Lilacの妊娠・出産・育児ノート

キャリア志向の強い女性や、仕事で既に責任ある立場にあったりする女性向けの妊娠・出産・育児ブログ。 妊娠したときのTips集、キャリアと妊娠・育児を取り巻く論点、女性リーダーシップと子育ての両立、日本と海外の状況比較、今は仕事に没頭中だけどいずれは子供も欲しいと思う若い女性向けのメッセージなど、様々な話題をお届けします

長女2歳、昨年生まれた次女は8ヶ月になります。2回目の産休からは3ヶ月で復帰して、はや4ヶ月が経ちます。最近更新できてませんが、わたしはげんきです。

妊娠したことを職場でいつ伝えるべきか

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皆様、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか? 

私は、夫も長い休みだったので、前半は二人で一緒に赤ちゃんと遊ぶ、ベビーカーやらを買いに行くなど、赤ちゃん関係に専念。
後半は完全に風邪を引いてしまい、結局ブログを書いたりなど文化的活動は何もせず過ごしてしまいました(汗)
やっと風邪も治り、日中は私と赤ちゃんだけ、という日々が戻ってきたので、また少しずつ書き始めているところです。

外では台風が猛威を振るっていますが、この記事がアップされる頃には、台風一過、30度を超える真夏日となっているはず。

さて、妊娠したことをいつ職場等で公表するか、というのは妊婦にとっては悩ましい課題。
特に最初の妊娠の時はいつ話すか、誰に話すかは非常に悩むだろう。

余り早く話しすぎると、流産したときなどが怖い。噂になってしまい、その後「おめでとう」を否定して回るなど想像するとと、相手にも悪いし、自分自身が傷つくだろう、と思ってしまう。
かといって、一番わかってほしいのは、つわりがピークになり、仕事に支障をきたしかねない時なので、早く伝えたい。
出生前診断などを検討している人は、その結果が出るまで周囲には話しにくい、というのもあるだろう。

また、誰に先に伝え、誰には後に伝えるのか、というのも迷うところだと思う。

伝える時期は、一般には次の4つくらいに分類できるでしょう。

1) 妊娠6~8週(2ヶ月) 妊娠が判明・確定した時。一般的には親などに伝えるのと同じタイミング。
2) 妊娠8~11週(3ヶ月) つわりピークとなる頃
3) 妊娠12週以降(4ヶ月) おなかも目立ち始め、服装などが変わる頃 。出生前診断の結果も出始めるのもこの頃。
4) 妊娠16週以降(5ヶ月) いわゆる安定期以降

また、職場で伝えるべき相手というと、次のような方々でしょうか?
・ 直属の上司、信頼しているメンター・サポーター
・ チームメンバー、部下やアシスタントなど、一緒に働いているメンバー
・ その他の社内の人々
・ 顧客、取引先など外部でお世話になっている方々

私の場合、メンター・サポーターと直属の上司には1)の妊娠発覚後に伝えた。一方、噂になってしまうのが怖く、チームメンバーなどの若手に伝えるタイミングを掴めずに、3)の時期までずるずると伝えずにいた事を今でも後悔してる。後で書くが、上司と一緒に働く部下などのメンバーにはせめて2)のタイミングまでに伝えるのが良いと考えている。

1. 伝える順番は大切。直属の上司より、自分のメンター・サポーターとなる人に最初に伝えるべき

以前の記事で書いたが、会社組織の中で、自分のために便宜を計ってくれたり、仕事の機会を与えてくれたり、昇進を助けてくれるような上司はメンター、サポーターなどと呼び、キャリア構築上でも、単に仕事を楽しくやるという意味でも、非常に重要な存在だ。

女性のキャリア構築で重要になる「メンター」にまつわる10個の誤解-Lilacの妊娠・出産・育児ノート

この、メンター・サポーターに、一番最初に伝えるのはとても大切だと思う。

ついつい、一緒に働いている人や直属の上司などに先に伝えがちだが、メンター・サポーターが、これらの人々から漏れ聞いたとき、「ふーん、自分は聞いていないんだけど・・・」「直属の上司のほうが大切なのかねぇ」などと思ってしまって良いことはない。
もちろん、全く気にしない、という人も多いとは思うが、気にする人もいる。
こういう話は、伝える順番は、あなたにとって大切な順番を相手に伝えることと同じ、と考えたほうが良い。

妊娠ではないが、昔こんなことがあった。
会社を辞める、という決断をしたある同僚が、一緒に仕事をしている上司数名に真っ先に相談をした。
しかし、その同僚のサポーターを長年勤めていた人には、決断が固まってから、1~2週間くらい遅らせて伝えたのだ。
一緒に仕事をしている数名の上司は、まさか彼がそのサポーターの人に話をしていないとは思っていなかったので、彼が抜けた後の体制などをサポーターの人に相談してしまった結果、サポーターの人は「そういう大事な話を、何故自分に最初に相談しないのか」と激怒してしまった。彼としては、「俺がこいつを出世させてきて、機会を与えてきたのに・・」という気持ちだったのかも知れない。

このケースは、会社を辞めると決断したあとなのでまだ良いのかもしれない。
でも、妊娠の場合は、戻ってくることが前提。
しかも戻ってくる時に、キャリアの再構築に向けて、強力にサポートをしてくれるのが、このメンター・サポーターだ。
そんな人の気分を害するするようなことはせず、あくまで「あなたが一番信頼できる人だ」「私にとって一番大切」という気持ちを伝えるためにも、最初に伝えることが大切だと思う。

