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一昨日、リーダーシップと妊婦であることを両立する5つの方法という記事を書いた際、様々な反響を頂いた。
その中で、複数の方からこのような内容のコメントを頂いた。
職場で管理職に就くなど出世していたり、男性と対等に仕事をしている女性は、もともとリーダータイプで「人の先頭に立って頑張ろうと思う人」や「負けず嫌いな人」が多く、そもそも「人に頼る」ことが出来ずに苦労していることも多い。 
そもそも「頼る」が苦手な女性が、どうやって「頼る」とか「後方支援に回る」ことが出来るようになるのか
実は考えたら、私自身がついこの間まで、そういう人だった。

典型的な長女タイプ。
責任感が強く、自分がやらなきゃ、自分が何とかしなくちゃ、という気持ちが人一倍強い。
「頼る」「お願いする」のが下手。
その結果、自分で抱え込むが、なまじやれるだけのスキルも体力もあるので、何としてでもやり遂げる。
飲み会があれば、だいたい幹事。場を盛り上げるのも自分の役目。
先輩から見れば「あいつは生き方下手だけど、しっかり任せられる後輩」だから、評価も高いし、出世も早い。
でも後輩から見ると、十分に任せてもらえないし、ちょっとでも失敗すると逐一指導が入って働きにくい、萎える先輩。

立場が上がり、後輩が増え、自分の今までのスタイルではうまく行かないことが徐々に増えてきて、でもどうやって変われば良いかわからず、非常に苦労していたところだった。
それが、昨年の夏頃から、徐々にスタイルが変わり、今は本当に全く違うリーダーシップのスタイルになった。
後輩には色々頼るし、後輩の後方支援を買って出る、自分がやるのではなく、皆がやりやすい環境を整えることに専念するスタイルにいつのまにか変わっていた。
先日、昔一緒に働いていた後輩数名から「本当に 変わりましたね」とか「こう言うと失礼ですが、昔一緒に働いていた時より助かりました」とか言われたから、変わったんだろう。
まあ、こういうブログ記事を書いて役に立とうとか思っているあたり、根本的な性格は変わっていないのだが、少なくとも職業人格が変わったのだろうと思う。

そういうわけで、私自身が、どうやって人に頼ったり、後方支援に回ったりするスタイルに変わることが出来たのかを書けば、役に立つかもしれないと思い、今日は一日自分を振り返って分析してみた。

やはり、そうやって苦労している中で、妊娠したことは非常に大きな転機だった。恐らく結婚したことも。
そしてそういう転機に、良い後輩たちに恵まれた。
その結果かもしれないが、次に書く8つのことを意識するようになったのが、一番大きな変化だった。
逆に、妊娠しても、良い後輩がいても、この8つを意識しなければ、何も変わらなかっただろう。

そしてこれら8つは、男性にとっても重要となる。
男女ともに、育児など他のことと両立し、仕事に専念できる時間が限られる状況で、フレキシブルで効率的、効果的なリーダーシップを取るために役に立つマインドセット、技やスキルだ。

最初の4つは、マインドセットの変化に関するもの。今日はまずその4つについて書く。

1. 「自分はいつ倒れるか、いなくなるかわからない」ということを大いに自覚する。
  そして自分がいなくても回る体制を作ることに全力を尽くす


後づけで考えれば当たり前なのだが、たくさんの仕事を成し遂げるには、それぞれの仕事は自分がいなくても基本的には回る体制になっており、本当に必要なときだけ自分が出て行くのが理想的である。
何でもかんでも自分がやっていたら、スケーラビリティがない。それ以上広げられないのだ。

思い出せば、昔MITで起業家のリーダーシップ論をやっている時、そんなことを習ったのだった。
起業家として最初に成功するタイプの人は、何でも自分でやってしまうタイプが多く、自分がいなくても回る体制を築くのが下手なケースが多い。そういう人がいつまでも社長をやっていると、企業として大きく成長するのが難しくなるから、起業する創業者と、ある程度大きくなってから運営する社長は変えたほうがが良い
もちろんその人が成長して、運営も得意になれば話は別だが、せっかく創業者としてのスキルが有るのだから、それをやり続ければ良いという発想だ。

