のためになるか、ということだけを考え、その場でできることだけを実施する。
自分の宿題は残さない。

実は自分が解決して、その人のために実施してあげるよりも、短時間でその人の話を聞き、その人の役に立つようにその場でできることだけをするほうが、はるかに相手に感謝される。

8. こちらからマメに「ほうれんそう」することで、相手の「ほうれんそう」を引き出す

社会人になり、最初に叩き込まれる「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」であるが、人に仕事をお願いする立場になっても、このほうれんそうはとても大切だと思う。

お願いした仕事の状況がどうなっているか、報告してもらうのを待つのではなく、こちらから積極的に、自分が知っている状況を報告したり、相談したりする。
「報告して!」と要求するより、こちらから相談することで、報告の機会を作ってあげるほうが、向こうもやりやすく、スムーズにほうれんそうが出来る。
ほうれんそうは、先輩とか上司に対してのみするものではなく、後輩や部下に対しても行うと、見本にもなるし、より効果的な手段なのだ。

以上、「人に頼む」「後方支援に回る」タイプのリーダーシップスタイルを築くにあたり、使えると思うスキルを4つほど挙げてみました。 

前編はこちら→ リーダー型女性が「頼る・後方支援に回る」スタイルを築く8つの方法(前編)