2. 直接でなく、電話やメールになったとしても、最初に伝えるべき人には伝えたほうが良い

私は、昨年7月妊娠が発覚して、親などにひと通り話した後、職場で一番お世話になっているメンターに最初に伝えようとしたが、その方はちょうど2週間の出張中だった。

それで、その伝え方をどうするか、に戸惑った。

出張中の忙しい時に、「個人的な相談」などという案件で電話会議の時間を取るのは難しいし、仮に時間を頂けたとしても他の予定が入ればすぐにリスケされてしまうだろう。
でも、伝える順番を守りたかったので、そのメンターの秘書に出張中の予定を教えてもらい、仕事の相談という形で時間を頂けないかを聞いて、「この時間なら電話しても大丈夫」という時間を教えてもらって電話をかけた。

実は、結婚と妊娠を伝えるのが同時だったのでさらにドギマギしたが、
「あの、結婚することにしました。実は妊娠しまして・・・、あ、もちろんまだ発覚したばかりなのでどうなるかわからないですが、一番最初にお話したかったので電話にしました」と正直に伝えたところ、とても喜んでくれた。
出張中のお忙しいところだったにも関わらず、その会議が始まる直前まで、相手がどんな人かとか、結婚後のアドバイスなど15分くらい話をしてくれた。

別のメンターも大変お忙しい方で、全くというほど時間を取れなかったので、「こんなことを伝えるのがメールで申し訳ないが」と前置きしながら、妊娠したこと、それで結婚すること、だいたいの出産予定日、出産後も戻ってくる意志があることなどを手短にメールしたところ、Congratulations!と書かれた返事が5分後に帰ってきた。

その後、ホッとして直属で一緒に働いている上司・先輩たちにお伝えした。

男性の上司や、妊娠経験のない女性の上司に妊娠したことを伝える、それも直接あって伝えるのではなく、いきなり電話やメールでやるのはかなり抵抗があるかもしれないが、「あなたに最初に伝えたかったので」ということを伝えれば、相手は喜んで聞いてくれるだろう。

3. チームメンバーには早めに妊娠を伝えるべき

私自身は、上記のメンターや直属の上司に妊娠直後に伝えること自体は抵抗が無かったが、これは彼らがそういった部下の情報を他人に漏らさない、という信頼があったからだ。
一方で、同じチームで働いてくれているチームメンバーには、少し話すと会社じゅうにすぐ噂になってしまうかもしれない、という心配があり、なかなか伝えられなかった。
別に信頼していないわけではないが、チームメンバーは何人もいるので、その中の一部の人はつい口をゆるめてしまうこともあるだろうと思っていたし、自分は高齢出産だし、流産する可能性も高いだろう、と思っていたから伝えられなかったのだ。

今は、たとえ残念な結果だったとしても、同じプロジェクトで一心同体に仕事をしてくれる後輩たちには話しておくべきだった、と後悔している。
噂が広がり、心ない噂で傷つくことがあったとしても、一緒に仕事をする彼らから信頼を得られることの方がずっと大切だと思うからだ。

つわりや突然の通院など、妊娠での体調変化で一番迷惑をかけるのは一緒に働くチームメンバーである

私の場合、ちょうど飛行機での出張が伴う仕事をしていたのだが、医者から飛行機NGが出ていたので、後輩のチームリーダーにその仕事の現地での仕切りを完全に任せることになった。
結果としては、私が行かず、そのチームリーダーに全権委任することで、彼自身の成長にもつながり、私と彼との信頼関係も構築されたので非常に良かったのだが、その「理由」を彼に最後まで話さなかった。
あとで面談の際に、漸く打ち明けた時「やっぱりそうだったのか、と思いました。でもあの時任せてもらえて本当に嬉しかったし、良かったです」と言われた。
私は、もっと前に話せなかったことを彼に詫びた。

それに、ほぼ毎日一緒に過ごすチームメンバーは、私の体調の変化に一番気付いている人であり、妊娠に気づかれないのは難しい。また、その私の体調を一番心配してくれる人たちなのだ。
とくに、夕食を一緒にとり、たまには飲みに行ったりする私の後輩たちは、風邪を引いてもお酒を飲む私が、何故突然飲まなくなったのか、ということで、後で聞いたら結構初期の頃から気付いていたというのである。
チームミーティング中に気分が悪くなり、トイレに抜けたりする私を見て、「妊娠したのかな・・・」などと心配をしていたそうだ。
こういう話を、後で後輩から聞いた時、皆に心配をかけていたことを申し訳なく思い、「流産の可能性が少なくなるまで話さない」などという判断をしたことを非常に後悔した。

実は、自分の秘密を相手に打ち明けることは、信頼関係を構築するのに一番大事な手段、とも言われている。
自分が傷つくかもしれない、デリケートなことを包み隠さず人に打ち明けるのは、とてもむずかしいことだ。
しかし、古今東西どのリーダーシップの本にも書いてあるように、秘密を打ち明けることで、相手と親密になり、相手の信頼を勝ち得るのに最も効果的なことだ。多くの場合、相手はあなたをサポートしようと思い、最大の助けを得ることが出来る。
別に、信頼や助けを得る手段として妊娠したことを伝える、というわけではないが、自分の秘密やデリケートなことを伝えることが、信頼を損なうことにはならない、むしろ逆である、ということを意識しておいたほうが良い

4. 顧客や取引先には、伝える目的別で伝える時期を変える

会社のその他の人たちには、3)のお腹が出始めるころや4)の安定期以降に伝える形で良いと思う。

特に一緒に仕事をしているというわけでなければ、早くに伝えられることを相手も期待していないだろうと思うので、一般的な「安定期以降」で問題がないだろう。

私の場合、妊婦検診も始まり、超音波で我が子が育っている様子を見られるようになって安心したこともあり、 3)の妊娠12週ころのタイミングで、上司以外の職場の人達に打ち明けた。