一方、通常の組織であれば、事業会社であれ、プロフェッショナルファームであれ、立場が上がるにつれて自分の責任範囲は増える。
当たり前かもしれないが、自分がいなくても回る体制をつくることに全力をつくすことが、広い範囲をうまく運営するためには重要になるのだ。

私の場合は、自分が妊娠したのがきっかけで「自分がいなくても回る組織」というのを真剣に考えるようになったわけだが、考えたらいずれ当然のように必要になるものだったのだ。

2. 「チームがやりがいを感じて楽しんで仕事している状況が、チームの力を最大化できている状態」だと知る。
そして自分の役割は、そういう環境を作ることだと自覚する。 

これも書くと当たり前なのだが、組織として一番力を発揮できている状態とは、ひとりひとりのメンバーがやりがいを感じ、自分が価値を発揮できていると思えて、楽しめており、最大限の力を発揮できている状態だ。

北風と太陽の話ではないが、北風のようにあなたが奮闘して細かく指導をしてメンバーの力をあげようとしたり、あなたがいくら頑張っても、組織の力は最大化出来ないのである。
むしろ、太陽のように、一人ひとりがやる気が出て、自然と仕事をしたいという環境を整える方が効果的である。

環境づくりに全力を尽くそう、それぞれのメンバーがやりやすいように後方支援に回ろう、と思い始めると、全てが全く違う方向に回り始めることに気がつくだろう。

3. 「頼ることは人を育てることだ」と発想を転換する。


責任感の強い人にありがちなのが、人に頼るのは、何となく自分がサボっているような気がする罪悪感である。
あと、負けず嫌いな人で、人に頼ると自分の処理能力のなさを認めた気がする、と思ってしまう人もいるだろう。

そうではなく、自分の今の役割は、自分がいなくても回る人を育てることであり、その人に頼ることは、その人を育てるために最も効果的で、効率的な方法だと思うことだ。
頼ることが、人を一番成長させるのである。

あとは任せると決めたら、任せきる。細かいことにはこだわらない。
自分が思っていることと少し違っても、大勢に影響がなければ、その人の持ち味だと思ってスルーする。
そしてやりきってくれた時には、心から感謝し、それを表現する。

余談。こんなことを書くと一部の男性に嫌がられるに違いないが、家庭において、妻が夫を「育てる」状況でも同じマインドセットが重要だ。
一般的に、夫婦では女性のほうが精神的にしっかりしている事が多い上、特に子供が生まれた時など、親としての自覚が生じるのは、子供を身ごもっている女性のほうが早いと言われている。
そのため、いろんな精神的負担、家事などの負担が全て妻にかかってしまい、産後クライシス、そして離婚、などという話もよく聞く。
自分ができることでもそうでなくても、何でも夫に頼る、夫を立ててお願いする、一度お願いしたら口を出さない、出来たら感謝する、というのが、夫として、親としての自覚を早く目覚めさせることにつながるだろう。

4. 「私がいなくても世界は回る」ということに気づく

リーダー型の女性は責任感が強く、どんなことでも、自分が何とかしなきゃ、頑張らなきゃ、と思いがちである。
プロフェッショナル意識の強い人ほど、そうだろう。
しかし、実際には自分が何とかしなくても、何とかなったりすることが多い。
むしろ自分がいないほうが、現場で何とかしようとやる気になり、力が発揮できて良い結果になることもある。

私は夫に「あなたがいなくても、世界は回るんだよ」といつも言われている。
ここで、彼自身が「俺がいるからお前は頑張らなくていいんだ」などというタイプではないことがポイントで、彼自身、特に頑張らず、気楽に生きている。
本当に自分が必要となる場所でしか頑張らないのである。

この、本当に自分が必要なところを見極めてそこだけ頑張る、というのはリーダーとして非常に大切なことで、これを身近で見ていて、自分が変わったのもあるかもしれない。

後編は、「頼る」「後方支援型」リーダーシップを行うための技やスキルについて書く。

後編はこちら→ リーダー型女性が「頼る・後方支援に回る」スタイルを築く8つの方法(後編)