迷うのが、一緒に仕事をしている顧客や取引先だ。
妊娠したことだけで迷惑をかける訳でない普通の取引であれば、基本的には4)の安定期以降で良いだろう。
この場合、伝える目的はむしろ、産休をとって穴を開ける可能性を早めに知らせておく、ということだからだ。
出産予定日がいつで、産休をいつからいつまで取ります、その間は別の方が担当するので、担当が決まったら伝えます、ということを相手に伝えるだけであれば、安定期以降で妊娠が確定してからの方が良い。

しかし、妊娠による体調の変化で、相手に迷惑をかけてしまう可能性があるなど、親密に働いている場合は、もう少し早く伝えたほうが良い場合もある。
3に書いたチームメンバーと同じで、毎日のように相手に会い、協力関係を築いて仕事をしている場合、その人のつわりの重さなどにもよるが、2)のつわりのピーク前までには話しておいたほうが良いだろう。

以上、 妊娠したことを職場でいつ伝えるべきか、というデリケートな悩みについて、特に大切だと思う4つのポイントについてまとめてみました。
色々ご意見あるかと思います。コメント欄でご意見お待ちしています!

 

女性リーダー増加と出生率増加を両立できる政策を

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先日の統一地方選挙、私の住んでいる区も区長・区議会委員選挙があり、投票に行きました。
これまでの私は、国政選挙のほうが興味があり、恥ずかしながら住民税を払ってるだけで、自治体行政はほとんど興味は無かったんですね。
子供が出来てからようやく恩恵を受ける側に立った気がします。
そんなわけで、今回は議員候補の公約などもちゃんと読み、子育てに関してはどんな政策を打つつもりかを見て投票しました。
女性が育児とキャリアやリーダーシップをを両立する、という意味でも、保育園を始めとし、地方自治体がどれだけ力を入れているか、どれだけ環境が整っているかは非常に大きな意味を持つと思っています。

ちなみに娘は生後50日を過ぎて、だんだん声のバリエーションが色々増えてきて、聞いている方も言葉のボキャブラリーが増えてるみたいで聞いてて面白いです。
機嫌が良いとひとりでコロコロとしゃべっております。

写真、加工してみたんですが、これじゃなんだかわからんですかね・・・まぁ雰囲気だけでも。
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では早速本題に。
ちょうど、私の出産一週間くらい前だったか、大学時代の某学部横断ゼミのメーリングリストで、ご自身が書かれたレポートを回してくれた先輩がいた。

「女性活躍推進」=「少子化推進」の失敗を繰り返さないために -ニッセイ基礎研究所

書かれたのは、ニッセイ基礎研究所で女性活躍推進などの研究をされている天野馨南子さん。
読んでみると、今までの日本は、女性活躍を推進する政策や子育て支援などを頑張ってやってきているが、出生率増加に全くつながっていない、これは何故なのか、というのを掘り下げている内容。
なるほど~と納得の内容だったので、早速ブログで紹介しようと思ったが、私の出産が予定日より早まってしまい、出産前に間に合わず。
産後もバタバタとしているうちに、ダイアモンド・オンラインで大々的に取り上げられた。

政府の「女性活躍推進」が「少子化推進」となってしまう理由 (上)-ダイアモンド・オンライン
政府の「女性活躍推進」が「少子化推進」となってしまう理由 (下)-ダイアモンド・オンライン

というわけで、今更かも知れないが、これから女性としてキャリアもしっかり積んでいきたいと思っていて、子供も、と思っているような20代、30代前半女子には是非知っておいて欲しい内容なので、取り上げようと思います。

1. 何故いままで出生率増加と女性活躍推進が両立できなかったのか

天野さんの論点は、今までの政府は女性活躍と出生率増加の両立を目指していないこと、その真の原因は、女性には妊娠・出産できる生物学的な適齢期があるのに、政策担当者も当の女性自身もあまり意識していないこと、というものだ。

実際、現在の日本の子育て支援は女性リーダー増加にはつながらないものが多い。
このブログでも取り上げてきたように、長期の育休制度など、女性がキャリアを積みながら子育てと両立するより、保育園不足など育児インフラの不足を女性が担うのを支援するものが多い。
長い育休は女性のキャリア形成の妨げになる-Lilacの妊娠・出産・育児ノート)

一方で、女性活躍推進の政策は、出生率増加を結果として妨げるものだった。
これは多くの先進国で1970年以降共通に見られ、社会学では度々指摘されてきた現象だ。
ただ女性の社会進出が進むだけだと、女性の晩婚化・晩産化につながるので、出生率が低下するのである。

天野氏のレポートによると、北欧、イギリス、フランスなどヨーロッパの多くの国では、1990年代以降この問題は徐々に解決され、女性進出と出生率増加を両立出来ているという。ところが、日本の状況は改善されておらず、出生率は低下の一途をたどっている。

何が違うのか、というと「妊産適齢期」という考え方が浸透しているかどうか、ということだという。

詳しくは天野氏のレポートを参照して頂ければと思うが、女性の妊娠率は高齢になるほど落ちることを政策担当者が意識した上で、「妊産適齢期」という考え方を国民に周知徹底し、若いカップルに子供を産ませる政策を打ち出せているか、ということが大きいようだ。 

イギリスでは、年をとると妊娠力が低下することの周知徹底と、若いカップルの貧困率解消。
フランスでは、14歳からの「高齢になると不妊になる」という意識の徹底、若い人の不妊治療の無料化と、43歳以上の治療の禁止・・・など。

こうすることで、1970年代に出生率が大きく低下した国々も、徐々に出生率2.0に向けて回復して生きているのだという。

2. 日本で「妊産適齢期」という考え方をどう定着させるのか

レポートによると「36歳で女性の妊娠率が急激に低下する」ことを知っている比率が欧米で7-8割なのに対し、日本では3割に満たないと言う。

実際、私自身、20代の頃は、30代後半で産むのがそんなに大変になるなんてことは、全く知らなかった。
マスコミではタレントの高齢出産がよく報道されているし、「今は不妊治療とか技術が進んでいるんだから、大丈夫だよね」と思っていたから、20代の頃は本当に仕事を頑張ることしか考えていなかった。
私の場合、周囲の女子も高学歴、20代後半で結婚しているのも2割くらい、という環境なので余計である。
32歳の頃、親から「子供が欲しいなら、そろそろ卵子凍結することを考えなさい。35歳までしか出来ないのよ」と強く勧められ、色々調べ始めて、漸く「あ、そろそろ産まなきゃマズい年齢なんだ」と知ることに。
だから、この数字はとても納得感がある。

「30代後半や40代でも産める」という情報は、30代後半以降で妊活している人が勇気づけられる分には良いが、20代の女性が「まだ産める」と思ってライフイベントを遅らせてしまうのは良くない。

それに、30代後半での1人目出産、というのは出生率増加という意味でも余りよろしくない。
私を含め、30代後半でたまたま一人目を産めたとしても、2人目、3人目を産めるかどうかは分からない。
産める確率は1人目よりもぐっと減るのは確実である。
出生率を考えると、出来れば20代後半で1人目を産む方向に持っていくのが理想的だ。

しかし、日本で「妊産適齢期の周知徹底」を政策として実施するとなると、結構大変そうだ。
フランス政府がやったように「産みたい時ではなく、産める年齢で産むべき」などと言ったり、中学高校で「36歳以降は妊娠率が圧倒的に下がります」と教育したりなどしたら、かなりの感情的な反発が生まれそうだ。

しかし、10代から20代の女性を対象にした「妊産適齢期」教育を高校や大学などで実施することは、産む・産まないは別として、早めに人生設計を考えることにつながる。
もちろん人生設計なんて、産む・産まないも含めて意図したとおりになるとは限らないのだが、何となく生きるのではなく、「30代前半で産むために、早く資格をとって早めにキャリアを積むほうが良いな」とか考えて動くことにつながるので、良い影響を与えるだろう。

もし現在、20代でこの記事を読んでいる方がいたら、是非こんな作業をしてみて欲しい。
横軸に年齢。今の年齢から始まって5年毎に区切って50歳まで書く。縦軸は2つに分けて仕事とライフイベントと書く。
仕事の欄には、自分は何歳でどんなスキルや資格を身に着けているか、会社勤めならどんな役職でどんな仕事をしているかを書く。
ライフイベントの方には、未婚のことはとりあえず結婚は飛ばして、子供は何歳で何人産むのかを書く。
5歳ごとに区切った最初のところで、各子供が何歳なのか、自分の親は何歳なのか、を書き込む。
この作業をすると、5年毎のライフステージごとに、自分はどんな仕事をしながら、どのくらいの年の子供を育てているのか、親の介護をやっているのか、などの想像がわくようになろうだろう。

「妊産適齢期」に加え、このような作業をして人生設計を早めにすることで、若いうちにやるべきことや指針が見えてくる。是非高校や大学で積極的に取り入れて欲しい。

3. 20代で産んで、育児をしながらキャリアを形成し、女性リーダーを増やしていく政策とは

さて、私など、ある程度のキャリアを作ってから結婚→出産しているから、これからもキャリアと育児の両立は想像がつく。
なぜなら、スキルや社内の人間関係も構築できているので、産休や育休を取って仕事に復帰した時、自分が帰る場所があるし、どうすれば必要とされるかが分かっているからだ。

一方、先ほど書いたように、出生率増加を考えると、個人の立場からしても2人目、3人目が欲しいと考えているなら、20代のうちに産み始めるのが理想的である。

しかしながら、自分がもし20代後半で子供を産んで、同じようにキャリアを積めたのだろうか、と思うと、今の日本の状況では難しいのでは、と思ってしまう。 
今の日本の会社では、20代後半といえば、ようやく仕事を覚え始めたくらいの程度だ。
そんな時に、産休や育休を取って帰ってきて「非戦力宣言」されないだろうか、と不安に思う人は多いだろう。

その結果、20代で産んだあと、いわゆるマミートラック(出世は遅いが、育児との両立がしやすい負担の少ない部署で働くコース)に乗って、キャリアの優先順位は下げるか、キャリアを積むのを優先して子供は30代過ぎまで遅らせるのどちらかになってしまう人が多い、というのが現状ではないだろうか。

出生率増加と、女性リーダーを増やしていく、という両方を実現するには、マクロには、20代後半で産みながら、キャリアを積んで、ちゃんと出世コースにも乗れる、という人を増やさないとならないだろう。

何故20代後半で産むこと、と女性のリーダーシップ育成が両立できていないのか、もう少し原因を探りながら、対処方法を考える必要がありそうだ。仮説的には

・「早くキャリアを積める仕組み」 20代後半でも、会社に必要とされる-育休明けでも戦力として会社が保持しようとするキャリア形成の仕組み
・「残業しないのが当たり前」で、残業しなくても出世に響かない働き方

の2つは重要だと考えられるが、これは一朝一夕でできる事ではない。

すぐには残業が減らせないのであれば、保育園を増やすというベーシックな話に加えて、保育園の時間延長、保育園以外を使う場合(ベビーシッターなど)への金銭的援助などを行うなどにより、残業しても大丈夫な環境などを整えるしかないだろう。

今までの子育て支援政策は、女性が育児と仕事を両立する、という意味では成功し始めている。
しかし、もう一歩前に行き、女性が育児とキャリア/リーダーシップを両立する、というのが次の世代に必要なことだ。
そのためには育児をしている女性リーダーを増やすこと、ひいては出生率増加と女性リーダー増加を両立することには、もう一歩の支援が必要なのだ、という認識を多くの人が持つことはとても大切だと思う。

子育てが仕事より大変な本当の理由

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妊娠中、子育ては大変だよ~と色んな人に言われ、それなりの覚悟をしてきたが、本当に大変だった。
まだ産まれて50日も経ってないが、個人的には仕事より大変だと思っている。

まず、産まれた直後は授乳回数が多いのと、自分の手際が悪いせいでほとんど寝られない。
それから自分が新米過ぎて、泣いている赤ちゃんを前に「どうすれば良いか判断つかない」ことが多くて困ってしまう。
仕事で言うと「新人なのに、ほとんど寝られない死にプロジェクトに入れられ、効率も悪いから更に寝られず、難問を目の前に途方に暮れている状態」という感じ。

これも2週間も経つと、授乳間隔も長くなり、お風呂だのオムツ替えだのコツも覚え、まとめて寝られるようになる。
一方、赤ちゃんに体力がついて、寝るか飲むか抱っこ以外の時は泣き続けるという技を覚えるので、自分ひとりの時間を作るのは相変わらず難しい。
そもそも何故泣いているか理由がわからないので、手の施しようがない事も多い。
あとは、勢い良く母乳を飲みすぎて息をつまらせたり、よく吐いたりと、まあ心配事も絶えない。

首が座ってくれれば少しは楽になるかも、と思うけど、今度は手を変え品を変えて違う大変さが出てくるんだろうなぁ。その辺にあるものを勝手に食べちゃったり、風邪や病気にかかるようになったり、歩いてどこかに行ってしまいそうになったり。
小学生になれば、手はかからなくなるだろうが、通学が心配になり、成績が心配になり。
中学・高校では、交友関係が心配になり、進路が心配になり、と、新たな心配事が増えてくるだろう。

そんなわけで、今後はるか遠くまで続く長い道のりを俯瞰し、子育ては大変だ、正直仕事よりずっと大変なことであると思っていた矢先、Facebookで回ってきたこんな人気記事を読んだ。

子育てを大変だと思う本当の理由-Amebaブログ

この記事は、専業主婦で3人の子育てをしているママさんが書いている記事。
勝手に要約すると、最近結婚した男友達が、子育てと仕事を比較して「子供がいると座って休む暇もないって女の人は言うけど、勝手だよな。俺達がやってる仕事だって休みなんて殆ど無いよ」と発言したのに対して、作者は「いやいや、子育てが大変なのは、自分の意志とは無関係に自分のやろうとしてた行動を子供に遮られることの連続。それが大変なの」と反論している、というもの。

確かに、私も子供が産まれてから、風呂に落ち着いて入れたことは一度もない。ゆっくり食事もできないし。
寝ているのを見計らって食事を始めると、何故か気付いて泣き出すので、今度はバウンサー(ゆりかご)に入れて足で揺らしてあやしながら、何とか食べきる。でも、本当に大泣きになったら、食事も中断して対応。
この記事も、書いている途中で何度も中断されつつ、夜中にコソコソ起きだしたりして数日に分けて書いた。
要するに、生活の中心が子供になり、自分のやりたいことは全て二の次になるということだ。

で、確かにそうなんだけど、正直、上のブログ記事を読んで違和感が残った。
仕事より子育てが大変な理由って、それだけじゃないと思うんだよね・・・
だって仕事でも、マネージャー以上の役職につけば、自分の時間は二の次。部下や後輩が自分を訪ねてきたり、顧客から電話があれば、自分の仕事はすぐ中断して対応するのが普通だ。スケジュールをブロックしておかないと、アシスタントや他の人が予定を入れてしまうから、自分の時間なんてない。忙しい仕事だと、食事をゆっくり食べることなんて皆無。私も、自分の仕事をする時間は深夜と早朝しかない、なんて仕事している頃はザラでしたよ
それでも、子育てのほうが仕事より大変だと思う、これはなんだろうな・・・

と考えてみて、それでも子育てが仕事より大変な本当の理由を2つほど付け加えてみることにした。

1)仕事は通常、役職や経験に応じた責任範囲が与えられるが、子育ては新人からいきなり無限責任

これは、核家族化が進んだ弊害かもしれないけど、現代の子育ては、出産直後から「子供」という大きな責任を新人のパパとママの二人、家庭によってはママ一人でしょい込んで、孤軍奮闘する。

例えば赤ちゃんの時だと、突然ギャンギャン泣きだして、お乳をあげてもオムツを替えても何をしても泣き止まないとか。首がなかなかすわらないとか、言葉がなかなか出ないとか。少し大きくなっても、アレルギーが出たり、多動なのかと疑ったり、「どこか具合が悪いのだろうか」「という不安になることはたびたびある。「病院に行くべきだろうか、いやいやそこまでではないかも・・・」
だけど自分で判断できないので「どうしよう・・・」という気持ちが募る。

「ムラ」で子供を育ててた時代とか、大家族だった時代とかにはそういうことは無かったんだろうけどね。
心配症の親だと、これが毎日毎時間続いて、ノイローゼみたいになっちゃう人もいる。
インターネットの子育て掲示板とかを見ると、毎日不安で仕方ない、子どもと二人でいるのが怖いという人で溢れている。

これが仕事なら、「ここから先は病院に行かなきゃ判断できないんだから、心配しても無駄」とかさっさとに心の整理をつけて次に進んだりするんだが、子供相手だとそういう発想にならないんだよねぇ。

一方、仕事ではこういうことはほとんど起きない。
多くの場合、仕事では役職や経験に応じて、責任範囲が有限であり、何も知らない新人が事業存続に関わるような意思決定をさせられることはない
たとえば、新人が事業の存続に影響する意思決定を任されることはない。社員の意思決定は、上司である課長や部長の責任だし、新人なら大変なことになる前に引き取ってもらえる。
役員クラスであっても、大きな意思決定をひとりですることは珍しい。上場企業でも、数千万円以上の意思決定は役員会議にかけられるのが普通で、役員一人で決めることはない。

でも、子育ては違う。

出産直後から、新人ママであっても、子供の命を背負い込み、毎日のように子供の状態を判断し、何をすべきか意思決定をする。下手をすると命に関わるかもしれない重大な意思決定をすることも多い

正直、ギャン泣きしたり、動きが変だったりなどするたびに、そんな判断を毎日のようにやっていたら、精神的に疲れちゃいます。
子育てママが「座って休む暇もない」と愚痴るのは、本当に肉体的に座って休む隙がないということではなく、精神的なものが大きいんじゃないかと思う。

2)多くの仕事は報酬や評価につながるが、子育ては評価がわかりにくく、自分の価値を見出しにくい

二番目はやっぱりこれ。
子育ては精神的にも肉体的にも大変な仕事だが、ママが子育てするのは当たり前と思われているので、評価につながることはあまりない
もちろん、子供が笑顔を見せてくれたり、「ママありがとう」と感謝してくれたりすれば、百年の疲労も吹き飛ぶわけですが、実際には子供は何をしても泣いてるだけだったり、言うことを聞いてくれなかったりの連続なわけですよ。

一方、仕事といえば、まず少なくとも給料はもらえる。「この仕事、本当にヤダ」と思っても、給料がもらえるから何とか頑張ろう、と思って気持ちが続いたりすることもある。
上司や先輩が「お、頑張ってるね」と言ってくれる言葉に救われたりすることもある。
何かの製品を生み出している人なら、店頭に並んでいる製品を見ながら、達成感を味わうことだろうし、顧客相手に仕事をしている人なら、お客さんに感謝の言葉を言われることも少なくない。

仕事も、そう簡単に評価や報酬に直結はしないのだが、それでも仕事では何らかの形で、自分が貢献していることを他人に認められ、自分の価値を感じることは多かれ少なかれ有るだろう。

子育ては違う。
子供にもよるが、どんなにママが頑張っても笑顔一つみせてくれない子供もいる。
一生懸命作った離乳食を全部こぼしたり、食べても吐き出したり、そのうちふざけてテーブルの上のものをガッシャーンと落としたり。そういう時に限って下の子供が大声で泣き出したり。

家族も評価してくれるとは限らない。
上のブログ記事の男性みたいに「子供欲しかったくせに休む暇もないとか勝手だよな」とか言われたら最悪だが、そこまで行かずとも、子育てを感謝されることもなく、「子供と遊んでるだけでいいよなぁ」とか「日曜くらい休ませてくれよ」とか、暗に子育てを大変だと理解していない発言をされることも有るだろう。

当然ながら、子育てに対する報酬はないわけで。
ベビーシッターを雇ったら、時給2000円、一日10時間、月20日間としても、毎月40万円の給与に相当する仕事を、世のママたちはやっているわけですよ、給与ゼロで。

そういうわけで、子育てをしていても評価につながることなどはなく、子供の成長を見ていて気持ちが救われる、疲れが吹っ飛ぶ、というところだと思うが、当の子供にも子育ての成果が見られないと感じるときには、「ああ何のために子育てしてるんだろう」「自分の価値って何だろう」とついつい思ってしまうママは多いんだろうな、と思う。

以上、回ってきた記事を読んでいて、実際にバリバリ仕事もしていた立場から違和感を感じたので、自分なりに子育てのほうが仕事より大変と思う理由を分析してみたのだが、どうだろうか。

さて、もちろん子育てはとても大変だけど、子供が可愛いと思う瞬間は多い。
一方、上に書いた理由もあり、仕事もしている自分もあるからバランスが取れるのだろう、と思うから、仕事は続けたいと思う。
産む前に「女性は、子供が産まれると考え方が変わる人が多いから」と色んな人にさんざん言われたけれど、仕事をしている自分が自分らしいと思う気持ちは変わらなかったかな。
もちろん、復帰してみないとわからないが、何らかの形で仕事は続けるだろうと思った。
そして、この子のためにも仕事は続けたい、と強く思うようになった。
この辺りの気持ちの変化はまた別の記事で。

無事出産しました

お久しぶりです。
ご報告が大変遅くなりましたが、3月7日に無事女の子を出産しました。

最初の一週間は、聞いていたとおり寝る暇がなく、1時間ずつ寝る感じ。その後も、 なかなか手が離れず、自分の身の回りのことと家事をするのがやっとで、ブログを書く時間と精神的余裕がなかなか取れず・・・
でも、きょうでやっと生後40日。
夕方に大泣き、寝るか飲む以外は泣いてばかり、夜もなかなか寝ない、などは余り変わりませんが、少しずつ対処する方法を身につけて、ちょこちょこ自分の時間を作れるようになってきたので、ブログ復帰してみました。 

とりあえず、出産時と産後の経過を簡単にご報告。

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無痛分娩だったこともあり、私自身の産後の経過は順調でした。陣痛促進剤をうち、バルーンを入れて、分娩が始まるまでは1日かかりましたが、分娩台に上がってからは30分というスピード出産でした。無痛で痛みを感じるのは、最初に麻酔が効き始めるまでと、その後胎児の頭が下がってきて痛い場所が変わってきた時に次の麻酔が効き始めるまでの2回だけで、あとは痛みを感じることなく産めたので、やはり楽でした。
ただ、麻酔が効くまでに骨が割れるような痛みを30分ほど感じていたので、これが数時間も数十時間も続く自然分娩って一体どれだけの大変さだろう・・と思いました。

子供は小さめに生まれたので最初は心配しましたが、とても食欲旺盛で、一ヶ月検診では生まれた時の1.5倍以上まで増加。おかげさまで、とても元気です。

産院は母子同室で母乳育児推進のところだったので、出産翌日からほとんど寝られず、いきなり寝不足の日々。母乳は出るし、赤ちゃんも飲もうと頑張るのだけど、小さい赤ちゃんには力がなく、思うようにうまく母乳が飲めない。でも胎便が大量に出るので、体重がどんどん減る。
こんなに小さく産まれたのに、飲むことも出来ず、大丈夫だろうか、赤ちゃんはこんなにも頑張っているのに可哀想に・・・と心細くなり、明け方に病室でひとりで泣いたりもしました。

今は粉ミルクとかあるけれど、粉ミルクがなかった時代、母乳が出ないお母さんの赤ちゃんは一体どうしていたんだろう・・・ああそうか、もらい乳とかしていたのか、昔は村コミュニティで子供を育てていたんだものね。
その昔は??ああ、山羊とかにもらい乳したとか言うよね・・・昔のママも心細くなかっただろうか・・と突然、太古の昔に思いを馳せては、涙がボロボロ。
今は粉ミルクとか、点滴とか、いくらでも技術が進んでいるから何とでもなる。有難いなぁ・・・と技術に感謝しては、またボロボロ。
でも、そんな中で途上国で赤ちゃんが餓死していく国もたくさんあるよなぁ、そんな国のママたちはどんなにか心細く悲しいだろう、と他国に思いを馳せ、また涙が滝のように出て、と、一日中ひとりで泣きまくっていました。
今思うと、産後ハイというやつですね。
あとで、朝食会で他のママさんに聞いたら、母子同室で、一人泣くママは多いようです。

退院後は、夫が1週間育児休暇を取得。実家の援助など受けず、二人だけで生活を築こうと決めていたので、ふたりとも頑張りました。私は赤ちゃんの世話と家事の一部手伝い、夫は洗濯、掃除、皿洗い、ゴミ捨てなどの家事、赤ちゃんの世話も手伝う。食事は、野菜豊富な弁当を数日分手配。

一日後、夫の育休中はこれでも何とかなるけど、翌週夫が仕事に戻ったら絶対無理だね、回らないよ、体壊すわ、とわかり(笑)、すぐに産後ヘルパーの会社に登録、翌週から週に2回ほど来てもらう手はずを整えました。
夫も家事が得意なわけではないので、仕事で朝早く夜遅い生活に加えて家事も、というのは無理だよね、と。
食事も、弁当よりは、美味しいつくりたてを食べたいし。

ただし、この時に二人で何とか乗り切ろうとして、一週間二人だけで頑張った経験は、今でも大変さをお互いが理解し、相手を思いやる二人の絆になっており、本当に良かったと思っています。夫も育児の大変さがわかっているので、気付いたらいろんな事をやってくれますし、お互い労いの言葉もかけられます。

この産後ヘルパー、英語ではDoulaと言うらしいですが、日本ではほとんど普及していないですよね。
出産したら翌日退院して歩いて帰るのが普通、という欧米の白人たちと違い、東アジアの国々では「床上げまで一ヶ月」と言われるなど、一ヶ月くらい安静にしていないと骨盤が安定しない人種なわけですが、その割には産後の産婦をケアする仕組みが整っていない日本は不思議だなぁとつくづく思いました。
実家や義実家など、身内でこういったサービスが内製化されているからでしょうね。
この辺りはまた記事に書きたいと思います。

とりあえず、今日はこんなところで。
あとタイトルが「Lilacの妊娠・出産・育児ノート」に変わりました。「育児」が増えました♪

またこれからもよろしくです。

長い育休は女性のキャリア形成の妨げになる

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Photo credit: Fotolia

会社のアメリカ人の同僚に、子供が生まれてからどのくらい休むの?と聞かれたので、
「う~ん、3ヶ月で復帰したいけど、状況次第ね。長くても6ヶ月のつもり」 と答えると、「6ヶ月は長いね!早く復帰できるといいね。」 と言われた。
同じことを日本人同僚(年上男性)に話すと、「早く復帰するんだね。頑張ってね」という人から、「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想じゃないか」という心ない反応まで。とにかく「早い」という反応。

米国には法令で決まった産休や育児休暇というものがなく、各企業が制度や金銭的補助を自主的に設けている事が多い。それがだいたい2-3ヶ月。だから、女性の復帰も産後2-3ヶ月が普通だ。それでこの反応なのだろう。
同じことは、東南アジアの各国でも見られ、女性の復帰は産後3ヶ月程度だ。

一方、日本では出産をきっかけに仕事を辞める女性が多いのに加え、育児休暇を子供が1歳(保育園に入れない場合1歳半)になるまで取得できる。その間も給与の67%(ただし上限は3ヶ月間28万円、その後21万円)が保証される。そのためか、1年近く職場を離れる女性が多いので、この反応なのだろう。

(ちなみにヨーロッパ人はアメリカ人に近い反応だ。育休制度は整っているが、キャリアを積んでいる女性は早期復帰の傾向が高いからだ)

日本は、2000年代の政府の涙ぐましい努力のお蔭で、世界でもまれに見る、育児休暇の整った国だ。
日本より制度的に育休が長く、給付額も大きい国は、他にはスウェーデンくらいしか無いのではなかろうか。

各国の育児休暇制度との比較はこんなページで見られる
・最近のもの(2015年2月)→ 国際比較から見る日本の育児休業制度の特徴と課題
・ちょっと前(2010年12月)→ 男性の育児休暇を促す育児休業制度のあり方
・だいぶ前、でもP49の表が見やすい(2005年)→主要国における仕事と育児の両立支援策

しかし、育児休暇が長いことは本当に良いことなのだろうか?

こういう制度は、働く女性が子育てをするのを支援するものだが、決して女性がキャリアを積むのを支援するものではない。
もっと言ってしまうと、保育所やシッターなどの育児インフラが整っていないので、働く女性(または男性)に給付金を与え、休ませて子育てをさせ、キャリア形成を阻害している、という見方もできる。

働く立場から見ると、職務にもよるが、1年ものブランクがあると色んなスキルや感覚が鈍ってしまう。
社内のネットワークも希薄になるし、営業等であれば、顧客との関係も今より薄くなってしまうだろう。
それらをもう一度再構築して、キャリアを築き始めるのには時間がかかる。
妊産適齢期である20代から30代前半にかけては、体力もあり、仕事上のスキルを身につけながら、キャリアを駆け登っていく時期だ。そんな時に、一人産むごとに1年も休んでいるのは、もったいない。

職場から見ても、1年ブランクがある社員を、復帰のサポートをしながら使うのは結構な負担だ。
これが3ヶ月程度なら、欧米で言えば長期のバカンス程度に過ぎず、そこまでサポートしなくても、フル戦力になってもらえるだろう。

日経文庫「女性が活躍する会社」 には次のような下りがある。
空調設備で世界一のダイキン工業は、2014年に、出産後6ヶ月未満で職場復帰する女性社員に対して、最初の1年の保育補助費を従来の30万円から60万円に増額するという人事施策を導入しました。(中略)
ダイキン工業の井上礼之会長兼CEOは、「本人にとってもブランクは短いほうが現場感覚が鈍らないし、キャリア形成もしやすい」と、制度導入に踏み切った背景について説明しています。

井上会長は、ワーキングマザーは大変だからと、責任ある仕事を任せないのは「優しさの勘違い」だとも指摘しました。その「優しさ」に安住していたら、いつの間にか戦力外になってしまうリスクが有るのですが、企業で働く女性も、そこに目をつむっていたのです。   
女性が子育てをしながら、キャリア形成を支援する施策というのは、育児休暇中の給与を補償するものではなく、早期の職場復帰を促しながら、ベビーシッターなども必要に応じて雇えるほど金銭面でのサポートをする、このダイキン工業のような施策を言うのだろう。

女性の早期の復帰を阻むのは、保育所不足問題と、その代わりに育休を長く取れる制度のせいだけではない。
母親は子育てを優先すべき、という周囲の価値観や期待が、早期復帰しようという女性をとどまらせる。
「そんなに早く復帰したら、子供が可哀想だよ」「お母さんは子供にとって一人なのだから」などの言葉が、悪気もなく、女性だけに浴びせられる。

なお、「子供が可哀想だ」という人たちは、決してあなたの子育てを手伝うわけでも、あなたのキャリアを築く協力をするわけでもない。
むしろ、あなたのキャリアに興味もないから、こういう言葉が悪気もなく出てくるのだろう。
本当にあなたのキャリアを築く協力をしようと思っている人たちは、こんなことは言わない。

例えば、私には、会社に何名かの男性のメンターがいるが(メンターとは→参考記事)、彼らはこのようなことを言う。
「早く復帰したいなら、会社として出来る限りのサポートをする。
でも、子育てを楽しんでゆっくり復帰したいなら、復帰した後に、しっかりとキャリアを再形成出来るように協力するから、安心して休みなさい。
子供を産み育てることで、人として大きく成長することが、キャリア形成にも非常に意味があるから。」

ブランクは短いほうが、本当は、本人は楽にキャリアを築けるので良い。長く育休を取ればきっと苦労するだろう。
でも子育てにしっかり時間を使いたいという考え方もあるから、強制は出来ない。子育てでキャリア形成に学ぶところもあるだろう。
どんな選択肢を取っても、協力をしよう。
あなたを本心からサポートしようとしてくれる人はこのように考えるものだ。「子供が可哀想」「母親は一人だ」など、他人事でしかない人達の話を真に受ける必要は全くない。

話を戻して。
日本の両立支援制度が、育児休暇を長く取りやすい方向だけに進むとしたら、大きな問題である。
保育所やベビーシッター・学童保育、およびそこへの補助金などを充実させること。
育児休暇時の給与補助ではなく、保育費等の金銭的補助をすること。
こうやって、女性が出来るだけ短いブランクで働き続けられるほうが、安部政権が目指している「少子化を解消しながら、女性リーダーを増やす」という目標には近づくだろう。

追記: 先週の記事「パートタイム育休」制度は、どうしても保育園が見つからず高いけど無認可で・・というような女性の職場への早期復帰を促すものだと考えています。
提言:「パートタイム育休」は可能なのか
提言:「パートタイム育休」は可能なのか-Part 2 反響まとめ

追記2: 誤解がないように補足すると、この記事の趣旨は、現在の政策が「育児休暇を支援」することに重きを置かれていることへの批判です。本当に女性のキャリアをサポートするなら、育児支援金を出すとか、保育所などの施設を増やす方にも行くべき、というものです。
「キャリアを優先したいけど、金銭的な理由等で出来ない女性に無理をしろ」という趣旨ではないです。(もちろん意識改革は必要ですが・・)

参考文献

女性が活躍する会社 (日経文庫)
大久保 幸夫
日本経済新聞出版社
2014-10-16

 
「女性活躍推進」=「少子化推進」の失敗を繰り返さないために-超少子化社会、脱却への処方箋-
ニッセイ基礎研究所 天野馨南子
・・・こちらは妊産適齢期の20代後半の女性へのサポートの必要性を訴えるもの 
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